現状と将来も考えつつカスタム感も満たす快調カタナ
空冷のスズキGSX1100Sカタナがコンスタントに入庫し、多くのカスタム車を製作するブライトロジック。ベース車はユーザー持ち込みもあれば、作り置きするものもある。
後者ではベースフレームをチェック→修正、必要なら加工。エンジンも同様に仕上げ、足まわりはアップグレードしてノーマルプラスアルファで製作することが多いという。その際にベアリングやシール類の新品交換ほか、車両コンディションを引き上げのポイントとなる作業を入念に行っている。
「車両製作の様子をブログでアップすると、途中でお客さんが付くケースも多くて、そこからはオーダーで好みに作り替えていきます」。同店代表の竹中さんは言う。
「この車両はファイナルエディションがベース。お客さんの持ち込みで、手を入れるのがもったいないなと思えるくらいにきれいで状態もいい車両だったんです。でもカスタムをやりたいという話で、打ち合わせの結果でこの仕様になりました。前後18インチ化がメインで、ホイールはマグタン。ブレーキも強化してサスを換えて。仕上がって乗ってみると“このくらいがカタナらしい乗り味もあって、元よりぐっと軽くなってていいよね”と思えるような感じになってますよ(笑)」
このケースでは外装も含めてベースの状態が非常にいいこと、それからベース自体がファイナルエディションで、2000km程度という低走行車であること。ファイナルでそのまま持っていたとしても相場は200~300万円はくだらないだろうし……という理由からの「元に戻せる仕様での提案」(竹中さん)だった。
ただ、そこにも十分な配慮が備わっていて、ステムはファイナルエディションを生かしたまま、フロントフォークのボトムケースはGSX1100SR用に。総数でわずか1100台のSY(ファイナル)のために変更されてキャリパーサポートに市販品がない(’20年初頭)から、そのための解決策。スイングアームはガタがなくスムーズに動く取り付け精度や直線、直角と要った形状精度がきちんと出ている上に部材が太過ぎないものに。
その上で、テールの高さを少し上げて適正化できるリヤショックのロア延長アダプターを新作して装着している。ステップおよびマフラーも、無理なく装着が可能なファイナル対応品を選択する。このように車体姿勢も含めて細かい配慮が行われるから、カスタム感と美しさが満たされる。
機械的、車両的にユーザーで分からない部分をプロが補い、アレンジする。その下地にきちんとしたベース性能が備われば、楽しみの幅は広がるというわけだ。
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