2017年型が築いた高い完成度を、スズキは4年の空白期間にも磨き続けていた。規制対応や耐久性向上だけにとどまらず、中低速域の扱いやすさ、サスペンションの接地感、電子制御との自然な一体感を丁寧に熟成。2026年型「GSX-R1000R」は、数値だけでは語れない性能をさらに深めている。

文:小川 勤 写真:写真:赤松 孝、松川 忍、南 孝幸
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スズキ「GSX-R1000R」インプレ(小川 勤)

画像: SUZUKI GSX-R1000R 2026年モデル 総排気量:999cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:825mm 車両重量:203kg 価格:237万6000円(税込) 発売:2026年7月17日(日)

SUZUKI
GSX-R1000R
2026年モデル

総排気量:999cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:825mm
車両重量:203kg

価格:237万6000円(税込)
発売:2026年7月17日(日)

これぞ正統派スポーツ! 輝きを増す“R”の魅力

画像1: スズキ「GSX-R1000R」インプレ(小川 勤)

久しぶりにGSX-R1000Rと対面すると、これまでに味わったさまざまな走りがフラッシュバックする。そして、その記憶はどれも色褪せていない。

2026年モデルとして復活したGSX-R1000Rは、2017年モデル(L7)をベースとしている。L7は、当時のMotoGPマシン、GSX-RRで培った技術が投入され、トップカテゴリーで得た高次元のバランスは、試乗会が開催されたフィリップアイランドで驚くべきパフォーマンスを見せてくれたことを思い出した。

どこにも硬さを感じさせない車体(L7)は、初めて走るコースでもライダーに自信を与えてくれる。低速域では難しさを感じさせずにタイトに旋回し、超高速域では素晴らしいスタビリティを発揮する。大パワーに対する警戒心が解けるまでにも、それほど時間はかからない。

慣れるほどに電子制御の働きも理解でき、トラクションコントロールを効かせながらダイナミックに立ち上がり、リミッターが作動する299km/hまでストレスなく加速していく。その走りが、今も鮮明に蘇る。

10段階のトラクションコントロールと、3つから選択できるパワーモードは、サスペンション設定やタイヤ銘柄を変更した際にも調整しやすく、秀逸だ。さらに、バンク中でも操作できるアップ/ダウン対応のクイックシフターにより、コーナー進入でも立ち上がりでも、必要な回転域をすぐに引き出せる。

ライダーの技量に応じ、走りに集中させてくれること。要するに、ライダーに寄り添う高性能こそが、GSX-R最大のこだわりなのだ。

その後もさまざまなシーンで試乗してきたが、歴代GSX-Rが他のスーパースポーツと異なるのは、いい意味でレースに特化しすぎていないことだ。速さの中に楽しさを見出し、その楽しさを多くのスポーツライディング好きが共感できるキャラクターとして仕上げている。

目には見えにくく、数値にも表れにくい感覚的な性能を、GSX-Rは磨き続けてきた。「楽しい」と思えるのは、ライダーの操作に素直に応えてくれるからに違いない。

ウエット路面で実感した、扱いやすさと絶妙な接地感

そして注目の新型は、峠での試乗となった。時折、雨が降るコンディションだったからこそ、GSX-Rらしさがより明確に見えてきた。

画像2: スズキ「GSX-R1000R」インプレ(小川 勤)

久しぶりに跨ると、サスペンションはスッと沈み込み、車体は実にコンパクトに感じられる。シート高はスーパースポーツの中では低めの部類に入るため、リーン時に高い位置からフラッと倒れ込むような感覚が少ない。それでいて、荷重移動に対するレスポンスは非常にいい。

規制対応と耐久性の向上に加え、実質的な速さも狙ったというエンジンは、どこかザラリとしたGSX-Rらしさに満ちている。クラッチをつないだ瞬間から扱いやすく、ミッションタッチも上質だ。

画像3: スズキ「GSX-R1000R」インプレ(小川 勤)

強化された中低速域のおかげで、高いギアを選び、低い回転数で走る場面でも、よりスムーズになっている。この領域での従順さは、スーパースポーツであることを忘れさせるほどだ。

ベースは2017年モデルまで遡るが、2026年モデルでは、極めて完成度の高かった基本骨格を、執念ともいえる緻密さで進化・熟成させてきたことが伝わってくる。

サスペンションは、大きな姿勢変化を感じさせない一方で、グリップの低いウエット路面でも接地感や動きをつかみやすい絶妙な設定だ。当然ながらサーキットでの走りも想定しているが、そのバランスは見事である。

速度や路面状況が変わっても揺るがないフィーリング

画像4: スズキ「GSX-R1000R」インプレ(小川 勤)

GSX-Rの魅力は、40km/hのコーナーでも200km/hのコーナーでも、ハンドリングのフィーリングが大きく変わらないことだ。さらに言えば、ウエットでもドライでも、その基本的な感触は変わらない。

スピードが上がれば当然、緊張感は増す。しかし、そこに恐怖ではなく、興奮を加えてくれるのがうれしい。そして、理想の走りに近づくほど、その興奮は感動へと変わっていく。

ここで得られる達成感は、「走る、曲がる、止まる」という基本性能を真面目に磨き込んできた結晶といえるだろう。

沈黙していた4年間も、スズキのエンジニアたちはひたすら重箱の隅をつつくように改良を重ねていたのだろう。それが、走るほどに伝わってくる。次はサーキットで、再会したい。

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