文:横田和彦/写真:赤松 孝、南 孝幸、関野 温
第1位
雰囲気満点のセパハン、絶妙な前傾ポジション
ヤマハ「XSR900 GP ABS」

YAMAHA
XSR900GP ABS
総排気量:888cc
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列3気筒
シート高:835mm
車両重量:200kg
税込価格:143万円
レーサーレプリカを現代風に再解釈!
1980年代に一世を風靡したレーサーレプリカが現代に蘇ったぞ!と話題になったXSR900GP。このバイクを初めて見たときかなりドキッとした。というのも、その昔に欲しいと思っていたTZR250・マルボロカラーの面影があったからだ。
といっても、激推しバイクに挙げたのはそれが理由じゃない。実は試乗前、ボクはこのバイクを懐疑的な目で見ていた。「スタイルがレプリカっぽいだけじゃ納得しない。熱い時代を肌で感じてきた世代はカンタンじゃないぞ」と、真贋見極めるべく息巻いていたのだ。
しかし低いセパハンによるガソリンタンクを抱えるような前傾ポジションや、アナログ式のタコメーターが表示されるフルカラーディスプレイ、カウルステーといった各部の作り込みから、ヤマハはかなり気合を入れたのではないかと感じはじめた。

そして走り始めてすぐにその直感が間違っていないことを確信。ワインディングでバイクと一体になって身体全体を使って寝かし込み、直列3気筒エンジンが生み出す図太いトルクでコーナーを豪快に立ち上がって次のコーナーにアプローチする、を繰り返すうちに、すっかりXSR900GPの乗り味にハマってしまったのである。
峠道で無理にペースを上げなくても「スポーツライディングしたぜ!」という充実感が得られる絶妙のセッティングが施された前後サスペンションはフルアジャスタブルタイプ。そのため、さらにハイペースとなるサーキット走行にも対応させることが可能なのも嬉しい。
実際にサーキットに持ち込んだときは、リアショックのプリロードを3ノッチ締め込んだらリアが落ち着き、フロントに重心が寄って格段にペースアップしやすくなった。
いろいろと試乗した結果、XSR900GPは1980年代のレーサーレプリカのレプリカではなく、当時の空気感を現代的に再解釈してパッケージングした新時代のスポーツバイクだと理解した。アナタにもぜひそんな“ヤマハの本気”を体感してもらいたい。
個人的にXSR900GPでしてみたいことは、昔みんながレーサーレプリカでやっていたようにリアシートに大荷物をくくりつけて北海道ツーリングに行くこと。そういうと前傾ポジションを心配する人がいるけど、ボクはセパハンが大好きだから長距離を走っても大丈夫なんだよね!

シートが短いこともあって、アルミスイングアームが長〜く見える。実際にMT-09より長いトレーサーと同寸のスイングアームを採用。コーナーでの接地感の向上や挙動の安定が期待できる。

フルカラーTFTディスプレイには、アナログタコメーターをセンターに表示するモードが用意されている。こっちの方が気分は断然盛り上がるよね!

バックミラーは流行のバーエンドタイプ。シルエットが低くなるのは良いんだけど、視線の移動量が多くなってしまうため、個人的にはあまり好みじゃないんだよね…。

アッパーカウルの上端部とフレームをつなぐステーはレトロ感ある丸パイプ。カウル側の固定にベータピンを使うことで、80’sレーシングマシンイメージに仕上げてある。

1980年代に生まれたヤマハの先進技術が、シリンダーを前傾させ低重心化と吸排気レイアウトを最適化したジェネシスエンジン。CP3エンジンはその血統か!

前後にKYB製の専用フルアジャスタブルサスペンションを装備。サーキット走行などでペースアップするときなどに有効な機能だ。こういうところからもヤマハが走りを追求していることがわかる。

前後にKYB製の専用フルアジャスタブルサスペンションを装備。サーキット走行などでペースアップするときなどに有効な機能だ。こういうところからもヤマハが走りを追求していることがわかる。

純正シートは着座位置とタンデム側に大きな段差があるので、そのままでもスポーティな雰囲気。そこにオプションで用意されているシングルシートカウルを装着するとレーシーさがさらにアップする。1980年代のYZR系レーシングマシンに似たシルエットになり、フロントカウルからのつながりもバッチリだ。

純正シートは着座位置とタンデム側に大きな段差があるので、そのままでもスポーティな雰囲気。そこにオプションで用意されているシングルシートカウルを装着するとレーシーさがさらにアップする。1980年代のYZR系レーシングマシンに似たシルエットになり、フロントカウルからのつながりもバッチリだ。
ヤマハ「XSR900 GP ABS」主なスペック・燃費・製造国・価格 | |
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全長×全幅×全高 | 2160×690×1180mm |
ホイールベース | 1500mm |
最低地上高 | 145mm |
シート高 | 835mm |
車両重量 | 200kg |
エンジン形式 | 水冷4ストロークDOHC4バルブ並列3気筒 |
総排気量 | 888cc |
ボア×ストローク | 78.0×62.0mm |
圧縮比 | 11.5 |
最高出力 | 88kW(120PS)/10000rpm |
最大トルク | 93N・m(9.5kgf・m)/7000rpm |
燃料タンク容量 | 14L(無鉛プレミアムガソリン指定) |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 25゜20′ |
トレール量 | 110mm |
ブレーキ形式(前・後) | ダブルディスク・シングルディスク |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17M/C(58W)・180/55ZR17M/C(73W) |
乗車定員 | 2名 |
燃料消費率 WMTCモード値 | 21.1km/L(クラス3・サブクラス3-2)1名乗車時 |
製造国 | 日本 |
メーカー希望小売価格 | 143万円(消費税10%込) |
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文:宮崎敬一郎/写真:赤松 孝、南 孝幸、関野 温