これから先を乗り込むためのベース作り提案
新型KATANA登場で改めて脚光を浴びる、空冷スズキGSX1100Sカタナ。今選ぶとなると弱点対策と現代化が必須だが、実際はどうするか? このテクニカルガレージRUN製カタナは、その見本とでも言える内容を持っている。RUN・杉本さんにその内容を聞いた。
「この車両はファイナルエディションがベースで、できるだけノーマルルックスを維持して状態を良くしたいというオーダーをいただいたんです。ですからフレームも無加工、ホイールもフォークもエンジンもノーマルです。STDマフラーのままが絶対条件など、ある意味厳しい制限があったんですが、こちらからの提案も織り込んで、バランスを取っていきました。
仕上がりは良好です。マフラーもチタン化するともっと慣性も減って楽に取り回せますが、それでも必要なものは入っています。
順に挙げていくと、フレームとホイールはダイヤモンドコートで塗装。フレームは各種試した結果、補強は仕様によっては入れた方がいいですが、必須ではない。むしろ内部の錆びや今後のことを考えて今きれいに仕上げ直す。ホイールも同じです。今後のための処理。ステップもフレームを切らないタイプの、RUNオリジナル。ステムやスイングアームピボット、ホイールなどのベアリングとゴム類は新品交換。エンジンは状態確認して、問題なし。キャブのオーバーホールは必須です。
カタナはエンジンが丈夫なのは利点です。新車から定期的なオイル交換をして、普通の使い方をしていれば10万kmは保つくらい。幸いにしてスズキからは内部パーツが出るので、まだ手が入れられる。
その上での現代化ですが、まず安全に止まれるブレーキがほしいので、フロントマスターはブレンボラジアル、キャリパーもブレンボ4Pにしています。ラインもステンレスメッシュ。ディスクもサンスターに換えていますが、市販品はインナーがブラック。ファイナルではここがゴールドなので、オーダーで色を合わせました。
サスも同様で、フロントが安定するように内部セッティングを変えて、リヤはオーリンズ。ここでもスプリングをブラックにして全体感を極力ノーマルに合わせています。あとは前後アクスルとピボットシャフトをクロモリにして、サスやタイヤの性能を引き出す。
これでまずここまではやりたいといういい見本になっています。ここから先にまた手を入れたいという時にも、きちんとしたベースになるわけですし。今回の作業ではどうノーマルを維持するかも考えるいい機会になりました。
廃番の可能性があるパーツはストックした方が良いでしょう。あとは入手する車両の実態をよく知ること。メーターの距離は当てにならないので、全バラして消耗品は全交換。そこから始めて、前述のような内容を施して、ようやくスタートラインかも知れません。それでも、カタナの世界観が好きならば満足いくはずです」
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