パーツと技術の進化で安心・快適化を図る
カスタムバイクの進化というものを考える際に、’70~’80年代に生産されたカワサキZシリーズは最適な例だろう。登場から50年近くなるのに、その都度最新のパーツが現れ、また最新と言える技術が投入されてくる。元々のフロント19/リヤ18インチから、現代標準の前後17インチ化を行うのもそのひとつだろう。
これに合わせた足まわりの構築、フレーム側の入力への対処。そして、空冷4気筒エンジンもそうした進化によって、より耐久性を高めたり、出力は当然として過渡特性も向上する。
このような空冷Zへの最新カスタム手法の好例と言えるのが、このブルドックZ1-Rだろう。
同店がオーダーを受けて製作するコンプリートカスタム、GT-M(Genuine Tuning Machine)の1台として作られたもので、モチーフとなったのはショップのGT-Mデモ車だ。なるほど、車体に施されたブルーのカラーリングや全体のスタイルは確かにそのGT-M Z1-Rデモ車の2019~2020年バージョンという感覚。
前後に17インチ径のアルミ鍛造・ラヴォランテホイールを履きつつ車体ディメンションは見た目から
も違和感なく、フレームも修正/補強/加工がなされる。
リヤショックのレイダウン部分の処理もスマートだし、タイヤがワイド化したことで対応すべきドライブチェーンのオフセットやそれにともなうスイングアームピボット部の加工も行われる。フロントフォークは大径化した上で、的確なトレール量を得るようにフォークオフセットを設定したオリジナルMccoyステムでクランプ。
一方でエンジンもただ補修/レストアというだけでなく、その先を見据えての加工がなされる。
メーカーによるチューニングが進んだZ1000J系ヘッドを使うこと。スムーズな回転と作動に配慮したオリジナルクロスミッションを組むこと。これによってエンジンの振動も減り、シフトタッチも良くなり、ギヤもしっかり入る。当然、長く使える。
さらに一般的には内燃機加工店に発注するようなエンジンの内部加工=内燃機加工も自社内で加工と管理を行う。こうすることで選ばれた排気量やパーツ、部分加工に対する最適な処理ができ、以後経年などで何か起こっても、容易に対処できる。
そんな内部に対して外部も、デュアルスタックファンネル仕様でのFCRφ35mmキャブレター、ショートサイレンサーでいながらZに対してマッチング良く、音量も抑えられたWinMccoy NEOチタンフルエキゾーストなどの仕様、そしてさりげなく取り回されるオイルライン等、まさに今のZカスタムらしい作り。シルバーアウターチューブのナイトロン・フロントフォーク(これも専用セッティング)や前後ウインカーの処理も、今でこその部分だ。
このように、以前なかったものを新作していくことで、まだまだZの世界は広がる。しかも、GT-Mは今回のモチーフとなったデモ車だけでなく、どの車両もが新しいGT-Mの見本となっても不思議のない作りを持っている。そうした面にも、注目しておきたい。
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Detailed Description 詳細説明
取材協力:ブルドック
記事協力:ヘリテイジ&レジェンズ
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