写真:南 孝幸 レポート:小川 勤
▶▶▶写真はこちら|スズキ「GSX-8T」の全体・各部・走行シーン

スズキ「GSX-8T」インプレ(小川 勤)

SUZUKI
GSX-8T
2026年モデル
総排気量:775cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ2気筒
シート高:815mm
車両重量:201kg
価格:129万8000円
発売日:2026年1月30日
シックな佇まいが誘うジェントルな走り
2023年に登場したGSX-8Sから始まったGSX-8シリーズ。これまでは色使いも含めてポップでスポーティな若々しいモデルが多かったが、GSX-8Tとカウル付きのGSX-8TTは、一転してクラシック路線。良い意味で最もコンサバなネイキッドに仕上がっている。
しかし、実際にGSX-8Tを目の前にすると、クラシカルな雰囲気を持ちつつ、これまでのポップさも健在。ビリヤードで勝負を決める特別な球である8ボールをイメージしたエンブレムにスズキの遊び心を感じる。
フレーム、サスペンション、エンジン、ブレーキはGSX-8Sと共通だが、GSX-8Tは2L容量の多い燃料タンクとエリーパワー製の軽量なリチウムイオンバッテリーを採用。また、GSX-8シリーズはエアクリーナーをタンク下でなくシート下に収納しているのが特徴で、重たい燃料タンクの重心を下げることで、取り回し時やハンドリングの軽さを引き出している。
電子制御も充実。モードはA、B、C、トラクションコントロールは1、2、3のほか、オフも可能で、どちらもスロットルを戻していれば走行中も変更できる。また、アップ&ダウン対応のオートシフターも装備。まずは、モードB、トラクションコントロール3で走り始めた。

GSX-8Tは走り出した瞬間からバランスの高さが際立ち、それがライダーに安心感と楽しさをもたらす。見た目はクラシカルだが走りは元気。どこまでも現代風だ。ポジションはコンパクトかつ自然で、軽々と操っている感覚を得やすい。
GSX-8シリーズ全車に共通するのは、扱いやすさと速さを丁寧に作り込んだ、Vストローム800DEにも採用されるエンジンだ。このエンジンに限らず近年のスズキ車は、スロットル微開時の味付けが秀逸。ライダーがスムーズに走りたいと思えば穏やかに、元気に走りたいと思えばパワフルに加速。ようは意のままに扱えるのだ。
途中、モードを万能なBからAに変更するとレスポンスが向上。スロットル操作でサスペンションを動かすことができ、バイクの姿勢を自分でコントロールできるベテラン向けの味付けになる。
一方でCは穏やか。ライダーによっては物足りなく感じるかもしれないが、冷感時や雨天時は積極的に頼りたい。トラクションコントロールは、最も介入の大きなCだとメーター内のTCマークが頻繁に点滅。エンジンモードと合わせて好みを探ってみるのがいいだろう。
サスペンションに関しては荒れた路面や、高荷重時にバタバタとする所はあるものの、その運動性を重視するならGSX-8Rを選択すれば間違いない。

ただ、終日付き合って思うのは、シックなスタイルはライダーの気持ちもジェントルにしてくれること。もちろんスロットルを開け続ければ9500回転付近まで加速し、走りに活気がみなぎるが、それよりも5000回転辺りまでの高いギア&低い回転で駆けたくなる。そして、その領域の風がたまらなく心地良いのがGSX-8Tなのである。
