
前後シリンダーからまっすぐ伸びる排気系レイアウトが印象的。ラジエターは車体内部に取り込まれ、走行風を積極的に当て、負圧で後方に逃す設計。空力設計を得意とするヴィンスらしいディテール。製造は手間がかかり、さらに難易度もかなり高いはず。

タンクカバーからシート部分まで、メインシャシーは一体型のドライカーボンモノコック。オートクレーブを社内に持ち、フォーミュラやスーパーカーなどのカーボンパーツ製作も請け負うヴィンスだから製造可能な、ユニークな車体だ。


フロントサスペンションはホサック式と呼ばれる独創的なもの。車体側に固定された上下2段のアームが衝撃吸収を担い、そこに繋がるショックユニットで減衰を行なう。4輪車のダブルウイッシュボーンやBMWのデュオレバーにも近い構造で、衝撃吸収と操舵(ステアリング)機能がそれぞれ独立しているため、通常のフロントフォークよりも外乱に強く、高い安定性と正確なハンドリングを実現する。
乗りこなすには慣れや理解が必要だが、走行中にキャスター&トレールが変化しないメリットは大きく、冷却効率の向上にも貢献している。通常のフロントフォーク部に相当するカーボンアームはホイールキャリア。


リアサスペンションはパラレルダブルプッシュロッド式。スイングアームから伸びる2本のロッドが上下2枚の三角形のリンクプレートを押し、これがショックユニットを押し引きする。4輪のフォーミュラカーにも採用されているこの設計は、車体のシンプル化はもちろん、Vツインエンジン後方バンクのチャンバーのストレート化にも貢献している。試乗車のショックユニットはMUPO製。

249.5cc の90度Vツイン2ストロークエンジンは単体重量はわずか28kg。逆回転クランクを採用し、燃料やオイル噴射は電子制御。プロトタイプでは鼓型の排気デバイスを搭載しているが、市販車ではホンダのRCバルブに近い形状に変更され、ピストンがコスワース製、オイルポンプもデロルト製からミクニ製に変更となる予定。最高出力は83HP(試乗車は公道仕様で75HP)となる。ミッションはカセット式の6速を採用。

エキゾーストは前後それぞれのシリンダーから独立して伸びており、リアショックユニットを横置きとすることでレイアウトの自由度を高め、排気のストレート化を実現している。プロトタイプのチャンバーはスチール製だが、市販車ではステンレス製に変更される予定。

ブレーキはΦ300mm径のダブルディスクにラジアルマウントキャリパーの組み合わせ。キャリパーはスペインのJ.JUAN(ホタホアン)製が装着されているが、市販型ではブレンボ製に変更される予定。イタリアで登録されたプロト車両を持ち込んだため、現状ABSは装備されていないが、市販版では簡易型のABSを装着して販売される。

スイングアームは車体同様ドライカーボン製。前後ホイールはBST製のカーボンリムだが、センターハブはヴィンスで内製したものを使用する。ドライブチェーンはDID製で、フリクションの低減にこだわって、Moto3タイプのERZ415という、細身のものを使用する。装着タイヤはミシュランのPOWER CUP EVO。
VINS「DUECINQUANTA」主なスペック・価格
| ホイールベース | 1380mm |
| 車両重量 | 112kg(ガソリン抜き) |
| エンジン形式 | 水冷2ストケースリードバルブV型2気筒 |
| 総排気量 | 249.5cc |
| ボア×ストローク | 54×54.5mm |
| 圧縮比 | 13.5 |
| 最高出力 | 83HP(公道仕様は75HP)/11700rpm |
| 燃料タンク容量 | 10L |
| 変速機形式 | 6速リターン |
| ブレーキ形式(前・後) | Φ300mmダブルディスク・Φ220mmシングルディスク |
| タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17 M/C(58W)・150/60ZR17 M/C(66W) |
| 乗車定員 | 1名 |
| メーカー希望小売価格 | 990万円(2022年発表時の予価、為替相場により変動) |
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