文:伊藤康司/写真:長谷川徹
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転んだ時の防護性は大切だが、転ばないための「着心地」が重要
日本で初めて「上下が繋がった革製のレース服」であるレーシングスーツを作ったクシタニ。今年2026年はロードレースの頂点MotoGPクラスで小椋藍が目を見張る大活躍だが、彼が着用するクシタニのレーシングスーツには、同社が考える「アクティブセーフティ」の思想が詰まっている。そしてクシタニのライディングウエアは、余さずそのコンセプトがつぎ込まれているのだ。
たとえばクルマなどの安全技術には、大きく分けてパッシブセーフティ(受動的安全)とアクティブセーフティ(能動的安全)の2種類がある。パッシブセーフティは事故が起きた際に乗員などの安全を守るシートベルトやエアバッグといった技術や機能を指し、アクティブセーフティは衝突事故などを未然に防ぐための技術で、近年では自動ブレーキなどが代表的だ。
この考えをライディングウエアに当てはめると、パッシブセーフティは転倒や事故の際に身体への衝撃を抑えるプロテクター類や、レザージャケットなど丈夫な素材などに相当するのは容易にイメージできる。……が、それではライディングウエアにおける能動的なアクティブセーフティとは何なのだろうか?
そこで今回はクシタニ東京代表の櫛谷信夫さんに、同社が大切にするアクティブセーフティの根幹を伺った。
「レーシングスーツは、もちろん転倒した際の防護性に優れていることは大前提です。しかし転ぶ前、転びそうになった時の危険回避には動きやすさが重要になります。またレースでより良いタイムで走るためにも、運動性の高さは必要ですよね。ですからレーシングスーツはプロテクションと運動性のバランスが最重要になります」と櫛谷信夫さん。
とはいえ一般ライダーが着用するライディングウエア、いわゆる革ジャンパーやテキスタイル(繊維を使った生地)のジャケットなどは、トップクラスのプロライダーが着用するレーシングスーツとは使用目的も大きく異なり、そもそも「かけ離れたモノ」……と感じるのが普通ではないだろうか。
「もちろん一般ライダー向けの製品に、レーシングスーツの技術をそのままフルに投入するわけではありません。しかし走るフィールドや速度レンジは違っても、プロテクションと運動性のバランスが、それぞれの使い方において重要なのは同じだと考えています。
たとえば街乗りでもツーリングでも、転倒した時のプロテクション性ばかりを追求していくと、とにかく摩擦強度に優れた生地や高強度のプロテクーを選択することになりますが、これらは総じて“重く、硬く”なりがちです。
すると着用した際に、なんとなく重さや硬さを意識してしまいますし、ライダーによっては、それが疲労感に繋がることもあります。するとライディングの集中力が弱まるなどして、結果的に安全性を損なう可能性もあります。
小椋藍選手のレーシングスーツは、着用時に違和感を抱かせないことを大きな目標に製作していますが、これは一般ライダーのウエアにも共通しています。着用していることに違和感無く、重いとか軽いとか硬い・柔らかいなど意識しない、良くも悪くも意識する必要がないのが、いちばんライディングに集中できている状態だと思うからです。それが転ぶ前の話、転倒しないためのアクティブセーフティだと考えるからです」

クシタニの販売・広報・IT事業を統括する「株式会社クシタニ東京」の代表を務める櫛谷信夫さん。経営戦略から店舗の展開・設計まで手掛けるマルチプレーヤーだ。
近年は欧州をメインとする「CE規格」が重視され、プロテクターや生地もCE規格に準拠したライディングウエアも増えているが……。
「転倒時の防護性が大切なのは当然なので、当社もCE規格LEVEL2のプロテクターなどを新規に開発・販売しています。しかし、柔らかさや軽さを備えたソフトパッドなども並行して販売しています。ウエアの使い方や個々のライダーの好みで選択できるのが大切だと思いますから。
またテキスタイルウエアの生地も、当社はバイクウエアを作る会社なので、たとえば“ナイロンにウレタンをどれくらい混ぜて~”というように組成配合から決めて生地を作るところから始めています。そしてタウン用だったりハードなツーリング用など、使い方によって味付けを変えたりもしていますし、同じウエアでも運動性やフィット性を高めるために部位によって生地を変える場合もあります。
そしてレザージャケットなどの革製品も、素材となる革作りからタンナーさんと共同して開発しています。強度だけでいえば繊維質を多く、簡単言えば厚い革を使えば良いですが、それだと硬くてしなやかさがありません。そこで元の革(元皮)の厚さの表と裏をカットして、真ん中の1.2㎜とか1.4㎜だけを使います。こういった“バイクウエア用の革”を作っているメーカーは他にないと思います」
専用の生地や革、そして様々なプロテクターを開発・製造するには、もちろん手間もコストもかかる。それは着用時に硬さや重さを感じさせずライディングに集中できることで、転倒や事故の要素を可能な限り抑制する「アクティブセーフティ」に繋がるという信念があるから。それがバイクウエアメーカーたるクシタニの矜持なのだろう。

小椋藍はじめプロライダーのレーシングスーツは、着用して違和感を抱かせないようプロテクションと運動性のバランスを追求し、ベテラン職人が丁寧に製作する。一般ライダーがツーリングで着るライディングウエアも、基本的なコンセプトは変わらない。
違和感が無く快適であることが安全性を高める
クシタニといえばレーシングスーツが有名だが、ツーリング向けのレザージャケットやテキスタイルウエア、レザージーンズなどを豊富にラインナップし、シューズやグローブも独自に開発。そのすべてがアクティブセーフティのコンセプトのもとに作られている。
素材やパターン、縫製などでライダーに違和感を抱かせない着心地を追求するのは、使用するステージこそ異なるがトップライダーが着用するレーシングスーツと変わらない思想だ。

もちろん転倒時の防護性は大前提にあるが、違和感なく快適に着られることがライディングに集中でき、結果的に安全性の向上に繋がる。これがクシタニの考えるアクティブセーフティだ。

もちろん転倒時の防護性は大前提にあるが、違和感なく快適に着られることがライディングに集中でき、結果的に安全性の向上に繋がる。これがクシタニの考えるアクティブセーフティだ。

もちろん転倒時の防護性は大前提にあるが、違和感なく快適に着られることがライディングに集中でき、結果的に安全性の向上に繋がる。これがクシタニの考えるアクティブセーフティだ。

もちろん転倒時の防護性は大前提にあるが、違和感なく快適に着られることがライディングに集中でき、結果的に安全性の向上に繋がる。これがクシタニの考えるアクティブセーフティだ。
今回はこれからのシーズンで活躍するウインター用のテキスタイルジャケットを紹介するが、もちろん春~秋用や、夏用のメッシュジャケットも多彩に揃える。どの製品も身体にフィットする縫製パターンや、走行中のバタつきを抑えるタブやベルト、温度調節しやすいエアダクトなどを装備する。
またレザージャケットやメッシュウエアを除く多くの製品が、少雨ならレインウエア不要の防水仕様なのもライダーには嬉しい。
ちなみにウインター用の防寒テキスタイルジャケットは、基本的にプロテクターはオプションとなるが、これはプライスを抑えるための配慮。反対に防寒以外のテキスタイルジャケットの多くは肩、肘、背中にプロテクターを標準装備し、これらのプロテクターは防寒テキスタイルジャケットに流用が可能になっている。
レザージャケット
K-0735 URBAN REGULATOR JACKET[14万9600円~(税込)]
国産ホルスタイン原皮に加脂工程を2度行う「2加脂レザー」を採用。少量の顔料で仕上げることで素材本来の質感を活かした上質な風合いを実現。上腕部のエアインテークやリフレクターの装備で快適性や安全性を高め、ツアラーユースにも対応。

特徴的なハイカラーのレザーフードジャケット。襟の内側にファスナーを設け、乗車時はファスナーを閉じることでフードのバタつきを抑え、開けるとフードを立体的に使用できる。

特徴的なハイカラーのレザーフードジャケット。襟の内側にファスナーを設け、乗車時はファスナーを閉じることでフードのバタつきを抑え、開けるとフードを立体的に使用できる。

肩、肘、背中にソフトタイプのプロテクターを標準装備。またオプションの胸部プロテクター(写真はK-4682 AIR CE PROTECTOR)も簡単に装着できる。
テキスタイルジャケット
スポーツタイプ:K-2887 WINTER CONTEND JACKET[5万5000円(税込)]
ライディングフォームに合わせた設計のウインター仕様のスポーツジャケット。高速走行時のバタつきを最小限に抑える袖幅や裾幅の調整機能や、運動性を高めるストレッチ素材を随所に配置する。

非対称の配色とジオパターンエンボス柄素材の配置で、スポーティー感を追求。耐水性、浸透性に優れる。脱着式インナーが付属。別売のプロテクターの装着が可能。

非対称の配色とジオパターンエンボス柄素材の配置で、スポーティー感を追求。耐水性、浸透性に優れる。脱着式インナーが付属。別売のプロテクターの装着が可能。
スポーツタイプ(レディース):KL-2887 WINTER CONTEND JACKET[5万5000円(税込)]
ウインターコンテンドジャケットのレディース仕様。バタつきを抑えるサイズ調整ボタンや視認性を高めるリフレクター、気温に応じる脱着式インナーなど多彩な機能を装備。

女性用のサイズはもちろん、女性らしいシルエットを美しく見せる専用設計がなされる。

女性用のサイズはもちろん、女性らしいシルエットを美しく見せる専用設計がなされる。
オーセンティックタイプ:K-2890 WINTER ARCANA JACKET[5万3900円(税込)]
トラディショナルなフォルムとデザインのウインタージャケットは、ストレッチ機能を持たせた独自開発の防水透湿生地を採用。脱着式インナージャケットが付属し、別売のプロテクター(胸、肩、肘、背中)が装着可能。

ダブルのフロントファスナーとダイヤ柄パテッドデザインがアクセント。フロントのレトロカラープリントが個性的。

ダブルのフロントファスナーとダイヤ柄パテッドデザインがアクセント。フロントのレトロカラープリントが個性的。
カジュアルタイプ:K-2888 WINTER AMENITE JACKET[5万3900円(税込)]
簡易防水機能を持ち、少雨ならレインウエア不要のウインタージャケットは、強度に優れたリップストップ×杢調をミックスした防水透湿素材の表地とメッシュ裏地を組み合わせた2レイヤー構造。脱着式インナージャケットが付属し、別売プロテクターの装着が可能。

簡易防水機能を持ち、少雨ならレインウエア不要のウインタージャケットは、強度に優れたリップストップ×杢調をミックスした防水透湿素材の表地とメッシュ裏地を組み合わせた2レイヤー構造。脱着式インナージャケットが付属し、別売プロテクターの装着が可能。

簡易防水機能を持ち、少雨ならレインウエア不要のウインタージャケットは、強度に優れたリップストップ×杢調をミックスした防水透湿素材の表地とメッシュ裏地を組み合わせた2レイヤー構造。脱着式インナージャケットが付属し、別売プロテクターの装着が可能。
レザージーンズ
EXPLORER RIDE JEANS EX-1221R[7万5900円(税込)]
1996年に登場したクシタニの看板商品ともいえるレザージーンズ。独自に開発したデニムのような風合いの「EXレザー」は、グリップ力が高くライディングに重要な下半身ホールドに最適。優れた撥水性を持つため、少雨ならレインウエアなしでOK。

一見デニムのような風合いのレザーパンツ。立体裁断により乗車時の足への負担を軽減。膝にソフトタイプのプロテクターを標準装備。自宅で洗濯可能なのも大きなメリット。
オフロード
クシタニは1990年頃までオフロードウエアのブランド「ホールショット」を展開していたがその後は休止。しかし2022年より再び開発研究を開始し、プロライダーによる選手権レースでも実戦テストも行い、製品にフィードバックする。
MOVE OFF ROAD JERSEYⅢ M-1348[8800円(税込)]

自然なライディングポジションが取れる立体裁断により、激しいアクションはもちろん長時間の走行でも疲労を軽減。タフな素材は速乾性に優れ、快適な着用感を実現。
MOVE OFFROAD PANTSⅢ M-1365[2万5300円(税込)]

膝の内側部分に柔軟かつ高いグリップ力を誇る、同社のレーシングスーツに使用する「プロトコアレザー」を配することで、マシンのホールド性とコントロール性を高次元で確保。
OTHERS
FLOW SHOES K-6307[2万8600円(税込)]

通気性に優れるパンチングメッシュのライディングシューズは、脱ぎ履きが容易なBOAシステムを採用。オリジナルの新型ソールがライディング時の安定感と操作性を高める。
K-5609 GP WINTER GLOVES[1万9250円(税込)]

ゴートレザーを採用した防風ウインターグローブだが、GPの名が付く通りスポーティな立体カッティングと各部のプロテクター&シャーリング配置が特徴。スマートフォンの操作にも対応する。

ゴートレザーを採用した防風ウインターグローブだが、GPの名が付く通りスポーティな立体カッティングと各部のプロテクター&シャーリング配置が特徴。スマートフォンの操作にも対応する。
NEO RACING CHEST PROTECTOR K-4452[9900円(税込)]

事故の際の防護に重要な胸部プロテクターはCE規格(EN1621-3 LEVEL1)をクリア。クシタニのほとんどのジャケット(レザー、テキスタイル)にマジックテープで装着可能。
【動画】小椋藍選手に訊く、トップライダーと装備のリアルな関係|KUSHITANI RIDERS VOICE
小椋藍選手に訊く、トップライダーと装備のリアルな関係|KUSHITANI RIDERS VOICE
www.youtube.com小椋藍選手が活躍するMotoGPを観るならコチラ!
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