文:小川 勤 写真:南 孝幸
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ホンダ「XL750 TRANSALP E-Clutch」インプレ(小川 勤)

HONDA
XL750 TRANSALP E-Clutch
2026年モデル
総排気量:754cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ2気筒
シート高:850mm
車両重量:216kg
価格:143万円
発売日:2026年4月23日(木)
さらに身近になったミドルアドベンチャー
「Trans(超える)×Alp(アルプス)」という思想が車名となったホンダのミドルアドベン
チャー、XL750トランザルプ。CRF1100Lアフリカツインの弟分に見られがちだが、その立ち位置は別物。ミドルアドベンチャーは各メーカーが拮抗するカテゴリーで、トランザルプは前輪に21インチを採用し、サスペンション長やシート高も確保。近年、ロードスター的になったアフリカツインよりも走破性を重視している。
その2026年モデルはEクラッチを搭載し、ライバルと明確に異なる存在に昇華。Eクラッチは、ミッションを入れたままでもクラッチ操作の必要のない機構。足でシフト操作を行う必要があるためATではないが、左手は疲れず、エンスト知らず。また、Uターンなどで駆動を切りたい時は、いつでも通常のクラッチ操作を行える。
走り出すとさっそくその恩恵を受ける。今回は都内を抜けて千葉に向かうルートだったのだが、アクアラインは大渋滞。時速5〜10㎞で数㎞走ることになるのだが、AT以外の他のバイクであれば苦行でしかないシーンがストレスにならない。身長165㎝の筆者にシート高850㎜の車格は大柄で、極力足はつきたくないのだが、トランザルプは極低速域で抜群にバランスがいい。もちろんクラッチ操作は皆無で、Eクラッチは完璧な振る舞いを見せる。それは巨大なバイクを身近に感じることができた瞬間でもあった。

エンジンはフラットなパワー&トルクカーブが想像できる扱いやすい特性。モードはスタンダード、スポーツ、レイン、グラベルの4シーンを想定する。その他、ユーザーモードではパワー4段階、エンジンブレーキ3段階、トルクコントロール5段階+ オフ、ABS2段階(リアはキャンセル可)を好みで組み合わせて、2種類登録が可能だ。
今回は舗装路がメインの試乗だったのでスポーツモードを使用。これはスロットル操作で車体のピッチングを出しやすく、好みの姿勢に導きやすいから。キャリアはもちろん、路面状況やタイヤ銘柄によってもモードは変わるから、このあたりは積極的に選んでバイクをライダーに近づけるのがいいだろう。

21インチの大径ホイールは、19インチと比べるとワインディングでは若干立ちの強さを感じるものの、十分軽快。本格装備を感じさせるのはサスペンションで、前後に減衰力アジャスターを装備するのも好感が持てる。
また、Eクラッチのメリットは多数あり、スロットル全開のままギアを上げていってもショックはなく、さらにバンク中でもギアチェンジが可能。テクニックを必要とせずに、常に欲しい回転が手に入る感覚は、バイクを思い通りに操っている実感をもたらし、気分を高揚させてくれるポイントのひとつだ。

ミドルアドベンチャーをスペックや大きさを理由に懸念しているなら、Eクラッチに頼るのがいい。Eクラッチがトランザルプとライダーの距離を一気に縮めてくれるからだ。
