初代発売から1年3カ月という超ショートスパンで、NSR250Rには2代目のMC18がリリースされる。フレームや足まわり、ディメンションを変更して安定性と素直さを高め、動力系にはコンピュータ制御のPGMキャブを加え吸気/点火/排気を総合電子制御化。トルク特性もより良化し、この“ハチハチ”はライバルを大きくリードしていく。

ホンダ「NSR250R(MC18前期)」(1988)各部解説

キャブにもコンピュータ制御を導入し車体もアップデートさせたMC18の前期型

画像1: ホンダ「NSR250R(MC18前期)」(1988)各部解説

“HONDA RACING”の文字が刻まれたクラッチカバーなどもMC16から継承する水冷2ストローク・1軸クランクの90度V型2気筒エンジンは、Φ54×54.5mmというほぼスクエアなボア×ストロークから249.6ccの排気量を得ることや縦置き6葉のリードバルブによるケースリードバルブ式なのも同じだが、圧縮比(2ストロークの場合はピストン下死点~上死点のシリンダー容積+燃焼室:燃焼室分の2次圧縮比を表記)を6.2:1から7.3:1に高めた。

ピストンもニッケルメッキ、硬質アルマイト、スズメッキの3種によるトリプルコーティング仕様に変更。モーター駆動で可変バルブを上下させて排気タイミングを変えるRCバルブは、生産手法を新しくしてシリンダーのポート部とバルブとのクリアランスを極力減らし精密化を図り、低中回転域では吹き抜け量を減らして燃費と出力を向上、高回転域では乱流の発生を抑えて充填効率をより高めたRCバルブIIに進化した。

画像2: ホンダ「NSR250R(MC18前期)」(1988)各部解説

またMC18では2026年の今から見れば初歩的とは言え多くの領域にコンピュータ制御を導入したのが特徴で、フラットバルブを持つキャブレターはメインボアをΦ28→32mmに大径化したが、このビッグボア化による息つきを防止するためにエンジン回転数とスロットル開度を検知してコンピュータで演算、エアジェットを調整して混合気を最適空燃比とするPGMキャブレター(プログラムド・キャブレター)を採用。

そのスロットル開度センサーの情報から点火マップに補正を加えるとともに、急激なスロットル操作(開度変化)に対しては進角を補正することで最適な点火タイミングを決めるように、点火系もPGM-CDIシステム(PGMイグニッション)に変わる。これらPGMの導入はMC18の特徴で、カセットミッションに専用オイルポンプを追加した点も新しい。

当時の国内自主規制もあって最高出力の公称値はMC16の45PS/9500rpmから不変だが、最大トルクは3.6kgf・m/8500rpm→3.8kgf・m/8000rpmと高められた。ラジエーターは24mm厚のアルミコアをフロントシリンダー上に置いている。


画像3: ホンダ「NSR250R(MC18前期)」(1988)各部解説

レーサーに近い外観のためヘッドライトは長方形のままMC16より小型化されたが、ハロゲンバルブを使って十分な明るさを得た。ボディ/ステーともマット調のブラックで仕上げたバックミラーは鏡面も他のモデルより小さい。カウル左にPGMステッカーが加わり、フロントウインカーも流線型から小型の四角になった。


画像4: ホンダ「NSR250R(MC18前期)」(1988)各部解説

MC16は速度計とエンジン回転計を樹脂製パネルに並べ、回転計の文字盤に水温計を内蔵するが、MC18では水温計を外に出した3連メーターを新作。回転/水温の両メーターをスポンジプレートにはめ込み、レーサーに通じる外観とした。

トップブリッジ下マウントのセパレートハンドルやリザーバータンク別体のフロントマスターシリンダーは継続。フロントフォークはエアアシストタイプで、トップキャップにはプリロードアジャスターも配されている。


画像5: ホンダ「NSR250R(MC18前期)」(1988)各部解説

エアプレーンタイプキャップとエア抜きパイプを持つ燃料タンクはMC16から同形状。外側の角を落として異型5角断面となったフレームが見える。

画像6: ホンダ「NSR250R(MC18前期)」(1988)各部解説

シートカウルやライダーシート、タンデムシートの処理はMC16に準じる。ステップはMC16をわずかに洗練した感じで左レバーの肉抜きはなし。タンデムステップは一般的なものに変わった。


画像7: ホンダ「NSR250R(MC18前期)」(1988)各部解説

フロントのフローティングディスクはディスクハブの形状を変更、外径をΦ256mmからΦ276mmに大径化している。またワークスレーサーに倣って新作されたアルミキャストホイールは、スポークをMC16のS字断面3本からU字断面の6本に変えた。

径はMC16同様にフロント17/リヤ18インチだが、リム幅が前2.75→3.00、後ろ3.00→4.00にそれぞれ拡大。タイヤもフロントはバイアスのまま100/80→110/70とワンサイズ太くなり、リヤは130/70→140/60にサイズを変えるとともにラジアル化された。

画像8: ホンダ「NSR250R(MC18前期)」(1988)各部解説

リヤブレーキは片押しシングルピストンキャリパー+3本のボルトでホイールのハブに固定されるΦ220mmディスクを継続。MC18ではフロントフォークのインナーチューブ径をΦ41mmに2mm大径化。エアアシストタイプでトップキャップにプリロードアジャスターを置く。フロントブレーキには異径対向4ピストンキャリパーを新装備。


画像9: ホンダ「NSR250R(MC18前期)」(1988)各部解説

プロリンクリヤサスのアルミスイングアームは新作され、アルミ押し出し成形で軽量化しながらより太くして大型車並みの剛性と路面追従性を発揮。ショックもド・カルボン式を進化させた改良型ダンパーとなった。


画像10: ホンダ「NSR250R(MC18前期)」(1988)各部解説

異型5角断面のフレームが分かるカット。キックスターターアームを右に備える点もMC16同様だ。


画像11: ホンダ「NSR250R(MC18前期)」(1988)各部解説

MC16ではテール/ストップランプとリヤウインカーを一体化してシートカウル後部下に収めたが、MC18ではナンバープレート左右に小さなウインカーを置き、カウル後部に小径丸型のテール/ストップランプを2個並べた。耐久レーサーが使うパーツを参考にデザインされ、他モデルにない独特な外観を生んだこの形は最終型まで継続されることとなった。

ホンダ「NSR250R(MC18前期)」(1988)主なスペック・当時価格

全長×全幅×全高1985×640×1105mm
ホイールベース1355mm
最低地上高135mm
シート高770mm
車両重量145kg
エンジン形式水冷2ストローク ケースリードバルブ90度V型2気筒
総排気量249.6cc
ボア×ストローク54.0×54.5mm
圧縮比7.3
最高出力45PS/9500rpm
最大トルク3.8kgf・m/8000rpm
燃料タンク容量16L
変速機形式6速リターン
キャスター角24°00′
トレール量90mm
ブレーキ形式(前・後)ダブルディスク・シングルディスク
タイヤサイズ(前・後)110/70-17 53H・140/60-R18 64H
販売当時価格(1988年)57万9000円

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