エンジンは大幅進化、車体はL7の基本設計を継承した2026年型「GSX-R1000/R」。 その理由は、2024年EWC王者が証明した「圧倒的な信頼性」に他ならない。熟成を極めたシャシーと、電装システムの詳細を解説する。
まとめ:岡本 渉/協力:バイカーズステーション、佐藤康郎、H&L PLANNING
※本記事は2025年11月27日に発売されたムック本『GSX-R』の内容を一部編集して掲載しています。
※車両ほか使用写真はとくにことわりのない限りGSX-R1000Rのものです。また、ウイングレットがついた車両はオプション装着車です。
画像: SUZUKI GSX-R1000R 40周年記念車 欧州仕様・2026年モデル 総排気量:999.8cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:825mm 車両重量:203kg

SUZUKI
GSX-R1000R 40周年記念車
欧州仕様・2026年モデル

総排気量:999.8cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:825mm
車両重量:203kg

シャシー解説

画像1: シャシー解説

軽量コンパクト高剛性の車体と信頼の足まわりはほぼそのままにバランス

新しいGSX-R1000/R。エンジンは全面変更に近い進化を受けたが、基本となる構成やサイズ、細かいパーツ等、これから先も十分に使えると判断された要素は良好なベースとして継続採用される。GSX-Rシリーズ登場当初の頃ならまだしも、設計も素材も精度もシミュレーションも進んだ今日なら、踏み込んだ仕様解析・分析も可能だ。

そこで新GSX-Rの車体まわりだが、軽量コンパクトにして軽快な操縦性と反応性を見せ、サーキットでの限界走行においてでもライダーが不安なく走り、曲がり、止まることのできることで定評のL7~モデルのものをほぼそのまま継続した。

スリムで良好な剛性によってサスペンションの持てる機能を生かし、高いロードホールディングと的確なハンドリングをもたらすツインスパーのアルミフレームには十分な強度を持たせたアルミ角パイプ製サブフレームを接続し、さらにレースからのフィードバックで両サイドに補強パートを持つアルミスイングアームをつなぐ。

画像2: シャシー解説

サスペンションは写真のGSX-R1000Rでは従来のL7~に同じくSHOWA BFF(バランスフリー・フロントフォーク)/BFRC-lite(バランスフリー・リヤクッション・ライト)リヤショックを採用。

フロントフォークトップには初期荷重調整スクリュー、ボトムピース後ろに伸び/圧の減衰力調整用マイナススクリューを持つ。GSX-R1000ではSHOWA BPF(ビッグピストンフロントフォーク)にリンク式コイルスプリングオイルダンパーだ。

ブレーキシステムはフロントがブレンボ・ラジアルマウントモノブロック4ピストンキャリパーに同じくブレンボΦ320mmディスクを組み合わせる。

このディスクのアウター(制動面)とインナー(固定部)の接続はブレンボTドライブと円形フローティングピンを交互に組み合わせる構成で、リヤはニッシン片押しシングルピストンキャリパーにΦ220mmリジッドディスクのコンビ。

スリムな6本スポークを持つ軽量アルミキャストホイールのサイズは3.50-17/6.00-17インチを継続。これに履かれるタイヤは'19年型L9で採用されたブリヂストン製レーシング・ストリート RS11を継続。サイズはフロントが120/70ZR17、リヤが190/55ZR17となっている。

ここまで見て分かるように、車体系は基本的にL7~GSX-R1000/R同様の構成(タイヤのみアップデートされたL9以降同様)となっている。

継続仕様とはいえ、単にそのままではない。L7の開発時に何度も修正を行いながら煮詰められたフレームや車体は、2024年の世界耐久チャンピオン(4戦中2勝、2位1回に3位1回の完勝と言える内容だ)、2025年の同2位によってその性能と信頼性が十分に使えると証明されている。

そしてそれが新型M7の進化したエンジンや追加されるウイングレットなどを持った新しいパッケージによる多くのテストでもバランスしていたということだ。自信があるからこその継続と言っていい。

電子制御系解説

▶メーター

画像: ▶メーター

メーターはL7~のLCDモノクロ液晶パネルを継続。このメーターが持つ表示機能は①速度、②エンジン回転、③クイックシフト作動、④エンジン回転警告(設定回転数で点灯)、⑤積算距離、⑥区間走行距離×2、⑦ギヤポジション、⑧エンジン部水温、⑨外気温、⑩電圧。⑪平均燃費(A/B)、⑫現在燃費、⑬SDMSモード、⑭スズキトラクションコントロールモード、⑮ローンチコントロール作動、⑯時刻(12時)、⑰燃料残量、⑱サービスリマインドとなっている。

パネル左右には方向指示器やABS、ニュートラル、MIL(故障表示灯)、ウォーニング、イモビライザー、電圧不足、トラクションコントロール作動、油圧低下、寒冷地、ハイビーム、冷却水温の各警告灯が並ぶ。各機能/表示の選択は左スイッチボックス部のスイッチで行う。

ほかにクラッチ作動がワイヤ式(フロントブレーキマスターはニッシン・ラジアルポンプ)で、フロントブレーキラインがテフロンチューブ+ステンレスメッシュ被覆+クリアチューブだとも分かる。フォークロアブラケット部に電子制御ステアリングダンパーも収まる。


▶バッテリー

画像1: ▶バッテリー

バッテリーは軽量コンパクトで信頼性が高く、-10℃から65℃の環境下でもエンジンを始動できるなど幅広い温度特性を持つELIIY Power製「HY93SS」リチウムイオンバッテリーを採用。

下写真のようにシート下に収まるが、その前には従来から51g軽量で小型化したAstemo製最新ABSユニットがセットされる。

画像2: ▶バッテリー

▶6軸IMU

画像1: ▶6軸IMU

L7~モデル同様にこのGSX-R1000/R M7でも6軸IMU(慣性検知ユニット。上写真はその本体)を備え、車種ごとに最適化された統合電子制御システム、S.I.R.S.(スズキインテリジェントライドシステム)の作動をアシストする。

画像2: ▶6軸IMU

前後軸(上の図中緑軸)に対する傾き(ロール)に左右軸(同赤)に対する傾き(ピッチ)、上下軸(同青)に対する傾き(ヨー)の計6軸に対する車体姿勢をリアルタイムで検知し、車速や車輪回転、エンジン回転数等とともにECM(下写真、エンジンコントロールモジュール)で演算し各種のライダー支援を行う。

画像3: ▶6軸IMU

IMUやECU、ABSにセンサ等の連携はCAN bus(コントロールエリアネットワーク)により行われる。またECMはIMU、前後輪速度、スロットルポジション、クランク角、ギヤ段位、クラッチスイッチからの情報を元にスロットルバルブを作動させ、メーター部に必要な情報を表示する。


▶S.I.R.S.(スズキ・インテリジェント・ライド・システム)概要

下図表が新型GSX-R1000/RのS.I.R.S.の概要。赤文字がM7で新たに追加された機能で、リフトリミッターは加速時にフロントホイールが浮き上がるのを抑え、スムーズな加速をサポートする。

SDMS(スズキドライブモードセレクター)出力特性を3つの中から選択可能
モーショントラックトラクションコントロールリアホイールの空転が感知された時に、エンジン出力を制御
リフトリミッター加速時に前輪が浮き上がるのを抑制
ロールトルクコントロールコーナリング時の最適な加速のためトルクを制御
ローンチコントロール発進時の最適な加速のため出力を制御
電子制御スロットル細やかなアクセルワークやコンピューターでの制御が可能
双方向クイックシフトシステムクラッチやスロットルを操作せずにシフトアップ/ダウンが可能
モーショントラックブレーキコーナリング時のABSの作動を制御
スロープディペンデントコントロール下り坂で後輪が浮き上がるのを抑制
スズキイージースタートシステムワンプッシュでエンジン始動が可能
ローRPMアシストスムーズな発進や渋滞走行、Uターンを補助

ロールトルクコントロールはIMUと車輪速センサで車体姿勢と車速を検出し、車体のバンク角と車輪の回転数に応じて後輪の駆動力を制御し、コーナリングから最適な加速が出来るようにトルクを調整する。モーショントラックコントロールシステム、リフトリミッター、ロールトルクコントロールは「スマートTLRシステム」として連動して機能する。

スロープディペンデントコントロールシステムは路面の角度を検知して後輪の浮き上がりを抑えるようにブレーキを制御して効率よい後輪制動を補助する。

他の制御を上の図表(一番上に該当)から説明すると、SDMS(スズキドライブモードセレクター)はA(アクティブ)/B(ベーシック)/C(コンフォート)の3つの出力特性(モード)を選べる。

画像: ▶S.I.R.S.(スズキ・インテリジェント・ライド・システム)概要

上のグラフはその特性イメージ。双方向クィックシフトシステムはクラッチ操作なし、シフトペダルへの軽い入力でシフトチェンジを行う。スズキイージースタートシステムは右側スイッチボックスのボタンを1度押せば押し続けなしでエンジン始動を行ってくれる機能。

ローRPMアシストはエンジン回転数やギヤ段位、スロットル開度にクラッチスイッチのデータを検知し、Uターンや渋滞時にエンジンストールさせずに低回転で車両を進めてくれる、スズキの標準的アシスト機能だ。

まとめ:岡本 渉/協力:バイカーズステーション、佐藤康郎、H&L PLANNING
※本記事は2025年11月27日に発売されたムック本『GSX-R』の内容を一部編集して掲載しています。
※車両ほか使用写真はとくにことわりのない限りGSX-R1000Rのものです。また、ウイングレットがついた車両はオプション装着車です。

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