しかし、耐久レースで勝てることを目指したスズキは、あえてまったく新しい冷却方式として油冷を開発した。こうして生まれたGSX-R750は大ヒットするとともに、世界中のレースで大いに活躍したのである。
まとめ:岡本 渉/協力:バイカーズステーション、佐藤康郎、H&L PLANNING
※この記事は2025年7月2日に発売した『レーサーレプリカ伝 4ストローク編』に掲載したものを一部編集して公開しています。
スズキ「GSX-R750(GR71F)」(1985年)概要

SUZUKI
GSX-R750
1985年
総排気量:749cc
エンジン形式:油冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:765mm
乾燥重量:179kg
発売当時価格:78万円
1983年にRG250Γ、1984年に400ccのGSX-Rを発売してレーサーレプリカというジャンルを作り出したスズキは、次期モデルを“24時間耐久レースに出ても勝てるスーパースポーツ”と決定する。排気量はTTF-1の新規則の750ccとし、最高出力100PS、乾燥重量176kgを目標とした。そして、新たに考案した油冷方式のDOHC並列4気筒をアルミフレームに搭載したGSX-R750を完成させたのである。
こうして生まれたGSX-R750は1984年9月の西ドイツ(当時)・ケルンショーでデビューし、国内では1985年3月に発売する。爆発的にヒットしただけでなく、発売早々のル・マン24時間耐久レースで1-2フィニッシュを達成。全日本選手権でも1987年までの3年間、ヨシムラ・スズキが3連覇し、AMAスーパーバイクも含めて世界中で大活躍した。
1986年3月には乾式クラッチを装備してヨシムラカラーを施し、シングルシートを備えたGSX-R750Rを500台限定で発売。このモデルは、スイングアームを30mm延長するとともにホイールを強化、ラジアルタイヤの採用などがされ、これらは翌月発売のSTDの2型にも反映された。


DOHC4バルブ並列4気筒エンジンは、既にGSX-R(400)で採用している水冷も検討されたが、当時のスズキの技術では、ウォーターポンプやラジエーターなどの補機類で5~6kgの重量増を招くと試算。これでは目標とする車重は実現できない。
そこで考案されたのがSACS(スズキ・アドバンスド・クーリング・システム)。シリンダーヘッド内に上面からオイルを噴射して冷却する方式だ。前作GSX750Eで用いていたピストンの裏側にオイルを噴射して冷却するピストンクーラーと合わせて、日本では“油冷”として認可を受けた(海外向けカタログには“エアクールド”と記載)。
これにより、エンジン重量は400ccのGSX-Rと同等の67.6kgを実現した。なお、輸出仕様は100PSだが、日本仕様は自主規制上限の77PSである。
