データや加工に後継車のものを取り込んで進化
1979~1983年に展開したホンダCB-Fシリーズを2020年が迫ろうとする今楽しむには、レストアやメンテナンスで性能を維持する方法がまずある。
もうひとつ、前後ホイールの17インチ化や動力性能強化というカスタムによって、CB-Fのスタイルを生かしながら現代的な走りを手にするという方法がある。
とくに後者ではディメンションの変更やフレームの補強という項目が必要になってくるが、その見本的な存在が、タジマエンジニアリングの手がけるタジマスペシャルCB-Fだ。
「現代車のフレームと旧車のフレームで別物だろうと思われるけど、狙っているところはあまり変わらない。ちゃんとタイヤが使えて、エンジンパワーが生かせるかということです。この40年の間にタイヤがバイアスからラジアルになったり、太くなったりしてるから、それに合わせてノーマル車自体が変わってきたんです。そこが変わることは割と受け入れられてきた。
でも、形という点では好みがあるでしょう。同じCBでもFは好きだけどSF(SC30/40/54)はイマイチという人もいる。それで私と村嶋くん(同店メカニック)はお客さんから依頼があればFの形で今風の走りを楽しめるようなバイク作りをしてきたんです」(タジマエンジニアリング代表/田島歳久さん)。
その言葉通り、タジマスペシャルではCB-Fのフレームを測定・修正後に20カ所に補強を加え、現代ラジアルタイヤに対応させている。さらに現代CB=SC54の数値を参考とし、フォークオフセットの変更などのディメンション変更を行う。
エンジンも多くの個体を扱ってきた中で、タジマスペシャルが確立されている。
クランクシャフトの軽量加工とフルバランス調整に、これを支持するメタルジャーナルの鏡面仕上げ。ヘッド部はおなじみポートの加工研磨。
ピストンは二硫化モリブデンフッ素コート(オーベルコート)と、各部にフリクションを減らし、滑らかに作り込むことでエンジンに滑らかさや伸び感を出す手法が採られる。
そこでこの車両だ。CB-Fの元となったRCB、またCB-Fをホンダがレースチューニングしたと言えるRS1000。この双方に共通した外観を持たせた、タジマ“RS仕様”のカスタムだ。
上に挙げたようなCB-Fへの17インチ化基本メニューをほどこした上で、ヘッドパイプからスイングアームピボット部をストレートにつなぐようなアルミ製のY字状サブフレームをボルトオン接続。その上でRS1000タイプの外装をマウントするものだ。
CB-Fの外装も持っていれば30分もあれば付け替え(サブフレームとフロントカウルを外し、他は換装)が出来るという、ひと粒で2度おいしいカスタムとも言える。
1号機は多くのテストを重ねた上でデータを収集した後に販売され、この車両は2号機として完成。さらに’19年夏時点で3、4号機と製作が進められていた。レーサーチックな外観でサーキットも楽しめるように作る一方で、ツーリングにも十分使える柔軟な特性を持つこのタジマRS仕様・CB-F。
旧車となったCB-Fの楽しみの幅を広げる1台ともなった。
Detailed Description 詳細説明
取材協力:タジマエンジニアリング
記事協力:ヘリテイジ&レジェンズ
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