国内4メーカーの正規ラインアップで唯一フルカウルを装備したスーパースポーツモデル「GSX-R125」。原付二種フルサイズの車体に最高出力15PSの強力なエンジンを搭載する。その走りは125ccスポーツの概念を塗り替えるものだ。
文:太田安治、オートバイ編集部/写真:赤松 孝、南 孝幸/モデル:木川田ステラ

スズキ「GSX-R125 ABS」インプレ・解説(太田安治)

SUZUKI GSX-R125 ABS
総排気量:124cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
シート高:785mm
車両重量:134kg
メーカー希望小売価格:41万5800円(税込)
2021年モデルの発売日:2021年1月18日

パワーを引き出して走る爽快感、充実感は格別!

スクーターが中心だった125ccクラスでも、近年ではスポーツモデルの注目度が高まりはじめている。イージーで実用的というスクーターの利点は判っていても、本格的なオートバイのルックスやマニュアルミッションの操作に魅力を感じるライダーが再び増加に転じているのだろう。

そんな中スズキがラインアップする、クラスでも数少ない本格スーパースポーツがGSX-R125。このクラスでは貴重な前後17インチホイール装着のフルサイズスポーツとして人気を博している。兄弟車の「お下がり」ではなく、125ccモデルとして設計されている車体はコンパクトでスリム。足着き性が良くて押し歩きも軽いので、ビギナーや小柄なライダーでも不安なく扱える。

GSX-Rシリーズらしく、低めのセパレートハンドルを装備するが、グリップ位置が体に近いので上体の前傾度はさほど深くはないし、前寄りに座れば肩や腕への負担が減ってロングランも苦にならない。

画像: ▲ボディ全面、左右に入る大胆な「SUZUKI」ロゴが入るグラフィックは、GSX-Rシリーズ共通のデザイン。今回の試乗車はMotoGPカラーのブルーで、レーシーなイメージを強調。

▲ボディ全面、左右に入る大胆な「SUZUKI」ロゴが入るグラフィックは、GSX-Rシリーズ共通のデザイン。今回の試乗車はMotoGPカラーのブルーで、レーシーなイメージを強調。

ストリートコミューター的な使い方も可能だが、乗りやすいだけの退屈なオートバイではない。水冷DOHC4バルブ単気筒という凝ったメカニズムのエンジンは回転上昇が実に軽やかで、6速ミッションとの相性が抜群。7000回転から盛り上がるパワーは1万2000回転までの広いレンジでスロットルワークに忠実に反応し、レッドゾーン近辺でも、単気筒エンジンに多い重ったるさはなし。

臨機応変なギア選択と的確なスロットル/クラッチワークで15PSをフルに引き出す走りは、有り余るパワーをなだめながら使う大排気量車とは違った面白さ、爽快さがある。ハンドリングも軽快なだけではない。低くセットされたハンドルによってフロント荷重が増え、手応えが自然で、寝かし込んだ瞬間の旋回力と深いバンク角での接地感が高まり、タイヤのグリップ限界が掴みやすい。

▲スーパースポーツ的なルックスながら、ユニークなマスクで個性も主張。前面投影面積を減らすことで空気抵抗を低減しながら、リフト量も抑えて優れた安定性も実現した。

攻め込んでいくとサスペンションの減衰力不足からピッチングモーションが大きく出て落ち着きが薄れるが、市街地での乗り心地を考えれば現実的なセッティングといえる。

このオートバイは街乗りやショートツーリングに使われることが多いが、若いライダーならサーキットでライディングスキルを磨いて欲しいと思う。前後サスペンションを硬めにセットしてグリップの高いタイヤを履かせれば、スポーツライディング入門用としては最高の一台に変身するからだ。

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