ネガを洗い出す中でアップデートも盛り込む
この車両は、カワサキGPZ900R系列の扱いをメインとするマーベラスエンジニアリングによる、近作カスタム車だ。コンセプトは“A6カラー(GPZ900R A6純正の黒×金[エボニー×パールコスミックグレー]、通称『仏壇』)をオマージュし、かつ今の最新仕様を表現”というもの。その言葉の通りに、マーベラス代表・折目さんが常々言っている「自分のバイクとして愛着の湧くように」を他のマーベラス・カスタム同様にフルペイントによって表現する。
エンジンはGPZ900R系列後継のZRX1100に換装してヨシムラカムを組む。これは、既に年数が経ったエンジンにボアアップや各部チューニングを行っていく際にかかるコストと得られるパフォーマンスのバランスを考えた上で、換装の方が無理なくパンチとパワーが得られ、純正状態の信頼性もキープするとしての選択だ。
足まわりはゲイルスピード・アルミ鍛造ホイールの最新Type-EにオーリンズRWUフォーク/ウイリーステム&スイングアーム、ブレンボラジアルキャリパーに同フロントディスク。排気系はマーベラスが長年の経験を生かして作ったオリジナルのコニカルゴルディ・マフラーにシートもオリジナルと、今GPZ900Rに選べるベストを配した様相となっている。
そして驚くのは、この車両の素性というか、成り立ちかも知れない。フルカスタムを作ろうとしてショップに持ち込まれたのかと思いきや、最初はノーマルライクで、同店オリジナルのニンジャ系整備・点検メニュー“ニンジャドック”を受けるために入庫したという。説明しておくとこのニンジャドックは、冷却系やベアリングほか車体系など、折目さんが20年に及ぶショップ活動の中で見つけてきたニンジャの不調を見つけ、快調にするもの。多くの車両が復調してきた。今も予約が途切れないほどの人気メニューでもある。
この車両はニンジャドックを受けるうちにネガを出し、それをオーナーに報告し、改善の手段を伝えるとオーナーも快諾して……というようにカスタム面でのメニューが進んでいったという。当初の予定とは異なったが、カスタム化によって確かに愛着は高まるし、すべての部分を折目さんというプロが目を通した上でレストア的作業も施されているから、今後仕様変更を受ける際にも無理はない。その上で、次に手を入れるべきタイミングも明確化した。形こそ異なるものの、しっかりしたフルリフレッシュも行えたのだ。
マーベラスでは常々ニンジャに目を配り、自ら気になることをテストし、他では見られないようなオリジナルパーツ群を展開している。この車両にもそれらは使われている。そんなパーツ群も、快走ニンジャのヒントとして、ぜひ注目しておきたい。
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