旧車の面倒くささを感じさせない作りこみ
バイク界夏の祭典、鈴鹿8時間耐久レース。1978年の第1回大会は欧州耐久で“無敵艦隊”と呼ばれた優勝候補筆頭のホンダRCB勢を退けて、ヨシムラGS1000がウエス・クーリー/グレーム・クロスビーのライドで優勝した。
40回記念大会となった2017年のオープニングセレモニーには、その第1回優勝車をレプリカしたGS1000カスタムが登場し、クーリーが走らせた。
このレプリカ車両を製作したのが、ブライトロジックだった。
元々’17年春の東京モーターサイクルショー出展用(オーリンズブース)に作ったもので、’81年に当のクーリーがAMAスーパーバイクを走らせた青×白仕様として製作。
それをヨシムラジャパンの吉村不二雄さん経由でどうせなら第1回優勝車レプリカに仕立てようと外装一式を載せ替えて、展示された。
そしてこの車両だが、その第1回優勝車の雰囲気を盛り込みつつ、ストリートで楽しめることを重視して作られたもうひとつのレプリカ車だ。ブライトロジック・竹中さんによると……。
「基本的な内容はウチでよく仕立てているGS1000とだいたい同じです。各部をきちんと見直していって、ベアリングとか必要なところは変えていく。
今回は点火、イグナイターを油冷GSX-R用にしてもいるんですが、一番の特筆はキャブレターかな。負圧タイプのCVKにしたんですけど、気持ちよく加速していきますし、シフトダウンの時のツキも良くて気持ちいい。
オーナーさんはZRX1200DAEGからの乗り換えでしたけど、現代車みたいに前に出られて乗りやすいというように言ってました。
あとフロントフォークはカタナ用で、ホイールもMAGTAN JB1で19/17から前後18インチにしてます。ブレーキはブレンボ+サンスターで、この辺の組み合わせも良かった。
18インチでハンドリングもすごくニュートラルな感じになって、ブレーキも効くようになってますから、旧車の面倒くさい感じが解消されたと思います。これでエンジンをスープアップするともっと良くなるかなと思います」
ルックス以上に、爽快な走りが売りと言えるほどの作りになっていた。
竹中さんは2019年の8耐ではフランスの耐久チーム、T2CLサンクロレラを手伝ったところ。その内容がまた新しい(ベースは旧車だとしても)車両に、このように反映されるのだ。