憧れ入手してレストアやカスタムに手をつけようにも、純正部品の廃番が壁となる’80年代名車群。1985年デビューの油冷GSX-Rシリーズもその例に漏れず、オーナーを悩ませている。そんな状況下、京都のバイクショップ・m-techが消耗部品を中心とした、油冷機向けリプレイスパーツの開発・販売に乗り出した。同社の松本圭司代表に、経緯と展望を聞く。
※本企画はHeritage&Legends 2022年7月号に掲載された記事を再編集したものです。

GSX-Rひと筋だから油冷機を絶やしたくない

ヘリテイジ&レジェンズ編集部が取材の先々で嘆く声を聞くのが’80-’90年代車の純正部品の廃番。直近では、油冷GSX-Rシリーズでその声は大きい。

「ウチも多くの油冷GSX-Rの中古車を販売してきましたが、プロショップとしてお客さまに安心して乗ってもらうために、1台1台きっちり仕上げています。純正部品の廃番も見越して、膨大なパーツをストックしながらそんな販売車両に使ってきましたが、ここに来てそれもいよいよ心もとなくなった。キャブレターまわりの燃料系、スロットルケーブルにメーカー廃番が増えたところで、『いよいよ自分でどうにかしなければ』となったのが、リプレイスパーツ開発・販売のきっかけだったんです」

画像: ▲ヨシムラOBから譲り受けたというデッドストックの新品GSX-Rヘッドを持つ、m-tech・松本圭司代表は49歳。油冷機向けには最近、純正エンジン塗装同等の色合いが表現できるガンコートも開発するなど油冷機への思いは特に熱い。

▲ヨシムラOBから譲り受けたというデッドストックの新品GSX-Rヘッドを持つ、m-tech・松本圭司代表は49歳。油冷機向けには最近、純正エンジン塗装同等の色合いが表現できるガンコートも開発するなど油冷機への思いは特に熱い。

エムテックの松本圭司代表はリプレイスパーツ発売の経緯をそう話し始めた。同店は2002年創業。松本さんは’08年には鈴鹿4耐では自身のチームでGSX-R600を走らせ優勝(以降、GSX-Rでの優勝は果たされていない)したり、’18年の8耐ではエスパルスドリームレーシングのチーフメカニックとしてGSX-R1000をヤマハ、ホンダ、カワサキの各ワークスに次ぐ4位の表彰台に押し上げたりと、モータースポーツシーンでもGSX-Rひと筋の人。もちろん、油冷エンジンのGSX-Rにも特別の思い入れがある。

「今のGSX-Rもいいのですが、油冷エンジン独特のゴリゴリ感が好きなんです。自分が乗って楽しいバイクですから、お客さまにも長く楽しんでほしい。実際、ウチには油冷GSX-Rのお客さまが多くいらっしゃいますし、そんな皆さんが困らないように、まずはすぐにないと困る廃番パーツからリプレイス品の販売をスタートしました。先のスロットルケーブルとキャブレターまわりの燃料系消耗パーツがそれにあたります。次に作るなら……メインハーネスかな。消耗品のゴムパーツも後継機で使われていなければ、ほぼ廃番化が進んでいる。キャブのインシュレーターも気になっていますが、大ざっぱにみても排気量や年式で5タイプ×4気筒になる。さすがにバイクショップの手には余るので、どうしたものかと検討中です。これも現場の状況やお客さまの声次第。どうしても、となれば腰を上げるしかないのでしょうが(笑)」

画像: ▲京都市伏見区に店舗を構えるm-techは新旧、メーカー問わずの車両販売から車検、メンテナンス、カスタムやレーサー製作まで業務は幅広い。ヨシムラテクニカルショップであり、シャシダイを駆使してのFIやキャブレターのセッティングも得意とするところ。店頭には良質な油冷GSX-Rも常時展示される。

▲京都市伏見区に店舗を構えるm-techは新旧、メーカー問わずの車両販売から車検、メンテナンス、カスタムやレーサー製作まで業務は幅広い。ヨシムラテクニカルショップであり、シャシダイを駆使してのFIやキャブレターのセッティングも得意とするところ。店頭には良質な油冷GSX-Rも常時展示される。

そんな松本さんには、現在の油冷GSX-Rのマーケットはどう映っているのだろうか。

「ZやCB-Fあたりと同じように、ノーマルの乗り味を崩さず乗りたいというお客さまが増えています。ウチもカスタムはベース車両をしっかり整備した上で楽しむものと考えていますから、こうした流れは大歓迎なんです。

でも一方で、油冷GSX-Rではまだまだ乗りっぱなしのライダーは多い。そして右から左に車両を販売するのみのショップさんも。今の状況を考えれば、油冷GSX-Rはもうそんなバイクではない。オーナーやショップが気づいてくれれば、程度の良い車両はまだまだ残せるはずなんですけれどね」

部品が出るなら大丈夫……ではなくて、出るうちにベストコンディションに整えるべき。油冷機を大事に思うのは自分の思い入れのみと言い切る松本さんは、そうした警鐘を鳴らす。今乗って楽しんでいる、あるいは気になっていた油冷GSX-Rを一度は味わってみたい……。そんなライダーこそ、松本さんの声に耳を傾けるべきではないだろうか。

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ないと困るパーツからリプレイス開発は始まった!

m-tech GSX-R Parts スロットルケーブル
スロットルケーブル/スロットルケーブルNo.1 4180円 適応モデル:GSX-R750[G]、スロットルケーブルNo.2 4180円 適応モデル:GSX-R750[G]、他適応モデル:GSX-R750R[RK]4620円/GSX-R1100[G-J]4180円/GSX-R1100[K-L]※GSX-R750[J-K]にも適応 4180円。

m-tech GSX-R Parts ダイヤフラム(ピストンバルブ)
ダイヤフラム(ピストンバルブ)/4万7520円 ※4個セット 適応モデル:GSX-R1100[J]

m-tech GSX-R Parts ピストンバルブ
ピストンバルブ/4万2240円 ※4個セット 適応モデル:GSX-R750R[RK]/GSX-R1100[M-N]

m-tech GSX-R Parts フロート
フロート/2万6400円 ※4個セット 適応モデル:GSX-R750R[RK]/GSX-R1100[M-N]

m-tech GSX-R Parts ジェットニードル(JN 6ZL4-3)
ジェットニードル(JN 6ZL4-3)/2万6400円 ※4個セット 適応モデル:GSX-R750R[RK]

m-tech GSX-R Parts カムチェーンテンショナーアジャスター
カムチェーンテンショナーアジャスター/3万800円 適応モデル:油冷モデル全般

m-tech GSX-R Parts ADVANTAGE リヤディスク φ240mm
ADVANTAGE リヤディスク φ240mm/3万5200円 適応モデル:油冷モデル後期

m-tech GSX-R Parts タンクキャップパッキンセット
タンクキャップパッキンセット/3300円 適応モデル:油冷モデル初期、RG400/500Γ

m-tech GSX-R Parts カムチェーン
カムチェーン DID 219FTH-116L/1万780円 適応モデル:GSX-R750 ※J-K非対応
カムチェーン DID 219FTH-122L/1万780円 適応モデル:GSX-R1100

m-techが販売する代表的な油冷機向けリプレイスパーツ群。「すぐにないと困るパーツ」から製品化が進む。ラインナップの多いスロットルワイヤはライダーの操作感、バイクの作動感をダイレクトに感じる重要パーツだから、やはりこの復刻はありがたい。以降の新作展開についてはユーザーの要望も聞きながら出来るものから、と言う。

取材協力:m-tech

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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