この記事は「東本昌平RIDE92」、月刊オートバイ1998年3月号、2000年2月号、2002年5月号、2004年4月号、2007年2月号、2009年8月号、2012年2月号/ 5月号を加筆、修正、写真変更などの再編集を施しており、一部に当時の記述をそのまま生かしてある部分があります。
文:中村浩史、宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:赤松 孝、小平 寛、瀬谷正弘、永元秀和、南 孝幸、山口真利、森山俊一
ヤマハ「YZF-R1」(2012・RN23N)インプレ・解説
「R1らしさ」を楽しむ際の安心感を大幅にアップ!
7代目R1の最大の特徴といえば、ヤマハ初のスーパースポーツ用トラクションコントロール(TCS)の装備だ。介入度はオフを含めて7段階に設定可能で、従来からのDモード3段階と合わせて21段階ものライディングパフォーマンスが選べるようになった。
これに伴い、ECUのセッティングが見直され、低中速からのトルクの立ち上がり特性を向上。アッパーカウルの形状も変更されて、空力特性もアップしている。
新採用のTCSはスーパースポーツ専用だけあって、かなり煮詰められたものを搭載。DモードはスポーティなAモードを選び、TCSを最強にしていても頻繁には作動しない。TCSの作動自体も滑らかで、急激なトルク制御は行わず車体の挙動は乱れない。
クロスプレーンクランク採用のエンジンとも相性が良く、スロットルを開けて旋回性を積極的に制御するというR1ならではのハンドリングを、より引き出しやすくしている。
ウェット時や滑りやすい路面ではTCSを最強にすればスリップやウィリーを防いでくれて安心感は格段にアップ。
パワーの特性が選べるDモードを路面状況やコーナーの旋回速度によって組み合わせれば、より自分好みのセッティングが実現できる。これまでの歴代マシンでは最もR1らしさを楽しめる。