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「アシスト&スリッパークラッチ」とは? 中型バイクにも採用され始めたこの機構の仕組みと効果を解説【現代バイク用語の基礎知識】
クラッチ操作性の良さで250ccにも装備され始めている!
【主な機能・効果】
1.急減速時のリアの暴れを抑止
2.クラッチ操作が軽くなる
かつてエンジンブレーキが強くかかる大排気量車を中心に装備されていたバックトルクリミッターが、アシスト&スリッパークラッチと名称を変えて400ccや250㏄クラスにも採用されるようになった。
現在のアシスト&スリッパークラッチは、クラッチハウジングとクラッチセンターが、斜めに噛み合っているのが最大の特徴。
エンジンブレーキによるバックトルクがかかると、斜めの噛み合いに沿ってクラッチセンターがクラッチハウジングから離れる方向にスライドし、半クラッチ状態にな...
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バイクの〈VVT〉とは?「バリアブル・バルブ・タイミング」の仕組みを解説!【現代バイク用語の基礎知識2019】
カムシャフトの回転角をずらすことでバルブタイミングを変化
【主な機能・効果】
1.扱いやすさとパフォーマンスを両立
2.快適性と燃費の向上
4ストエンジンは吸排気バルブの開閉タイミング、いわゆるバルブタイミングで基本的な性格が決まる。
そして、決められたタイミングでバルブを開閉するのがカムシャフト。
高回転域のパフォーマンスを優先してバルブタイミングを決めると、低中回転域のトルクやレスポンスが低下するのも、エンジンがそもそも持っている避けられない特性だ。
高回転域のパワーと低中回転域のトルクを両立させる方策として、バルブタイミングを変化させるシステムを採用したのは、91年のスズキ・バンデ...
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バイクの「トラクションコントロール」とは? いまやスポーツバイクの必需品!【現代バイク用語の基礎知識】
トラコンは、走る楽しみを広げるライダーサポートシステム
【主な機能・効果】
1.安全性、安心感の向上
2.滑らかで効率的な走りをサポート
発進時や加速時のリアタイヤの空転を検知、抑制し、安全性や安心感の向上に大きく貢献するトラクションコントロール。
いまや、高性能スポーツモデルを安心して走らせるのに欠かせないシステムとなっている。
国産市販車で初めてトラクションコントロールを採用したのは、1997年に発売されたヤマハの2スト・トレールモデル「ランツァ」。
燃料タンク下に置かれた8ビットマイコンがエンジンの回転上昇率を監視し、リアタイヤの空転によってエンジン回転数が一気に上昇した場合に、点...
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ホンダ車のDCT〈デュアル・クラッチ・トランスミッション〉とは? 仕組みやメリットを簡単に解説【現代バイク用語の基礎知識】
DCTは、トランスミッションの新時代を切り拓いた!
【主な機能・効果】
1.オートマチック感覚のイージードライブができる
2.シフトチェンジの高効率化
バイクに対するニーズが多様化する先進諸国において、「操作が簡単で、快適に楽しく走れる」という要望に応えるべくホンダが開発したのが、DCT「デュアル・クラッチ・トランスミッション」。
既存の有段式トランスミッションをベースに自動発進、自動変速を実現したもので、大排気量スポーツバイクにも対応できる点が大きな特徴だ。
すでに四輪で実用化されていたものを世界で初めて二輪向けに転用したもので、メインシャフトを二重構造としてそれぞれにクラッチを連結し...
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バイクの〈ライディングモード〉を解説!「パワーモード」とは実はちがう!?【現代バイク用語の基礎知識】
好みと状況に合わせてボタンひとつで「性格」を変化させる機構
【主な機能・効果】
1.ハイパワーモデルでも安心して乗れる
2.安全性の向上
先代のヤマハ「YZF-R1」や「MT-09」に採用されているDモード(現行R1ではPWR・パワーモード切替システムに進化)などがいわゆるライディングモード。
路面コンディションやライダーのテクニック、好みに応じてボタン操作で出力特性を変化させ、高性能ハイパワーモデルを幅広いユーザー層に楽しめるようにするという目的は、スズキのS-DMSに代表されるパワーモード(後述)と変わらないが、ライディングモードはそのアプローチ方法が異なっている。
パワーモードでは...
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「ライド・バイ・ワイヤ」「スロットル・バイ・ワイヤ」「電子制御スロットル」とは?いまや250㏄にも搭載!【現代バイク用語の基礎知識】
「スロットル・バイ・ワイヤ」は、アクセル操作を電気信号に変換してスロットルバルブを制御する!
【主な機能・効果】
1.最適なスロットル開度の確保
2.安全性、省燃費性の向上
ライダーがアクセルを開け閉めすると、アクセルケーブルを介してその分だけスロットルバルブが開閉する。
クルマ、バイクが世に誕生して以来続いて来たこの常識を打ち破ったのが、スロットル・バイ・ワイヤ。
メーカーによって「フライ・バイ・ワイヤ」、「ライド・バイ・ワイヤ」といった呼び名が使われるが、すべて同じもの。ヤマハの「YCC-T」(ヤマハ電子制御スロットル)も同様だ。
スロットル・バイ・ワイヤでは、アクセルはスロットルバ...
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〈IMU〉とは何か? 近代電子制御システムの根幹となる機構を解説【現代バイク用語の基礎知識】
車体のあらゆる動きを素早く精密に把握する!
【主な機能・効果】
1.バイクの動きを正確に検出
2.すべての制御の基盤情報を提供
例えば「トラクションコントロール」の場合、単に前後ホイールの回転差からリアホイールの空転を検出し、点火時期を調整してリアタイヤのスリップを止めるものから、現在では走行状況に応じて効き具合をリニアに変化させるシステムへと進化している。
この進化の過程で必要となったのが、走行中のバイクの姿勢を正確に把握するセンシング技術だった。
バイクの動きには左右方向の軸を中心に回転する「ピッチ」、前後方向の軸を中心に回転する「ロール」、上下方向の軸を中心に回転する「ヨー」があり...
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覚えておいて損はない!〈ダブルウィッシュボーン〉式サスペンションを解説【現代バイク用語の基礎知識2019】
滑らかな乗り味と自然なハンドリングを生む機構。ラグジュアリーなツアラーに採用されている!
【主な機能・効果】
1.乗り心地と運動性能の向上
2.車体のコンパクト化への貢献
ダブルウィッシュボーン式サスペンションとは、ホンダが新型ゴールドウイングに採用したフロントサスペンション。
四輪のダブルウィッシュボーンを応用した機構で、上下2段に配置されたアームとそこにマウントされたショックユニットが衝撃吸収を受け持ち、転舵はハンドルとフォークユニットを2本のリンケージで結んで操作する仕組みだ。
細かい仕様やレイアウトは異なるが、BMWがKシリーズに採用する「デュオレバー」と同類である。
オートバイ...
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〈ハイブリッド・システム〉はクルマとバイクでちがう!? ホンダ「PCXハイブリッド」の仕組みを解説!【現代バイク用語の基礎知識2019】
モーターアシストによって、ひとクラス上の加速力を獲得する〈ハイブリッド・システム〉
HYBRID SYSTEM(ハイブリッド・システム)
【主な機能・効果】
1.クラスを超えたダッシュ力
2.車体の既存レイアウトでも可能
ハイブリッドとは、クルマの世界では2つ以上の動力源を持つ自動車のことを指し、一般的にはガソリンエンジンとモーターの組み合わせが主流となっている。
二輪車として量産車で初めてこのハイブリッド機構を採用したのが、2018年9月から発売されているホンダの「PCXハイブリッド」だ。
四輪車の場合、ハイブリッドは単体でも車両を駆動できる高出力モーターを搭載するものを「フルハイブリ...
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BMWが生んだ〈シフトカム・テクノロジー〉は、1つのエンジンで2つの特性を出す画期的な機構だ!【現代バイク用語の基礎知識】
2つのカムを使い分けて「出力」と「燃費」をともに向上する!
★SHIFT CAM TECHNOLOGY(シフトカム・テクノロジー)
【主な機能・効果】
1.パワーの向上、特性の最適化
2.燃費性能の向上
オートバイのエンジンは日進月歩で進化しているが、メーカー各社が力を注いでいるのがパワー特性。出力、燃費、環境性能を向上させながら、いかに扱いやすいフィーリングに仕上げるかが永遠のテーマだ。
BMWが採用した「シフトカムテクノロジー」は、2つの異なるパワー特性を1つのエンジンで使い分ける技術。
具体的には、2種類の異なるプロフィールを隣合わせに備えたカムシャフトを特定の回転数でスライドさせ...
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自然治癒力を持つ夢の塗装!? カワサキ車に採用され始めた〈ハイリー・デュラブル・ペイント〉の秘密とは?【現代バイク用語の基礎知識2019】
「トランポリン効果」で傷をはね返す!!
【主な機能・効果】
1.キズがつきにくい
2.キズがついても目立ちにくい
2019年モデルから、カワサキ車の一部モデルに導入され始めたHIGHLY DURABLE PAINT(ハイリー・デュラブル・ペイント)。
この塗装方法は、キズがつきにくく、キズついても、それが浅いものなら自己修復するという、夢のようなペイントだ。
デリケートなメッキ仕上げの銀鏡塗装を採用するニンジャH2シリーズをはじめ、ヴェルシス1000SEなどカワサキ車の上級グレードに採用されている。
この塗装は通常のクリア層にあたるコーティング部分の分子構造が特殊なものとなっていて、それ...
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バイクの「ウイングレット」とは? 新型スポーツモデルに採用され始めた“羽”の効果を解説【現代バイク用語の基礎知識】
ウイングレットは、ダウンフォースを生むGPテクノロジー
【主な機能・効果】
1.不要なフロントリフトの低減
2.安定した走行性能の確保
2016年ごろから、MotoGPマシン各車に装備されて話題を呼んだのがWINGLET(ウイングレット)。
中にはまるでF1のような大型ウイングまで登場したが、その後のレギュレーションの改定などで現在は控えめなものとなっている。
そんなウイングレットが近年市販車にも導入され始めており、2019年モデルのドゥカティ・パニガーレV4Rには、2016年のワークスマシン・デスモセディチGP16のノウハウが入ったウイングが装着されているほか、カワサキのニンジャH2R...