Z1の血統を受け継ぎながら、現代の技術で進化を続けるZ900RS。ここでは誕生の背景から歴代モデルの変遷、最新モデルの走りの真価までを徹底解説し、“進化する伝統”の本質に迫る。

文:沼尾宏明、オートバイ編集部/写真:赤松 孝、南 孝幸、松川 忍
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カワサキ「Z900RS」ヒストリー

カワサキが見据えた過去と未来、その結実

画像: KAWASAKI Z900RS SE 2026年(左) 900 Super4(Z1) 1973年(右)

KAWASAKI
Z900RS SE
2026年(左)

900 Super4(Z1)
1973年(右)

2017年末の発売以来ベストセラーを記録し続けるZ900RS。当時の資料に「歴史的な名車であるZ1をオマージュして創造」とあり、人気の理由と言える。

ただし、単純なオマージュではない。2009年まで生産されたゼファーシリーズは、空冷直4エンジンやリア2本サスなどZ1系のセオリーを守り、外観も中身もオマージュと言える存在だった。

一方のZ900RSは、水冷直4、リアモノショック、倒立フォークなどの先進メカを全身に装備。伝統的でレトロなZ1系のセオリーから大きく逸脱し、実はスタイルもモダンにアレンジされている。

それでいて走りにはZ1の匂いが漂う。最新スポーツの運動性能を発揮しながら、Z1を思わせるキャブレター的な力強い吹け上がりや、気負わず流せる懐の広さがある。Z900RSは単なるオマージュではない。現在を、未来を見据えた進化を果たしながら、伝統を継承している。カワサキによるフレーズ「進化する伝統」は本質を見事に表しているのだ。

進化と伝統。この二者が絶妙に共存するからこそ、ライダーを魅了し続けているに違いない。

カワサキ「Z900RS」進化ポイント&歴代カラーリング型録

Z1直系の“現代Z”として深化を続けるZ900RS。歴代カラーの系譜をたどりながら、各年式の進化ポイントと「Zらしさ」の継承を紐解いていく。

2018-2019

現代に蘇った「Z1」直系レトロスポーツ

画像: KAWASAKI Z900RS 2018-2019年 カラーは「キャンディトーンブラウン×キャンディトーンオレンジ」

KAWASAKI
Z900RS
2018-2019年

カラーは「キャンディトーンブラウン×キャンディトーンオレンジ」

「火の玉カラー」は、Z1/Z2のキャンディトーンブラウン×キャンディトーンオレンジを現代的に再構成した“伝説カラー”だ。黒を基調にオレンジとブラウンのキャンディ塗装を重ね、タンクからテールへ流れるファイヤーボールグラフィックを描くことで、初代Zのシルエットとカラーイメージを強烈に喚起する。

デビュー初年度からこの火の玉を採用したのはZ1/Z2以来の極めてレアなケースで、「Z=火の玉」というイメージを一気に現代へつなぎ直した象徴的な仕様と言える。


MOTIF(モチーフ) ※モチーフとはデザインの「動機・理由」のこと

Z1/Z2(1973)

画像1: カワサキ「Z900RS」ヒストリー(2018-2026)【Z900RS進伝】

キャンディブラウンにキャンディオレンジの太いストライプを重ねた縦割りツートーン塗装で、燃え上がる炎を思わせるグラデーションとゴールドラインが特徴的な、Z900RSのベースとなったカラーリングだ。


火の玉カラーと並ぶもう一つの定番色

画像: KAWASAKI Z900RS 2018-2019年 カラーは「メタリックスパークブラック」

KAWASAKI
Z900RS
2018-2019年

カラーは「メタリックスパークブラック」

ソリッドに近い深い黒と細かなメタリックの輝きで“現代Z”らしい精悍さを強調。 タンクやサイドカバーのストライプを抑えたシンプルなグラフィックにより、シックな大人のZ900RSとして人気を集めた。

初年度はやっぱり火の玉カラー変更も伝統を踏襲

「現代版Z1がデビューする」。そんな噂が飛び交っていた2017年秋、Z900RSのティザー動画が公開され、ライダーは大いに沸いた。Z900RSは同年10月に開幕した東京モーターショーでの実車初展示を経て、同12月に発売されている。

当時最新のストリートファイター、Z900をベースとしながら、見事にZ1のスタイルを再現。初年度は、初代Z1のシンボルであり、一番人気の“火の玉”カラーが設定され、予約が殺到した。あまりの入手困難ぶりに、嘆くライダーが続出。筆者の記憶では、これほどフィーバーした大型バイクは近年なかったと断言できる。

あまりの人気ゆえか、デビューからわずか8カ月後に、2018年型をそのままキャリーオーバーした2019年型を投入した。

デビュー3年目で車体色を総入れ替え。1973年の初代Z1は火の玉カラー、翌1974年型で通称タイガーカラーを採用したが、Z900RSもこれに倣い、次の車体色にタイガーカラーを選んだ。ここでもZ1の伝統を再現しており、実に心憎い。さらに2021年型ではゼファーを再現したカラーも追加され、よりファンを拡大した。

2020-2021

1973年Z1A・タイガーカラーの復活

画像: KAWASAKI Z900RS 2020-2021年 カラーは「キャンディトーングリーン」

KAWASAKI
Z900RS
2020-2021年

カラーは「キャンディトーングリーン」

2020年モデルは、19年モデルからメカニズムや装備を共通としたまま、カラー&グラフィックを全面刷新した。 火の玉に代わり、新たにキャンディトーングリーン(通称イエロータイガー)とメタリックディアブロブラックを設定し、ストライプも水転写デカールで段差のない仕上がりとした。

画像2: カワサキ「Z900RS」ヒストリー(2018-2026)【Z900RS進伝】

キャンディトーングリーンは、1973年登場のZ1Aに設定されたグリーン×イエローの“タイガーカラー”(イエロータイガー)を現代的に再解釈したものだ。


MOTIF

Z1/Z2(1974)

画像3: カワサキ「Z900RS」ヒストリー(2018-2026)【Z900RS進伝】

キャンディグリーンとイエローのストライプを組み合わせた配色で、虎のしま模様を連想させることからその名が付いた。グリーンとイエローの強いコントラストとゴールドラインが特徴でZ系を象徴するカラーリングだ。


タイガーと対を成すシックなブラック

画像: KAWASAKI Z900RS 2020年 カラー「メタリックディアブロブラック」

KAWASAKI
Z900RS
2020年

カラー「メタリックディアブロブラック」

グロスブラック地に控えめなストライプを配した落ち着いたカラーで、ブラックアウトされた車体と相まってクローム感を抑え、ネオクラシックの雰囲気を残しつつも現代的で精悍なイメージを強めたカラーリングだ。

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