ヴィンス「ドゥエチンクアンタ」とは?
新開発2ストVツインエンジンを搭載、EURO5対応、日本でも購入可能!
「ドゥエチンクアンタ」を作り上げたのは、フェラーリでフォーミュラの開発に携わっていたV・マッティアと同僚のN・トレンターニらによって、2017年にイタリアはマラネロで設立されたヴィンス社。ロードレース世界GPの250ccクラスが終焉した2009年までトップを争っていた、アプリリア最後の2スト・レーシングエンジン「Rotax258」を徹底的に研究し、同爆90度2軸Vツインというレイアウトを採用する独自の水冷2ストエンジンを開発。
クランスケース、シリンダー、6速カセット式ミッションもヴィンスのオリジナルで、優れた剛性と高い精度を誇る。ボア54mm×ストローク54.5mmで排気量は249.5cc、パワーバルブ方式の排気デバイスも装備し、燃料供給はオリジナルのFIシステムで制御。その結果、最新の環境規制であるEURO5もクリアしながら最高出力75HPを発揮、公道をストレスなく走れ、スポーツライディングを楽しむこともできるように仕上げられた。
単体重量28kgというこのエンジンを、フルカーボン・モノコック構造の車体に搭載。ダブルウィッシュボーン構造のフロントフォーク、スイングアーム、前後ホイールまで軽量で高精度なカーボン製。カウルなどのエアロダイナミクスも徹底的に研究、前面投影面積も極めて小さく抑えられている。
ダミータンク内にラジエーターを配する独特のレイアウトで、十分な吸気と冷却が行える構造も採用。車重は公道向けの「ストラーダ」では105kg、レース仕様の「コンペティツィオーネ」は102kgという軽量さだ。
すでにヴィンスはこの「ドゥエチンクアンタ」の生産とデリバリーを開始している。ただしあらかじめ予約が必要であり、また近年の資材の入手難などもあって車体の製造にも時間を要するため、オーダーから90日程度で完成というスケジュールとなっている。
日本での販売はモータリストが担当、ヴィンスとの連携で直接購入する以上のアフターサービスとサポートを提供するという。日本での税込価格は公道仕様の「ドゥエチンクアンタ・ストラーダ」が990万円、レース仕様の「ドゥエチンクアンタ・コンペティツィオーネ」が750万円。
ランゲン「ツーストローク」とは?
ヴィンス製エンジンを搭載したストリート・カフェレーサー
一方、イギリスに本拠地を置き、マクラーレンなどのスーパースポーツカー開発にも関わるなど高い技術力を持つランゲン・テクノロジーが開発した、その名もずばり「ツーストローク」。実はこちらも前述のヴィンスと深いかかわりのあるモデル。
ヴィンスとの綿密な連携のもと開発されていて、独自の車体にヴィンス製の250cc2スト水冷Vツインを搭載。ストリートモデルとしての開発はヴィンスよりも先行していて、多くの名車やレーシングマシンが走行して世界的にも注目されるイベント、2022年6月末に開催されたグッドウッド・フェスティバルにも姿を現している。
ヴィンスの開発した最先端のスーパースポーツである「ドゥエチンクアンタ」に対して、ランゲンの「レジェンドツーストローク」はクラシカルなディテールも盛り込んだ個性的なスタイルのネイキッド。
美しく仕上げられたアルミ製パイプフレームにオーリンズの正立フロントフォーク、カンチレバー・スタイルのツインショック・リアサスなど、車体に関してはオーソドックスな構成。アルミフレームは驚くほど軽量で、燃料タンクなどボディワークにもカーボンを多用して軽量化、公道走行可能な状態での車両重量は120kg。ヴィンス製の2ストツインによって、俊敏な走りを可能とする。
ランゲンの「レジェンドツーストローク」も、日本での販売はモータリストが担当。生産はヴィンスによるエンジンの生産能力にも左右されるが、こちらもオーダーから90日程度での完成を目標として予約を受け付け中、2022年度中には日本に上陸する予定となっている。この「レジェンドツーストローク」の税込価格は800万円だ。
まとめ:小松信夫