エンジンを中心に、多数のパーツを新作してパフォーマンスを磨き抜いた新型のGSX-R1000R。大型スーパースポーツを取り巻く環境が厳しくなる中、スズキのこだわりと情熱が生み出した珠玉の1台だ。ここで開発者に話を聞いてみよう。

まとめ:オートバイ編集部
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スズキ「GSX-R1000R」開発者インタビュー

SUZUKI GSX-R1000R 開発陣6名

画像1: スズキ「GSX-R1000R」開発者インタビュー

GSX-Rに与えられた〝使命〟を徹底して重視したこだわりのメカ

「排出ガス規制のユーロ5+に適合させて、GSX-Rを全世界で楽しんでいただけるマシンに進化させる、というのが開発テーマでした。排出ガス規制は出力にも影響を与えますが、いかにパワーフィールを維持したまま適合させるかで苦労しました」

そう語るのはチーフエンジニアの東郷さん。結果として新型GSX-R1000Rは、エンジンをメインにたくさんのパーツに改良が加えられ、熟成と進化を果たしたわけだが、外装に関しては従来型のものをベースとしている。メカ部分をここまで進化させたモデルチェンジであれば、スタイリングをガラッと変えても良かったのではないか、と思い切って聞いたら、こんな答えが返ってきた。

「正直、外装も変えるプランがないわけではありませんでしたが、何より、レースシーンで高い実力を存分に発揮できるマシンにするという、GSX-Rに与えられた『使命』を今回は重視しました。外装の変更よりも、レースレギュレーションで変更できないパーツを見直し、進化させることでポテンシャルの底上げを図っています」

レースレギュレーションで変更できないパーツ、というのはどのあたりか、改めて信太さんに聞いた。

「EWCのレギュレーションですと、ピストン、クランクシャフトやバルブのサイズなどは市販車から変更できません。今回はそのあたりを見直し、レベルアップさせることで、プライベーターのお客様でもレベルアップを実感いただける仕様としています。ただ、ひとつのパーツを進化させただけでエンジン性能が上がるわけではありません。従来型のエンジンをベースに、トータルのバランスを崩さないようにレベルアップさせています」

外装パーツで言えば、新たにアクセサリー設定されたウイングレットが話題になっているが、このウイングレットの採用について東郷さんに聞いた。

「もともとGSX-Rは前面投影面積が小さく、空力的にも有利なスタイリングをしています。ウイングレットは付けなくてもいいのではないか、という葛藤もありましたが、市場からの要望が非常に大きかったこともありましたし、アクセサリー扱いとすることで選択肢も広がりますので採用しました」

そのウイングレットは、スズキCNチャレンジで鈴鹿8耐に参戦したマシンのノウハウが活かされている。髙橋さんに聞いた。

「今回設定されるウイングレットには、CNチャレンジのマシンで得た知見がフィードバックされています。ウイング形状については4種類ほど試作しましたが、テストを繰り返しながら検討を重ね、現在の形状に落ちつきました。ウイングの固定は下部をボルト留めとし、上部は両面テープで固定しています」

画像1: スズキ「GSX-R1000R」開発者インタビュー|徹底したこだわりが生み出す極上パフォーマンス!【GSX-R 42年史】

ウイングレットは試作を重ねて誕生したこだわりのアイテム。ドライカーボン製で、CNチャレンジのマシンのノウハウが活きている。

エンジン関連で言うと、新型は個々の部品のチューニングが徹底されていて、特にクランクシャフトの重量バランスやシリンダーの加工精度などが徹底追求されており、中にはミクロン単位の精度が追求されているパートもあるという。想像を絶する技術と精度が要求される話なのだが、生産技術担当の加賀美さんは冷静に語る。

「精度を追求しながら安定して生産するためには管理が重要になります。ミクロン単位の精度を求めると、気温ひとつで大きく変わってしまうため、生産設備の温度管理も徹底しました。また、アルミ製のパーツが多いGSX-Rの場合ですと、アルミは熱でひずみやすいため、製造工程のパーツのつかみ方ひとつにまで気を使っています」

パーツの精度にまで気を配り、徹底してエンジン性能を磨き抜いた新型GSX-Rだが、ひと口で言うとどんなバイクに仕上がっているのだろうか。大城さんに聞いた。

「今回はクランクシャフトや大径バルブなど、エンジンパワーをアップさせるパーツが投入されています。排出ガス規制の関係で、パワースペックは下がっていますが、パワーを大切にしたエンジンであることに変わりはなく、レース用のチューニングを従来型と同じように施した場合、新型は従来型よりもパワーアップしており、エンジンのポテンシャルは間違いなく上がっています。公道でもそうしたエンジンを所有する『ワクワク感』を楽しんでいただけたら嬉しいです」

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黄色い部分は従来からの変更点。バルブ、ピストン、クランクシャフトなど、エンジンのパーツの多くが変更されている。

海外のジャーナリスト向けに、試乗会は6時間の耐久レース形式で行われた新型GSX-R。聞けばその6時間におよぶ試乗会は連続して2回開催されたそうだが「交換したパーツはタイヤとブレーキパッドぐらいで、特にトラブルもありませんでした(東郷さん)」という。

いかにGSX-Rの信頼性と耐久性が高いか、というエピソードだが、同時にこれはいかにGSX-Rがドライバビリティに優れているかの証でもある。岩田さんに聞いた。

「電子制御がないときちんと走らないようなマシンをスズキが造ることはありません。コントローラブルであることはGSX-Rの伝統であり、電子制御がなかったとしても、GSX-Rはライダーの意のままにコントロールできるバイクなのです。マシンの基本がしっかりしてこその電子制御であり、電子制御は料理にたとえるなら、最後の味付けを整える調味料のようなもの。あくまで『付いているとラクだな』という存在なのです。コントローラブルなマシン造りに関してはスズキがナンバー1だ、という自信があります」

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スペインで開催された国際試乗会はなんと6時間耐久レース形式。新型GSX-Rはタイヤ交換のみでこれを2回もこなし切り、ポテンシャルの高さを見せつけた。

新型になっても、GSX-Rにはスズキの伝統と情熱、そして常に最強を目指す開発陣の意地が詰まっている。40周年の大きな節目を迎えても、それはまったく変わらない。
「40周年ということで、ボディカラーの候補もたくさんあったのですが、世界のお客様に愛していただけるよう3色に絞りました。楽しみにしていてください(東郷さん)」

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