カタナに次々盛り込む驚異的アップデート
「最新の変更点はドライカーボン製タンクへの換装と角度可変スクリーン、それからシートです。あとフロントディスクをプラスミューでワンオフ製作しました」クォーターの平田さんはこう切り出す。同店は平田さんの加工技術や整備/カスタム哲学に惹かれて、多くのリピートユーザーがカスタム化や整備を依頼する。
「タンクはドライカーボンで、カタナノーマルを元に治具を作り、そこから雌型を起こして成形し、焼き上げてもらいました。この車両はこれ以前にもアルミタンク化してましたすが、前側のカウルとのラインが微妙にずれていたりしたので、新作ではそこも補正して、違和感をなくしています。
エンジンは早くから油冷になってましたが、ポート加工とカム変更で現状150ps程度は出てます。モノサス化もしていますから内容はもう現代的ではあったんです。でも、オーナーさんも今普通にあるパーツだけでは満足されないので、まず工夫してみる、作るという方向でこうなっています。
それで今回のカーボン化でより軽くなって、重さは実測値186.9kg。オイルあり、ガソリンなしの数値です。満タンにしても200kgそこそこ、今のスーパースポーツと遜色ない数字(スズキGSX-R1000R・L8が装備重量203kg)です。元のカタナ(乾燥254kg)からすると70kg近く軽くできてます。
それだけでなくて、このカーボンタンクで車両の上回りが軽くなって、試乗してもすごく軽く捌けて切り返しも軽いんです。リアも200幅タイヤを履いていますが、ただ履いただけ、太くなっただけのような、もさっとした感じがなく、ヨシムラ・カタナ1135Rにも通じるようなシャープ感もある。
軽さは、ネガなしに利点を享受できるんです。オーナーさんとの信頼関係でこれまで積み重ねてきた作業内容と、今回のカーボンタンク化の狙いは当たったと思います」(平田さん)
平田さんが途中で話したような既に受けていたカスタム=モノサス化+前後17インチ化(プラス、腐食していたフレームの改修)、油冷エンジン換装でも十分に走る車両になっていたのが、それらの利点をさらに生かす結果となった。現時点でも十分未来的なこの車両、さらに先も構想があるという。その姿も、見てみたい。
Detailed Description 詳細説明
スクリーンは角度可変タイプに進化。ステーは板材でなくブロックから加工して強度等にも配慮。多機能メーターはAIM Mychron3plusで、ハーネスや回路などもクォーターでワンオフ。オーナーが確立した世界観を平田さんが二人三脚で実現している様子もよく分かる。
取材協力:クォーター
記事協力:ヘリテイジ&レジェンズ
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モーターマガジン社 (2019-09-27)