ともにワイド化も果たし、スイングアームも高剛性化する一方でジオメトリーを変えないように配慮しポテンシャルを高めた。マイチェンながらも車名がRRとなったように5代目を名乗れる存在だ。
まとめ:岡本 渉/協力:バイカーズステーション、佐藤康郎、H&L PLANNING
※本記事は2025年7月2日に発売された『レーサーレプリカ伝 4ストローク編』の内容を一部編集して掲載しています。
スズキ「GSX-R400R(GK73A)」(1989年)の各部装備・ディテール解説

FRP製シングルシートを装着、ヨシムラF3レーサーイメージを持つ「GSX-R400R SPORTS PRODUCTION」は、エンジン動弁系から、ミッション、クラッチ、サスペンションまでグレードが高められ、4in1エキゾーストを装着するホットモデル。同仕様でミッションのみノーマルを使うSPIIも設定。

メインパイプ材の中に1枚のプレートを配して剛性を高めるNew DC-ALBOXフレームおよびそのジオメトリーは1988年型と同じだが、スイングアームは72.6×34.0mmのメイン角パイプの上にスタビライザーを加え、剛性を20%アップ。

Φ56×40.4mmの並列4気筒エンジンやBST32キャブレター×4/左右出しマフラーの吸排気系は基本的に1988年型同様だがインテークマニホールドを変更して吸気抵抗を減らし、8000rpmあたりで見られたトルクの谷を解消している。この写真からはエンジンがメインフレームに吊られる様子や、フレームメインパイプの真ん中当たりに仕切り板が入っている(これがデュアルセル=ふたつの部屋の元)ことが分かる。

ラジアルフローラジエーターはV型形状で、幅を抑えながら放熱面積を確保している。

フロントフォークはΦ41mm正立を継承、さらにフロント(3.00-17から3.50-17に)、リヤ(4.00-18から4.50-17に)ともにホイールをワイド化(リヤは18から17インチ径になり、前後17インチ化している)し、ロープロファイルラジアルに対応。接地面の面圧分布を理想に近づけた。また、レース用スリックタイヤもすぐ履けるようになっている。

対向2ピストンのリアブレーキキャリパーはアクスルの下側にフローティングマウントされている。

リアサスはニューリンク式フルフローター。プログレッシブ効果をライダーの感性にさらにマッチさせるための改良を1988年型で受けていて、窒素封入式のリアユニットもイニシャル調整、伸び側4段階の減衰調整で広いセッティング範囲をカバーする。4.50-17へのホイール、またタイヤサイズの変更を受けつつ1988年型のディメンションをきちんと使えるようにジオメトリーも調整されている。
スズキ「GSX-R400R(GK73A)」(1989年)の主なスペック・当時価格
| 全長×全幅×全高 | 1990×695×1105mm |
| ホイールベース | 1375mm |
| 最低地上高 | 125mm |
| シート高 | 730mm |
| 車両重量 | 165kg(乾燥) |
| エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 |
| 総排気量 | 398cc |
| ボア×ストローク | 56.0×40.4mm |
| 圧縮比 | 11.8 |
| 最高出力 | 59PS/12000rpm |
| 最大トルク | 3.9kgf・m/10500rpm |
| 燃料供給方式 | キャブレター(BST32) |
| 燃料タンク容量 | 15L |
| 変速機形式 | 6速リターン |
| キャスター角 | 25゜ |
| トレール量 | 95mm |
| ブレーキ形式 前・後 | Φ290mmダブルディスク・Φ210mmディスク |
| タイヤサイズ(前・後) | 120/60R17・150/60R17 |
| 当時価格(1989年) | 72万9000円 |
まとめ:岡本 渉/協力:バイカーズステーション、佐藤康郎、H&L PLANNING
※本記事は2025年7月2日に発売された『レーサーレプリカ伝 4ストローク編』の内容を一部編集して掲載しています。




