文:小川 勤 写真:赤松 孝、南 孝幸、松川 忍
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CB1000F SE・XSR900 GP ABS・GSX-8TT/GSX-8T|概要
Honda CB1000F SE

総排気量:999cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC並列4気筒
最高出力:124PS/9000rpm
シート高:795mm
車両重量:217kg
税込価格:159万5000円
GSX-8TT

総排気量:775cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC並列2気筒
最高出力:80PS/8500rpm
シート高:810mm
車両重量:203kg
税込価格:138万6000円
YAMAHA XSR900 GP ABS

総排気量:888cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC並列3気筒
最高出力:120PS/10000rpm
シート高:835mm
車両重量:200kg
税込価格:146万3000円(イエロー)
SUZUKI GSX-8T

総排気量:775cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC並列2気筒
最高出力:80PS/8500rpm
シート高:815mm
車両重量:201kg
税込価格:129万8000円
※全車エンジンは4バルブ
まるで性格が異なる4台、4気筒、3気筒、2気筒。その個性の本質(小川 勤)

左下から時計回りに
SUZUKI GSX-8T
HONDA CB1000F SE
YAMAHA XSR900 GP ABS
SUZUKI GSX-8TT
走りの要求を満たすのは乗りやすさか?刺激か?
時代を超えて誕生した3台のヘリテイジ・スポーツは、各メーカーの思想が明確に反映されている。だからこそ、雰囲気だけで選ぶのはナンセンス。メーカーが何を狙い、どこに面白さを見出しているか。そこを見極めると、面白さは倍増する。
またバイク選びにはエンジン形式にもこだわりたい。ここはキャリアが浅いと軽視されがちだが、エンジンがメーカーらしさや、バイクの個性を決定づける。CB1000F SEは並列4気筒、XSR900 GPは並列3気筒、GSX-8T&TTは並列2気筒エンジンを搭載し、ここからメーカーが何を表現したいかが見えてくるのだ。
今回はエンジンフィーリングよりも幅に注目。4気筒と2気筒ではエンジン幅が異なり、幅狭な2気筒の方がハンドリングは軽快。3気筒はその中間で、3機種を比較すると違いは面白いほど明確で、そこにポジションやエンジンの味付けが加わるイメージだ。
まずはCB。4気筒特有の大きなエンジンにプラスされるのは、足つきを優先したシートとまるでクルーザーのようなポジションだ。ハンドリングは穏やか。キャリアが浅いライダーに優しいのは大きな価値だが、僕のようにバイクを軽々と操りたいライダーには全てが丸く収まりすぎていて感情が揺さぶられない。
バイクの重心であるエンジンとライダーが一体になっている感覚は強いが、ライダーの操作に対する車体のレスポンスが遅く、スポーティに走ることが難しいのだ。
XSR900 GPの3気筒は、4気筒より軽快で、立ち上がりでは2気筒より伸びるメリットを持つが、その楽しさは誰にでも開かれているものではない。垂れ角の強いハンドルがもたらす前傾ポジションは、市街地や高速道路を走るのが決して楽ではないからだ。
ただし、峠ではその個性が一際輝く。往路の修行のような工程が報われる楽しさを教えてくれるのだ。疲労感を苦行と取るか、スポーツ後の充実感と取るかで、180度バイクの印象が変わる。まさにスーパースポーツと同じ美学を持つ、乗り手を選ぶ1台だ。
GSXは、そういった意味でどこにも我慢のないモデル。2気筒特有の軽快感があり、特別なパーツは使っていないがスズキらしい「走る・曲がる・止まる」を高レベルで調律。スリムかつ軽量な車体は跨った瞬間から身近で、走り出してもすぐにバイクとの一体感を得られる。
物足りなさを感じず、修行する必要もなくそのターゲットは幅広い。ある意味、現代のライダーに最も自然な1台に仕上がっている。簡単にペースを上げられるのもバイクの素性が良いからだ。
同カテゴリーにも関わらず、似ていると所は何ひとつない4機種。どれも各メーカーらしさに溢れ、興奮を与えてくれるマシンに違いないが、その手法は様々だ。見た目だけでなく、メーカーがチャレンジした、スポーツ・ヘリテイジの表現を見極めつつ、選んでいただきたい。
