レースファンならずともMotoGPで大活躍する小椋藍から目が離せない! その小椋藍がMoto3時代の2017年から着用するのがクシタニのレーシングスーツ。余すことなく実力を発揮するために必要な高い運動性とプロテクションは、いかにして生み出されるのか?

文:伊藤康司/写真:長谷川徹
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小椋藍と共に世界を目指すクシタニ

ロードレース最高峰のMotoGP。小椋藍選手は2026年シーズンの折り返しでランキング2位につける快進撃!

その小椋藍が着用するのがクシタニのレーシングスーツだ。CEVレプソルMoto3ジュニア選手権に参戦開始した2017年からサポートが始まって以来、彼はクシタニのみを着用し「一緒に最高峰クラスに行けたら」を有言実行したのだ。

「小椋選手はあまり細かい要求をしないんですよ。与えられたモノで最大限の結果を出すのが彼のスタイルですね」と語るのは、クシタニがサポートをはじめた時から担当するレーシングサービスのスタッフだ。

「Moto3の頃は10代の成長期でもあり、割とゆったり目に作っていました。それを徐々にタイトにして行き、Moto2の時にガッチリ詰めたら“ちょっとキツい”って。そこからはフィット感を重視していますが、サイズ的にはほぼ変わっていない。筋トレは一切せず、とにかくバイクに乗ることで必要な筋力をつけているそうです」

要求が少なくても、ウエアメーカーのクシタニとしてレーシングスーツの進化は必須。そのための提案は行ったのだろうか?

「たとえばMotoGPのレーシングスーツでは、現在はカンガルー革が増えています、とにかく軽いので。そこで当社もカンガルー革で作ったスーツをテストしてもらいましたが、彼は“こっちで行きます”と、当社の牛革のプロトコアレザーを選びました。軽さだけでなく柔らかさや運動性で選んだのだと思います」

ちなみにクシタニが独自に開発したプロトコアレザーは、市販のレーシングスーツも小椋藍のスーツも同一品。トラックハウスやガルフなどの専用カラーへの染色だけが、市販スーツと異なるという。

「色々試してもらいたいこともありますが“着用して違和感を抱かない”ことがもっとも重要。とくにMotoGPだと、マシンのパーツなどテストするべきものが沢山あり、ライダーはその変化を見極めなければなりません。そのためにレーシングスーツはつねに同じフィーリングで着られることが重要です」

とはいえMotoGPクラスはエアバッグの装着義務があり、変化も要求される。エアバッグの厚さや硬さ、膨張した際の革や裏地の伸び代などの対応はもちろん、ライディングウエアとして運動性の高さも外せない。

「エアバッグも含めて、転倒してしまった時のプロテクションはもちろん大切です。しかし、転びそうになった時の危険回避には動きやすさが重要で、それがクシタニが考えるアクティブセーフティです。もちろんレースでより良いタイムを出すにも運動性の高さは必要ですよね。極端に言えば、運動性だけならインナースーツで走るのが一番かも(笑)。でもそんなわけにはいかないし、プロテクションとのバランスが一番難しい部分ともいえますね」

――違和感を抱かせず、かつ運動性とプロテクションの両面で進化を重ねる小椋藍のレーシングスーツ。そこで得た知見と技術は余さず市販レーシングスーツに投入される。それが最新の「NEXUS3」であり、使用する革から裁断パターンや縫製の強度まで、なんら小椋藍のレーシングスーツと変わるところは無い。これこそがクシタニの信条とクオリティなのだ。

画像: レーシングスーツの製作は本来は “分業”だが、小椋藍のスーツはMotoGP昇格以降は一人のベテラン職人が革の裁断から縫製まですべてを行っている。MotoGPはデザイン変更や着数が多いため製作時間の短さへの対応と、なにより“着用感を均一化”するのが最大の目的。品質や製法は一般製品と基本的に同じだが、作り手による着用感のわずかな違いを無くして、走りに集中するための配慮だ。

レーシングスーツの製作は本来は “分業”だが、小椋藍のスーツはMotoGP昇格以降は一人のベテラン職人が革の裁断から縫製まですべてを行っている。MotoGPはデザイン変更や着数が多いため製作時間の短さへの対応と、なにより“着用感を均一化”するのが最大の目的。品質や製法は一般製品と基本的に同じだが、作り手による着用感のわずかな違いを無くして、走りに集中するための配慮だ。

クシタニのレーシングスーツができるまで

世界一の革を使う!

部位による適性を見抜く

職人技を極めた縫製

細部に魂が宿る『ネーム入れ』

小椋藍選手・2026年シーズンのレーシングスーツ

腕や上半身の可動域や運動性を高めるクシタニ独自のシャーリングとパターンを採用。背中のハンプも基本的に市販モデルと同形状だ。ネーム類はMotoGPで主流のプリント仕様。転倒時の引っ掛かりなども考慮して肩のパターンを変更し、市販のネクサス3に反映。現在はアルパインスターズのエアバッグシステムを装備するため、膨張時を前提に設計している。レーシングサービスのスタッフは、臀部のシワを見ればフィット感を判断できるという。

【動画】小椋藍選手に訊く、トップライダーと装備のリアルな関係|KUSHITANI RIDERS VOICE

画像: 小椋藍選手に訊く、トップライダーと装備のリアルな関係|KUSHITANI RIDERS VOICE www.youtube.com

小椋藍選手に訊く、トップライダーと装備のリアルな関係|KUSHITANI RIDERS VOICE

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