街のバイクショップで手に入るというのに、最高出力200PSオーバー、その最高速は場所さえ許せば300km/h! それでも、ストリートランでも楽しめる誰にでも厳しく、楽しいスーパースポーツ。その源流にGSX-Rがあった。
文:中村浩史/写真:赤松 孝

スズキ「GSX-R1000R」街乗り&高速道路インプレ

画像1: スズキ「GSX-R1000R」街乗り&高速道路インプレ

サーキットで最高に楽しいGSX-R1000R、公道でも楽しめるのか?

味わうには、サーキットを走るのがいちばんだ。上手く走れない、ヒザなんか接地しない、タイムも測らなくても、公道で禁じられているスピードまでアクセルを開け、いつもは経験しない強いブレーキで減速Gを味わい、普段よりタイヤのエッジグリップを感じることは、オートバイの持つ非日常性の、さらに一歩奥まで踏み込む行為だ。

画像: ▲以前行ったサーキットでのテストのひとこま。

▲以前行ったサーキットでのテストのひとこま。

けれど、サーキットになんかそうそう行けるもんじゃない。スポーツ走行専用に持っている、という特別な一般ライダー以外は、街乗り5割、ツーリング4割、サーキット走行会1割──なんてところがよくあるスーパースポーツモデルオーナーの平均像ではないか。

だから、今回はサーキットではなく、街乗りばっかりやってみた。制限速度は、一般道で最高60km/h、高速道路で最高120km/h。

きっと最高速度300km/hはイケるGSX-R1000Rにとってみれば、ほんの朝飯前。1万4000回転まで刻まれているタコメーターのバーグラフは、どこまで伸びるだろう。

まずは乗車ポジションに驚かされる。これまで、ワインディングやサーキットで乗った時には気にならなかった強烈な前傾姿勢。ハンドルは低く、ステップは高いけれど、グリップ位置が近く、ステップは後退しすぎていない。サーキットではあんなにピタリとフィットするポジションだったのになぁ──。

走り出しはそーっと。アクセルを開けずに半クラッチで進んでみると、GSX-R1000Rに搭載されている、発進時にエンジン回転の落ち込みを検知して回転を上げ増ししてくれる「ローRPMアシスト」の効き目もわからないくらい、ゼロスタートでのトルクが太い。

ライディングポジションに慣れるよう、着座位置やニーグリップ具合を確かめながら走り始めると、GSX-R1000Rはフリクションなくスイスイと進む。エンジン回転数を上げないようにショートシフトでどんどんギアを上げていくと、6速50km/hはほんの2200回転、60km/hは2800回転ほど。なんてこと! あの250Γで刻まれていなかった3000回転を超えると、一般道で制限速度違反になってしまう!

6速3000回転以下でも、アクセルひと開け(いや半開け)でもグンと加速するGSX-R。なんてバイクだ!

画像2: スズキ「GSX-R1000R」街乗り&高速道路インプレ

時速60kmだって感じられるフル電子制御技術のありがたさ

街乗りでは、ほんの3000回転あたりのバーグラフしか使わないので、タコメーターも怒っているだろう、と高速道路に乗り入れてみる。一般道の時よりも引っ張ってシフトアップすると、6速100km/hは4500回転、120km/hは5400回転というあたり。あ、まだ怒ってんナ。

高速道路を100km/h、120km/hで走っても、GSX-R1000Rにはまったく何も起こらない。直進安定性はピタリと出て、レーンチェンジも軽々と決まる。190mmと、やや太すぎる感のあるリアタイヤで路面のうねりを拾うことがあっても、不安になるほどではない、スピードが出すぎないように右手首の角度に気をつけるだけだ。

まったく平和なGSX-R1000R。197PS要る? 電子制御使う? ──そう思ったけれど、197PSは強大なトルクをもたらし、実は電子制御技術も、こんな乗り方でも働いている。

試乗出発は真冬の早朝。冷えた路面に、出発2つめの曲がり角で、リアタイヤがズルッ。おっといけない、トラクションコントロール介入を最大にして、気温が上がるまではパワーモードを最弱にしておこう。そんな低い路面温度でも、ABSの標準装備が心強い。

走り始めたら、シフトダウン&アップのクイックシフターの存在に気づく。クラッチ操作なしの走行はストレスなく、試乗を終えた後にはクイックシフターなしのバイクに乗るのが億劫になるほど快適なシステムだ。

右手首の開きほんの数度だけでギュンと加速し、車重200kgを超えるバイクが、レーンチェンジも街角を曲がるのも、思い通りにヒラリ。そうか、やっぱり走ることを考えたら、最高の乗り物なのだ、スーパースポーツは。

ショーウィンドウに映る僕とGSX-R。おう、結構カッコいいじゃん。

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