EICMA2024で初公開され話題となった「DR-Z4」シリーズがついに発売。うち、オフロードモデルである「DR-Z4S」を雨の中の過酷な環境下で試乗したので、早速そのレビューをお届けする。
文:小川 勤/写真:南 孝幸/まとめ:オートバイ編集部
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スズキ「DR-Z4S」インプレ(小川 勤)

画像: SUZUKI DR-Z4S 2025年モデル 総排気量:398cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒 シート高:890mm 車両重量:151kg 発売日:2025年10月8日 税込価格:119万9000円

SUZUKI
DR-Z4S
2025年モデル

総排気量:398cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
シート高:890mm
車両重量:151kg

発売日:2025年10月8日
税込価格:119万9000円

緊張を一瞬で吹き飛ばす秀逸なGモードに興奮

この日は、オフロードに慣れていないライダーにとってはなかなか過酷なシーンだった。強い雨に打たれた深い玉砂利の路面は歩くのも大変そうだし、鋭くレスポンスして空気を震わせる400cc単気筒エンジンは気難しそうだ。スズキイエローを纏ったDR-Z4Sは、手強そうな存在そのものに見えた。

そのためA、B、Cから選べるスズキドライブモードセレクター(以下SDMS)は、穏やかなCを、スズキトラクションコントロールシステム(以下STCS)は介入の多い2を選択。

890mmのシート高は緊張感があるものの、実際に跨ると車体は細く、さらにハンドリングの軽さを知ると不安が消える。乱れた路面をゆっくり慎重にスタートして感じたのは、エンストをしにくいことと、STCSのサポート感の強さだった。それが気持ちを軽くし、僕の中の無邪気さを目覚めさせていく。

そこでよりリニアなSDMSのA、Bを試すが、これは僕にはスパルタンすぎ。今日のコンディンションでは難しそうなためCを継続。STCSはG(グラベル)モードにしてみた。

すると自分が上手くなったかのような感覚とタイヤのグリップが上がったような感覚が同時に訪れ、これは感動のレベル。「これ以上後輪が滑ったら危険……」というタイミングでメーター内のTCランプが点滅する。

しかも使用しているギアやスピードに関わらず正確にサポートしてくれるのだ。オフロードでこれほどバイクを理解できる日が来ると思っていなかった僕には、まさに夢のような世界だった。

画像: スズキ「DR-Z4S」インプレ(小川 勤)

直感的にモードが選べる感性や、よく動くサスペンションからのフィードバックの高さが自信を持って操作をさせてくれる。

僕のような小柄かつオフロードキャリアのないライダーにもフレンドリーで、それは様々な道を走破するデュアルパーパス的な使い方が最良だと思わせてくれ、DR-Z4Sで様々なフィールドに飛び込みたくなる。

体格的にもスキル的にもアドベンチャーでは難しいオフ遊びや林道散策も可能だろう。そんな妄想が楽しく、DR-Z4Sはバイク趣味の裾野を無限に広げてくれる可能性に満ちている。

さらに秀逸なのは「良いバイク」に乗っている実感がとても高いこと。上質なサスペンションと実用的かつ秀逸な電子制御の組み合わせに昔のバイクのリバイバル感は一切なく、全く新しいデュアルパーパススポーツに感じさせてくれるのだ。

しかもこの完成度の高いパッケージは、国産はどのメーカーも持っていない唯一無二の存在。この意表を突く感じが、個性的で独創的でスズキらしくて、強く心を揺さぶるのである。

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