モーターサイクルショーでの登場から市販化が待たれていたCB1000Fがついに公道デビュー! オールラウンドに楽しめるロードスターというコンセプトだが、その完成度は相当高いものだった。早速試乗レポートをお届けしよう!
文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸、赤松 孝
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ホンダ「CB1000F」インプレ(太田安治)

画像: HONDA CB1000F 2025年モデル 総排気量:999cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:795mm 車両重量:214kg 発売日:2025年11月14日(金) 税込価格:139万7000円

HONDA
CB1000F
2025年モデル

総排気量:999cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:795mm
車両重量:214kg

発売日:2025年11月14日(金)
税込価格:139万7000円

想像を超えるレベルのまとまりの良さに感激!

これまで5000台以上を試乗してきた経験から、僕は実車と大まかな資料を見ればある程度乗り味が予想できて、それが大きく外れることは滅多にない。だがCB1000Fではその「滅多にない」ことが起きた。各パートのきめ細かな造り込みが調和し、想像を遙かに超えるレベルでまとまっていたのだ。

画像1: ホンダ「CB1000F」インプレ(太田安治)

デザインのモチーフは1979年発売のCB750F。タンクからサイドカバー、テールカウルまで流れるように繋がるラインとグラフィックは、往年の「エフ」イメージを誇張することなく上品に受け継いだもの。35年前に1983年型CB750FCに乗っていた僕もこのデザインには大いに惹かれる。

画像2: ホンダ「CB1000F」インプレ(太田安治)

走り始めは完全なウエット路面だったが、エンジンレスポンス、ハンドリング、前後ブレーキバランスの把握には有利だ。まずライディングモードを「スタンダード」にして真っ先に感じたのがゼロ発進のイージーさ。1~3速のギア比がホーネットよりショート(加速型)に変更されていることもあり、ほぼアイドリング回転のままでもスルスルと動き出すし、クラッチも軽いので渋滞路が苦にならない。スロットル開け始めのドン付きも、閉じた際の吹け残りもなく、CV型キャブレターのように自然な感覚だ。

「レイン」モードでは明確にレスポンスが緩くなって、雑なスロットル操作でもギクシャクせず、トラクションコントロールも早めに介入する。濡れた路面に適しているのは当然だが、景色を楽しみながらゆったりしたペースで走りたい時や、大パワーに不慣れなライダーはドライ路面でも積極的に使うといいだろう。

市街地での乗りやすさをアシストしているのがブレーキのタッチと効力バランス。制動力の立ち上がりが穏やかで、フロントフォークがギュン! と沈むことを防いでくれ、リアも同様に初期の効きがマイルド。開発者の話では、ブレーキホースの膨張率を変えるなどでこのフィーリングを出しているとのこと。そしてホーネットよりソフトなセッティングが施された前後サスペンションがギャップをきれいに吸ってくれるので、市街地から高速道路まで優しい乗り心地になっている。

優しい乗り味ながらスポーツランも爽快!

画像3: ホンダ「CB1000F」インプレ(太田安治)

次の試乗ステージは1~3速までを使うワインディングで、路面は完全ドライ。走り慣れた道だが、まずは慎重に…と思っていたが、最初から結構なペースで走れてしまう。これはタイヤの接地感が掴みやすく、コーナー入り口から立ち上がりまでの旋回力変化が少ない車体剛性とサスペンション設定、スロットル操作に忠実に反応して加減速するエンジンがマッチしているからにほかならない。

ABSが介入するようなハードブレーキングやクイックな切り返しではピッチングモーションが大きめだが、ストローク奥でグッと踏ん張ってくれるから不満はない。最高出力はホーネットより下がっているものの、違いが明確に感じられるのは8000回転以上で、それ以下の回転域ではFのほうが図太くてパワフルだ。

サーキットの走行会レベルなら、サスペンションは標準セッティングのまま、ライディングモードを「スポーツ」にセットするだけで充分に楽しめるはず。あえて加速時のバラツキ音を演出していることと併せ、CBR1000RR(SC77)がルーツだとは思えないほど上手にチューニングされている。

4気筒エンジンの大型ネイキッドモデルということから見ても、直接のライバルはZ900RSになる。簡潔に評するなら、おおらかな乗り味に拘ったZ900RS、市街地での快適さにスポーツライディングの爽快さをプラスしたCB1000F、といったところ。これは善し悪しではなく、どちらをチョイスするかは、ルックスを含めた好みと使い道次第で決めればいい。

画像4: ホンダ「CB1000F」インプレ(太田安治)

CB1000Fは日本国内を主要市場と位置付け、日本の道とライダーの使い方を知り尽くした日本人スタッフが開発し、日本の工場で作っている。こうした背景もあって、予想を遥かに超えた高い完成度にまとまっているのだろう。「ホンダのCB」に相応しい仕上がりに感服した。

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