時代の波に飲まれ、数多のバイクが消えていく中で、たゆまぬ熟成を続け、ライダーの想いに応え続けてきたCB400シリーズ。時を超えて、30年の長きにわたって愛されてきた名車の進化を支えてきた、開発者の想いを綴ったインタビューをお届けしよう。
 
※この記事は2017年3月号「RIDE」内の記事を再編集したもので、本文中の内容、お二人の職歴は取材当時のものです。

CBを愛するファンを裏切ってはいけない

常にクラスを牽引してきた、ネイキッドモデルの代名詞的存在。加えて、教習車にも採用され、ライダーであればほとんどが知っているバイク。CB400スーパーフォアがこれだけ長く愛される理由は何なのだろう。福永氏にその魅力について聞いてみよう。

「1992年にデビューしてから今年で25年になりますが、モデルチェンジのたびにガラッと変えてしまうのではなく、それまで蓄積してきたものを大切にして『変化』ではなく『進化』を続けてきたことが、CB400スーパーフォアの良さだと思っています。もちろん、変えなければいけないところはしっかり変えていますし、並べて比較したら歴然と違う部分も多いですが、パッと見れば同じ印象にまとまっていて、もともとの魅力はしっかりと継承されているのです」

現在に至るまで、CB400スーパーフォアには13回ものモデルチェンジが実施されたが、多くの人がイメージするシルエットや走りのフィールは大きく変わらない。一体それはなぜなのか、向原さんに聞いた。

「たとえて言うなら、CBRが創作フレンチなら、CB400スーパーフォアは代々続く『秘伝のタレ』のようなものです。CBRのようなスーパースポーツは、最新の技術と最新のスタイルをご提供するわけですから、モデルチェンジでガラッと変わるのは当然ですが、スーパーフォアは逆で、全く違うメニューになってしまってはいけないのです。

一度スーパーフォアから離れた方が久しぶりに乗っても『そうそう、こういう感じだよね』と思っていただけて、皆さんのイメージ通りのスタイルと走りが残っていること。これがスーパーフォアの良さなのです」

イメージを大切にする伝統がある一方で、絶えず進化する必要があるメカニズム。開発チームは、この相反する2つの要素をどうとらえているのだろう。福永氏に聞いた。

「技術者としては、あれもやってみたい、これもやってみたいという気持ちは当然持っています。でも、CB400はそういうモデルじゃない。大きく変えることは簡単ですが、それはもはやスーパーフォアではないんです。CB400を愛し続けて下さっているお客様の気持ちを、決して裏切ってはいけない。CB400を造るにあたっては、開発チーム全員にその考えがしっかり通っていることが何より大切だと思っています」

開発陣が一丸となって伝統を守りながら、新技術をたゆまぬ熟成で取り入れていく。他には類を見ない、CBならではの手法は、教習車としてライダーを育てる一方で、技術者の育成にも大きく貢献しているようだ。

「CB400スーパーフォアというバイクは、使う人も使い方も非常に幅広く、要求されるレベルも非常に高いですし、ハイパーVTECの機構は非常に緻密で、造るのも正直言って大変です。しかし、かつて『VTECを外したら価格は安くなりますか?』と聞かれましたが、VTECを外してしまったらCB400の存在意義がありません。開発にあたってはCB400ならではの『秘伝の味』を伝えていく必要がありますから、開発側からすれば、このバイクは若手の育成にとって非常に素晴らしいバイクでもあるのです」

CB400スーパーフォアは「ネイキッド」を代表するモデルから「ヨンヒャク」を代表するモデル、そして「ニッポン」を代表するプロダクトとなった。誰もが一度は乗り、愛する永遠のベストセラー。最後に、今回お話を伺ったお2人から、CB400を愛するライダーにメッセージをいただいた。

「CB400シリーズを長きにわたって愛してくださっている皆さんに、まずは感謝の気持ちをお伝えしたいです。CB400スーパーフォア・スーパーボルドールというバイクは、日本の道で生まれた、日本のためのオートバイです」(福永氏)

「CB400スーパーフォアというバイクは、エンジンが主役ではなく、乗って頂く皆さんが主役になるように進化してきたオートバイです。ライダーのスキル、乗り方、好みにとらわれず、あらゆるシーンで楽しめますし、このバイクから一度離れた方も、乗り続けている方も、乗ればいつでも同じように楽しい1台です。他のバイクに浮気するのもいいですが、再び乗ったときに『やっぱりCBはいいな』と思っていただけたら嬉しいですね」(向原氏)

画像: 1992年の初代から3回、VTECを搭載した1999年からは実に10回ものモデルチェンジを行ってきたCB400。「変化」ではなく「進化」を続けてきた完成形が、いまここにある。

1992年の初代から3回、VTECを搭載した1999年からは実に10回ものモデルチェンジを行ってきたCB400。「変化」ではなく「進化」を続けてきた完成形が、いまここにある。

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