写真:関野 温、南 孝幸 文:横田和彦
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スズキ「DR-Z4S」インプレ(横田和彦)

オフロードの奥深さをより身近にする一台
400ccクラスに本格デュアルパーパスモデルが帰ってきた。
そのネーミングから、過去にラインアップされていたDR-Z400Sを思い浮かべる人も多いだろうが、新型のDR-Z4Sは単なる復刻ではなく、内容は大幅に進化している。
398cc水冷DOHC単気筒という基本構成やボア×ストロークこそ受け継ぐものの、エンジン内部は大幅に刷新。最新の排出ガス規制に対応しながら、チタン製吸気バルブやナトリウム封入中空排気バルブなどを採用し、低回転域での粘りと高回転域の伸びを両立している。
フレームも新設計され、剛性バランスや吸気経路などを見直したほか、選べるドライブモードや、G(グラベル)モード付きトラクションコントロール、オフロード向けのABSキャンセル機能など、先進の電子制御システムも搭載。規制対応による重量増を抑えるため各部のパーツを細かく軽量化し、重量物の配置まで煮詰めているあたりに、スズキらしい入念な作り込みを感じる。
またがると小柄なボクではつま先がようやく届く程度。ただし車体はスリムで、支えるのはそれほど苦ではない。

走り出すと、重さを感じにくいことに驚く。といっても絶対的に軽いというより、重量バランスに優れているので、動かしたときに軽く感じるタイプだ。
低回転域では400cc単気筒らしい鼓動感はあるが、レスポンスは軽快。極低回転でドコドコ粘らせるより、中回転から上を使った方が気持ちいい特性である。回転が低すぎるとギアを選ぶ場面もあるが、250ccトレールより明確に余裕があり、市街地でも十分に扱いやすい。

ワインディングでは21インチの大径フロントタイヤを意識させるような挙動の重さはあまり感じさせず、身体を動かすと車体が自然についてくるイメージ。サスペンションはよく動き、荒れた舗装路でも神経質になる必要はない。適度な落ち着き感もあるので、ツーリング途中の峠道を気持ちよく流せるのがいい。
高速道路を使って遠くまで足を延ばせるのも、400ccという排気量の強みだ。もちろん単気筒なので多気筒エンジンに比べれば振動はそれなりにあるし、細身のシートも含め、長距離走行では疲労が気になる可能性はある。それでも巡航性能は250ccクラスより余裕があるので「高速道路を使って郊外の林道まで移動する」という使い方には十分現実味がある。

そして、やはり本領を発揮してくれるのはダート。サスペンションがしっかり動き、アクセルを開けたときも路面をきれいにトレースしてくれることを体感。Gモード付きトラクションコントロールも自然に介入し、急にリアが逃げてバランスを大きく崩すような不安が少ない。思わず「少し上手くなったかも…?」と感じるほどだ。

高めのシートや400ccエンジンのパワーなどを考えれば、誰にでもどうぞ、とは言いにくい面もある。しかし250ccのオフ車などを経験し、もう一歩踏み込んで「オフロードの世界を楽しんでみたい」と考えるライダーの想いに応えてくれる、絶好のステップアップモデルだと感じた。
