文:太田安治、オートバイ編集部/写真:赤松 孝、南 孝幸
ホンダ「CB1300SF」「CB1300SB」インプレ(太田安治)

Honda
CB1300 SUPER FOUR SP Final Edition
総排気量:1284cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:780mm/790mm(SP)
車両重量:226kg
発売日:2025年2月28日
税込価格:172万7000円/210万1000円(SP)

Honda
CB1300 SUPER BOL D’OR SP Final Edition
総排気量:1284cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:780mm/790mm(SP)
車両重量:272kg
発売日:2025年2月28日
税込価格:183万7000円/221万1000円(SP)
重厚なフィーリングはまさにキングオブCB!
ひと目見て「デカい!」と思い、スタンドを払うために車体を起こすときには「重い!」と声が出る。加えて低く唸るように響くエンジンサウンドと大柄なライディングポジション。CB1300に乗るたびに、初めてCB750フォアに跨がったときに味わった緊張感と優越感がそっくりそのまま蘇る。
「プロジェクト・ビッグ1」というコンセプトを掲げたCB1000スーパーフォアは1992年に登場し、1998年にCB1300へとスケールアップ。「これぞ大排気量車」といった圧倒的存在感が支持されて、マイナーチェンジとモデルチェンジを重ねながら33年ものロングセラーとなった。しかし2026年11月には最新排出ガス規制「ユーロ5+」への対応が必須となり、スーパーフォア(以下SFと略)とスーパーボルドール(以下SBと略)のファイナルエディションが登場した。
今回試乗したのはSF、SBともに、前後オーリンズ製サスペンションとブレンボ製フロントキャリパーを装備した「SP」。ネイキッドのSFでも装備重量は266kgある。ハンドル位置が高めで幅も広いため押し引きはやりやすいが、さすがに重く、傾斜地や足元が滑りやすい場所では気を使う。

シート高は車格の割に低く抑えられているが、不安なく取り回すには相応の体力、体格が要求されるから、購入を考えているライダーは実車で確かめておいたほうがいい。
しかし、いったん走り出せば手強さは全くない。加減速でもコーナリングでも常に重量車らしい手応えはあるが、重厚であっても鈍重ではない。白バイ大会の映像を見れば、潜在的に備えている運動性が判るだろう。
スタンダードのSB/SFはワインディングでステップ下側に付いているバンクセンサーから火花を散らしてしまいがち。しかしSPのオーリンズ製サスペンションはストロークの奥までじんわりと荷重を受け止め、最低地上高も10mm高いので不意に接地することがない。コーナーを豪快に切り取るような走りをしっかり支えてくれる設定だ。
ブレンボのフロントブレーキキャリパーは、絶対的な効力こそスタンダードと大差ないものの、ごく軽くブレーキレバーを握った効き始めの減速フィーリングと、握り込んだときの自然な食い込み感はさすが。コントロール性は文句の付けようがない。

ハーフカウルを装備するSBは、低速域ではフロントまわりが重く感じるが、高速道路ではこの重さが生む直進安定性と、ウインドプロテクション効果が活きる。6速・100km/h時は約3000回転で、気になる振動もノイズもなく、穏やかに回っているから長時間の連続走行も快適だ。
このファイナルエディションでCB1300シリーズは姿を消すが、後継モデルの噂がないこともあり、想定以上の受注があるという。「キング・オブ・CB」を手に入れるなら急いだ方がいいだろう。ホンダドリームでの注文受付は2025年6月30日をもって終了することがすでに発表されている。