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ホンダ CB400SB「佐渡へ佐渡へとスーパーボルドール」【カメラマン柴田直行/俺の写真で振り返る平成の名車】第24回(撮影2015年)
見えない力に助けられて撮れた1枚
初めての佐渡だった。
島を巡っていた初日の夕暮れ時に突然出会った大絶景。その景色がCBとともに俺に強烈な印象を残した。
俺は出かけた先の野外で撮影することが多い、いわゆるロケカメラマン。仕事に恵まれて長いキャリアの中で47都道府県の全てで撮影をしたことある。そんな俺が初めての佐渡。思わずテンションが上がる。
佐渡ヶ島に渡るにはフェリー。俺たちが乗ったのは佐渡汽船の高速カーフェリーあかね。なんと船体がオールアルミボディ。
島に渡ればそこは昭和の香りが漂う不思議な場所。宿根木地区の風情ある家並みも良いが、海岸の方は道路脇に黒板の家が続き、ツーリングしている間...
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カワサキ Ninja250「誰だってカッコ良いバイクが欲しい」【カメラマン柴田直行/俺の写真で振り返る平成の名車】第23回(撮影2016年)
小排気量車こそカッコ良くすべき。カワサキのその思いを写真で伝えたい
Ninja250のデビューは2007年のパリのモーターサイクルショーのプレスカンファレンスで見た。
そのパリショーの撮影はゴーグル誌ではなく、Heritage&Legends誌で編集長を務めている月岡さんから頂いた仕事だった。
その日のプレスカンファレンスのメイン車種はZX-10Rのフルモデルチェンジで、Ninja250はその前座的扱いだったような記憶。
日本国内ではカウル付きのスポーツバイクの売上が不調な時期で、ゼファーでネイキットバイクを売りまくっているカワサキがなぜ250スーパースポーツ? と正直に言うと首を傾けた...
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スズキ SV650「控えめな優等生SV650を応援したい」【カメラマン柴田直行/俺の写真で振り返る平成の名車】第22回(撮影2016年)
扱いやすくて速いミドルクラスの魅力をもっと知ってほしい
今回の車両はスズキのSV650。
昨年くらいから人気の兆しがあるミドルクラスの中の1台だ。
ミドルクラスとは何とも曖昧な呼ばれ方ですが、俺的には401以上でリッター未満。エンジンパワーと車体の軽さや大きさなどのバランスが良く、乗りやすい車種が多い。そんな隠れた名車ゾーンがミドルクラスだと思う。
その排気量ゆえに「中途半端と言われそう」と思っていたんですが、若きオートバイ女子部の皆さんと話をすると、排気量でバイクを分けることをせずに「自分が好きになったバイクが何ccでも気にしない」と言う。もはやミドルクラスと分けること自体に意味がない...
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「BMWの撮影はリスペクトと共に」【カメラマン柴田直行/俺の写真で振り返る平成の名車】第21回(撮影2008年)
遠くドイツの開発現場を想像しながら
初めて乗ったBMWは4バルブになった新時代のBMWだった。と言っても1994年ぐらいの話なのでだいぶ昔のこと。カメラマン仲間とツーリングに行った際に、先輩が乗ってきたR1100Rに試乗させてもらった。
当時の俺は「BMWは変なクセがあって乗るのが難しく、それを乗りこなすのが醍醐味」と勝手に思っていた。なんてたって水平対向エンジンだし、シャフトドライブだし、テレレバーという見た事ないフロントサスペンションだし。
自分が乗っていたヤマハのツインと先輩のBMWを交換。R1100Rに跨り、まずはそのままスロットルを煽り、吹け上がりに合わせ車体が傾ぐという噂が本...
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ヤマハ WR250X「トレール車を生み出したヤマハ最後の高性能トレール車」【カメラマン柴田直行/俺の写真で振り返る平成の名車】第20回(撮影2007年)
250ccバイクの歴史上においても、WR250シリーズは革新的だった
ゴーグルでの撮影を始める前はドップリとモトクロスの世界で写真を撮ってきた。オフロードバイクなのでマニアな話になるがあしからず。
2007年にハイパースポーツな4ストトレール車として、前21/後18インチのフルサイズオフロードタイヤを装着したWR250Rが発売された。
そして兄弟車であり前後17インチタイヤを履いたモタードバージョンが今回の写真のWR250X。
トレール車というのは公道用のオフロードバイク。WR250Rの登場以前は各メーカーに上級者むけのハードな2ストトレール車がラインナップされていた。いわばオフロードの...
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ホンダ CB1100RS「新年の撮り初めは、ゴーグルとともに」【カメラマン柴田直行/俺の写真で振り返る平成の名車】第19回(撮影2017年)
斜光を活かせるか。夕方から夜にかけての撮影
令和2年の新年ですが、寒風に負けずに走っていますか?
平成の頃はゴーグルの締め切りの都合で、お正月の年明け早々の撮影が毎年の恒例だった。東京近郊の道路は空いていて渋滞がないし、空気も綺麗で撮影に向いている。しかも毎年なぜか天候が良い。箱根駅伝のランナーとすれ違いながら移動して、なんて事もあった。
このCB1100RSもそんなお正月の都内で撮影したもの。
CB1100RSは現在でも大人気な空冷4気筒のビッグバイクCB1100シリーズの追加モデル。17インチタイヤやラジアルマウントブレーキキャリパーなどを採用し、スポーツライディングに振った追加モデ...
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インディアン SCOUT「新しいスカウトを撮り、古き良き時代を知る」【カメラマン柴田直行/俺の写真で振り返る平成の名車】第18回(撮影2015年)
ハーレーダビッドソンとは違う道をたどってきたインディアン
ときには全く知識のないバイクの写真を撮る事もある。インディアン「スカウト」はまさにその1台。とりあえず俺の方はスカウトのロー&ロングのスタイルに写欲が刺激され、撮影は始まった。
「インディアンはハーレーよりも歴史が古く……」そのくらいしか知らなかった。たしかに目の前にあるスカウトはクラシックな雰囲気を持っていた。しかし同時に2015年生まれにふさわしい新しさも持ったバイク。しかもそれは違和感なく程よくブレンドされている。
新しさとはギミックやデコレーションではなくアルミフレームや水冷DOHCエンジンなどで、聞けばその最高出力は10...
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ヤマハ MAJESTY「大人のためのビックスクーターを大人のために撮る」【カメラマン柴田直行/俺の写真で振り返る平成の名車】第17回(撮影2007年・2008年)
新たなビッグスクーターブームへ向けて、ヤマハが方向転換の舵を切った三代目マジェスティ
2000年を前後してビッグスクーターのブームがあった。各メーカーともに250ccのスクーターがよく売れたが、中でもヤマハのマジェスティがヒット作だった。
今回の写真はそのマジェスティの2007年にフルモデルチェンジした3世代目の前期型。
ビッグスクーターは大人の乗り物として登場したのに、ブームとともにカスタム車が増殖。俺的にはヤマハが大人のライダーためのビッグスクーターを再提案したのが、この三代目マジェスティだと思っている。
今見ても各部の仕上がりが凝っている。高級乗用車を思わせる灯火類など、一歩抜きん...
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ホンダCBシリーズ「冬の光で撮るCB」【カメラマン柴田直行/俺の写真で振り返る平成の名車】第16回(撮影2015年)
季節で変わる光、直球と変化球の使い分け
みんな木枯らしに負けずに元気で走ってるか?
俺達、雑誌を作る側も1年中オートバイを走らせている。俺は撮影機材と共に車での移動が多いが、テストライダーは暑い夏も寒い冬も走ってくれるので頭が下がる。
誤解がないように念のために言うけど、大切な預かり車両が多いので途中で凍結路面など危険が予想される時には、大事をとってトランポに載せて撮影現場まで運ぶ。何が何でもガチで自走という訳ではない。
スタッフ全員で車移動の日は車中でテストライダーから貴重な話が聞けるのでこれまた楽しい。それがまた新しい写真を生み出すヒントになったり。
今回はそんな寒い2015年の冬に...
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ハーレーダビッドソン XL1200N ナイトスター「スポーツスターのお洒落なあいつ」【カメラマン 柴田直行/俺の写真で振り返る平成の名車】第15回(撮影2007年)
「俺写」連載15回、『ゴーグル』で撮った初期の作品を振り返る
こんにちは、カメラマンの柴田です。
平成時代にゴーグル誌で撮影した思い出の1台を写真とともに紹介するこのコラム。夏に連載が始まり早くも15回目。今回ご覧いただくこのハーレーは2008年モデルのナイトスター。撮影したのは2007年の9月だった。
ビッグツインに比べると保守的だったスポーツスターシリーズ。そこに登場したハーレー純正の本格的メーカー製カスタムであったナイトスター。このチャレンジは後年のアイアンやフォーティエイト、セブンティツーなどのヒットモデルへと繋がった。
もっともナイトスター自体は人気モデルではなかったから、覚え...
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BMW HP2 Megamoto「BMW製、水平対向の怪物」【カメラマン 柴田直行/俺の写真で振り返る平成の名車】第14回(撮影2007年)
S1000RR誕生の前、特別な存在感を示したモンスターマシン
今回はBMWのHP2メガモトというレアなバイクの話。知ってる人はかなりのマニアだと思う。
当時、ツーリングバイクが主なライナップであったBMWが、自分たちのアイデンティティである水平対向エンジンを使ったスポーツバイクを生産した。BMWなのに快適さや長距離性能を無視して、乗る楽しさだけをピュアに追求。その名もHP2。まだS1000RRが発売される前の話だ。
HP2はオフ、モタード、ロードスポーツの3台があり、エンジンはいずれも空冷水平対向の1200cc。ライテク自慢のエキスパートライダーだけをターゲットに絞り込んだ、ゴリゴリにガ...
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ヤマハXSR900「XSRを欧風美人に例えて」【カメラマン 柴田直行/俺の写真で振り返る平成の名車】第13回(撮影2016年)
ヨーロッパかぶれの小娘に、50過ぎの男は騙されない……?
なぜか写真と実車の印象が違うオートバイは少なくない。公式発表の後で写真だけ先行して見た時は「このデザインは微妙」なんて思う事がある。
ところが自分が撮影の日に現場で実車にご対面すると「あれ? 意外といいね」なんて思う。そこからじっくり見て行くうちに「あそこがカッコイイ」「この角度から見ると最高」という部分が見つかって、そのオートバイをどんどん好きになって、どんどんシャッターを押す。
女性モデルを撮影するカメラマンは恋人気分になり、それを「瞬間恋愛」と呼ぶらしい。
俺もこれと同じように撮影車両に惚れて瞬間恋愛状態に陥るのだと思う。女...