1980年代中盤、日本のオートバイマーケットに「レーサーレプリカ」ブームが吹き荒れていた。
アルミフレーム、フルカウルでなければオートバイに非ずライバルたちより1kgでも1gでも軽く
レース結果も市販車の販売台数に直結していたような――。もう35年も前、日本にはそんな恐竜がうようよと棲みついていたのだ。
文:中村浩史/写真:富樫秀明

ヤマハ「FZR750」各部装備・ディテール解説

画像: 2ストロークレーサレプリカTZR250、400ccのFZR400に続いて市販車に採用された「アルミデルタボックス」と呼ばれたフレーム。前傾5バルブ4気筒エンジン=ジェネシスエンジンとともに、ヤマハレーサーレプリカの代名詞となったフレーム形状だ。

2ストロークレーサレプリカTZR250、400ccのFZR400に続いて市販車に採用された「アルミデルタボックス」と呼ばれたフレーム。前傾5バルブ4気筒エンジン=ジェネシスエンジンとともに、ヤマハレーサーレプリカの代名詞となったフレーム形状だ。

画像: アルミ角パイプを使用した角断面スイングアームも、この時期に一般的になった装備。この後には左右異形状や補強用のブリッジがつくようになる。エンジンはFZ750の熟成型で、車体構成はほぼFZR1000を踏襲。

アルミ角パイプを使用した角断面スイングアームも、この時期に一般的になった装備。この後には左右異形状や補強用のブリッジがつくようになる。エンジンはFZ750の熟成型で、車体構成はほぼFZR1000を踏襲。

画像: TZR250デビューで大きな話題になったΦ320mmフローティングローター+4ピストンキャリパーの組み合わせをダブルで装備。3本スポークホールも、リプレイスホイールっぽいデザインで人気になった。

TZR250デビューで大きな話題になったΦ320mmフローティングローター+4ピストンキャリパーの組み合わせをダブルで装備。3本スポークホールも、リプレイスホイールっぽいデザインで人気になった。

画像: 前17・後18インチラジアルを履くFZR。RC30も17/18インチで、GSX-Rは18/18インチ、ZXRは17/16インチだった。撮影車はブリヂストン・バトラックスT32を履いていて、これが現代風のハンドリングを味わせてくれる大きな要因だろう。

前17・後18インチラジアルを履くFZR。RC30も17/18インチで、GSX-Rは18/18インチ、ZXRは17/16インチだった。撮影車はブリヂストン・バトラックスT32を履いていて、これが現代風のハンドリングを味わせてくれる大きな要因だろう。

画像: ステアリングヘッドからスイングアームピボット部までを直線的につなぎ、高剛性化を目指してボックス形状のアルミフレームとしたデルタボックスフレーム。この時期のヤマハスポーツの最高の装備だった。

ステアリングヘッドからスイングアームピボット部までを直線的につなぎ、高剛性化を目指してボックス形状のアルミフレームとしたデルタボックスフレーム。この時期のヤマハスポーツの最高の装備だった。

現在のような複雑な面構成ではなく、1枚成形のフルカウル。アッパー/センター/アンダーの3分割ではなく、センターとアンダーは一体構造。

画像: 4ストロークレーサー=耐久マシンのイメージが強かったこの頃は、耐久レーサーイメージのデュアルヘッドライトがお約束だった。ライト上のエアインテークは、走行風をダクトを通じてエアボックス周辺に送る。

4ストロークレーサー=耐久マシンのイメージが強かったこの頃は、耐久レーサーイメージのデュアルヘッドライトがお約束だった。ライト上のエアインテークは、走行風をダクトを通じてエアボックス周辺に送る。

画像: 左からスピード、タコ、水温計を並べる3連丸形アナログメーター。タコメーターを中央に配置するのもお約束で、燃料計もなし。タコメーターの1500rpmあたりに、80km/hを超えると点灯する速度警告灯が見える。

左からスピード、タコ、水温計を並べる3連丸形アナログメーター。タコメーターを中央に配置するのもお約束で、燃料計もなし。タコメーターの1500rpmあたりに、80km/hを超えると点灯する速度警告灯が見える。

画像: 速度警告灯がある年代の車両あたりまで、ライトスイッチが標準装備だった。この後はヘッドライトの常時点灯が義務づけられる。

速度警告灯がある年代の車両あたりまで、ライトスイッチが標準装備だった。この後はヘッドライトの常時点灯が義務づけられる。

画像: 乗車姿勢左ひざあたりにチョークレバーとフューエルコックを装備。OW01は電磁ポンプ装備のため、リザーブスイッチボタンがあった。

乗車姿勢左ひざあたりにチョークレバーとフューエルコックを装備。OW01は電磁ポンプ装備のため、リザーブスイッチボタンがあった。

画像: エンジンを45度前傾させ、ダウンドラフトキャブで吸気経路をストレートとするのがジェネシスエンジンの基本思想。今では当たり前の、フューエルタンク前半分をエアボックスのスペースとした初期のモデルだ。

エンジンを45度前傾させ、ダウンドラフトキャブで吸気経路をストレートとするのがジェネシスエンジンの基本思想。今では当たり前の、フューエルタンク前半分をエアボックスのスペースとした初期のモデルだ。

画像: 前後一体式のダブルシートを標準装備。着座位置のシートサイドもシェイプされ、この時期のモデルはビッグバイクではあっても足つき性を最大限に考えられていた。写真のオーリオンズリアサスはリプレイス。

前後一体式のダブルシートを標準装備。着座位置のシートサイドもシェイプされ、この時期のモデルはビッグバイクではあっても足つき性を最大限に考えられていた。写真のオーリオンズリアサスはリプレイス。

ヤマハ「FZR750」主なスペック

全長×全幅×全高2125×730×1215mm
ホイールベース1470mm
最低地上高145mm
シート高775mm
乾燥重量203kg
エンジン形式水冷4ストDOHC5バルブ並列4気筒
総排気量749cc
ボア×ストローク68.0×51.6mm
圧縮比11.2
最高出力77PS/9500rpm
最大トルク7.1kgf・m/7000rpm
燃料タンク容量20L
変速機形式6速リターン
キャスター角25゜20'
トレール量99mm
タイヤサイズ(前・後)120/70ZR17・160/60R18
ブレーキ形式(前・後)ダブルディスク・シングルディスク

撮影車両のオーナー紹介

FZR750のオーナーは24歳のwebオートバイ編集部・石神

今回使用したFZR750のオーナーはwebオートバイ編集部の石神。平成生まれのヤングマンですが、大学時代に入ったバイクサークルとバイク乗りのお父さんの影響で、旧車好きに。FZRは以前所有していたBMW F800Sからの乗り換えを悩んでいた時に、家の近所にあるレッドバロン港南で見つけて即購入。納車から半年ということで暇を見つけてはツーリングに峠にと、最新のバイクにはない乗り味を楽しんでいる。

画像: 撮影車両のオーナー紹介

レッドバロンの取材の模様を逆取材!

ラッキーなことにレッドバロンが発行しているフリーマガジン「R★B(アール・ビー)」の取材を受けることになった石神。そんなネタになる話題を見逃すことなく、取材の模様を撮影して来ました。気になる誌面、内容は2023年3月1日発行予定の「R★B」vol.46を要チェックです!

画像1: ヤマハ「FZR750」インプレ(2023年)|1980年代のレーサーレプリカにいま乗って感じたこと
画像2: ヤマハ「FZR750」インプレ(2023年)|1980年代のレーサーレプリカにいま乗って感じたこと

文:中村浩史/写真:富樫秀明

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