その最終型は1993年モデルでカラーリング変更を行いながら1995年まで継続されカタログから姿を消した。ここに紹介する1990年型はその最終モデルの直前に位置する6代目で、大きく構造を改めたアルミフレームが最大の識別点となる。
写真:平野輝幸/まとめ:岡本 渉/協力:バイカーズステーション、佐藤康郎、H&L PLANNING
※本記事は2025年7月2日に発売された『レーサーレプリカ伝 4ストローク編』の内容を一部編集して掲載しています。
スズキ「GSX-R400R(GK76A)」(1990年)の概要

SUZUKI
GSX-R400R
1990年
総排気量:398cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:750mm
乾燥重量:167kg
当時価格:73万9000円
400ccのGSX-Rは、1986年の3型以降は1年ごとに手を加えて性能を高めてきた。ここで紹介する7年目のモデル、1990年型は6世代目となり、この機種へのスズキの熱意が伝わってくる。
従来型との相違でまず目を惹くのが、3型でツインスパーに変化したフレームが初代と同構造のダブルクレードルに戻ったことだ。前年、1989年の全日本TTF-1を制したGSX-R750レーサーからのフィードバックを受けて極太メインチューブや鋳造ピボット部など各部の製法やサイズを調整するなどして、当然だが大幅に剛性が向上した。倒立フロントフォークの採用も同様で、車体性能を引き上げてより高い走行性能の獲得を目指した。
水冷DOHC4バルブ並列4気筒エンジンは、シリンダー前傾角を8度増やすとともに吸気通路をストレート化。ロッカーアームは2バルブ1ロッカーから1バルブ1ロッカーへと変わりクリアランスもシム調整、各ムービングパーツの軽量化も行うなど、メカニカルロスを徹底排除。吸気系も大気開放型ダウンドラフト・スリングショットキャブレターとするなどの変更が行われた。
車名は、1989年型で改名したGSX-R400Rを継承。足まわりを高機能化しクロスミッションを装備するSPも併売された。価格は先代に+1万円の73万9000円、SP仕様は78万9000円で販売された(1989年型のSP仕様は81万9000円。いずれも税抜き)。
