2018年の初代登場から、カワサキを代表するモデルのひとつとして君臨し続けるZ900RSシリーズ。時代を超えて愛される優美なフォルムに、熟練のライダーをも唸らせるパフォーマンス。2026年モデルで大規模なモデルチェンジを果たしたが、魅力の本質は変わっていないと言う。ここで開発メンバーのお話を聞いてみよう。

写真:松川 忍、南 孝幸 まとめ:松本正雅
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Z900RSシリーズ開発陣

画像: 猪野 精一氏(デザイン担当)(左) カワサキモータース株式会社 事業戦略本部 デザイン部 CMF課 松本 孝史氏(エンジン担当)(中) カワサキモータース株式会社 パワートレイン開発総括部 GPE開発部第一課 高田 裕人氏(電子制御担当)(右) カワサキモータース株式会社 技術管理総括部 電子制御部第一課

猪野 精一氏(デザイン担当)(左)
カワサキモータース株式会社 事業戦略本部 デザイン部 CMF課

松本 孝史氏(エンジン担当)(中)
カワサキモータース株式会社 パワートレイン開発総括部 GPE開発部第一課

高田 裕人氏(電子制御担当)(右)
カワサキモータース株式会社 技術管理総括部 電子制御部第一課

カワサキ「Z900RS」開発者インタビュー

最も大切にしたのはモデル全体の完成度

2026年モデルで大きなモデルチェンジを迎えたZ900RSシリーズだが、多くの機種がスタイリングを変えていく中で、Z900RSは「タイムレス」というキーワードを掲げ、初代から一貫したスタイリングを守り続けている。

「Z900RSは、Z1(900 Super4)に由来するスタイリングそのものが価値の核であると考えており、それを損なわないことを重視しました。大きな外観変更ではなく、走行性能や電子制御といった内部の進化によってモデル全体の完成度を高めることを今回の開発方針としています。時代に合わせた機能向上を図りながらも、長く支持されるデザインを継承することが、Z900RSらしさの維持・深化につながると考えています」(猪野さん)

今回大きく変わったのは主にエンジン。前モデルより5PSのアップを果たしたが、開発陣はパワーの数値よりもスムーズで気持ちのいいフィーリングを重視したと言う。

画像1: カワサキ「Z900RS」開発者インタビュー|時代に合わせて〝深化〟するZらしさの集大成【Z900RS進伝】

ETV(電子制御スロットル)を採用、カムプロフィールや吸気ファンネルの長さも変更。ダイレクトな操作フィールはそのままに、扱いやすさを格段に向上させた。

「同じエンジンのZ900が先にモデルチェンジしましたが、非常に完成度の高い内容でした。Z900RSの開発でも色々試したのですが、結果的にZ900での変更点を盛り込んで進化させる方法がベスト、という結論にたどり着きました。ETV(電子制御スロットル)の採用でよりスムーズな特性になっていて、乗ればそのメリットを感じていただけると思います」(松本さん)

「従来型はスロットルの開け初めのエンジンフィーリングの元気が良すぎるという声もありましたが、新型はとてもマイルドになっています。」(松本さん) それでいて、「スロットルを開けた分パワーをリニアに得られる、ライダーの感覚とのズレが少ないフィーリングも実現しています」(高田さん)

また、新型はクイックシフターのKQSの精度が高まり、クルーズコントロールの新採用もあって、スポーツライディングの楽しさだけではなく、ツーリング時での快適性も高められている。

「KQSは1500回転から作動するので、幅広いシチュエーションで使うことができます。また、シフトチェンジの際の〝ガチャン〟という感覚が少なくなっています。クルーズコントロールはお客様の要望が強かった装備のひとつで、開発当初から入れると決めていました」(松本さん) 

Z900RSの魅力のひとつである、美しいフィニッシュのエキゾーストも、サイレンサー部分が7cm長くなり、エキパイのレイアウトも大きく変わっている。

「将来的な規制に対応することも視野に入れ、サイレンサーは少し長くしています。エンジンの後ろにあるサブチャンバーは規制対応のためコンパクトになっていますので、消音やサウントチューニングには非常に苦労しました。サイレンサー内部のグラスウールの密度や充填方法を見直しながら、パンチングパイプの穴の大きさや配列を工夫したり、サブチャンバー内部のパイプにバイパス穴を設けたりして対応したのですが、少しずつ寸法を変えながらトライを重ねていったため、手間がかかっています」(松本さん)

画像2: カワサキ「Z900RS」開発者インタビュー|時代に合わせて〝深化〟するZらしさの集大成【Z900RS進伝】

7cm長くなったサイレンサーは、内部のパンチングパイプの穴の大きさと配列を変更。更にサブチャンバー内部のパイプにバイパス穴を設けて消音効果を高めつつ、従来よりもやや低音の効いた、重みのあるサウンドに仕上げている。

エンジンフィールの“そのまま”を楽しむ

新型にはIMU(慣性計測装置)も搭載され、スロットルは電子制御に進化した。となれば、ライディングモードが採用されても不思議はないのだが、開発陣はそのあたりをどう考えていたのだろうか。

「もともとのエンジン特性が幅広い用途に対応できる仕上がりだということもあって、ライディングモードの採用よりも、むしろ、Z900RSのエンジンフィールをそのまま味わい、楽しんでいただきたい。そういう想いで仕上げています」(松本さん)

Z1という、カワサキの歴史的名車のレガシーを受け継いだモデルであるZ900RS。ファイヤーボールカラーとブラックというカラーラインアップにも、カワサキのこだわりと自信があふれている。

「Z1のイメージで作られた車ですので、やっぱり一番似合うのはファイヤーボールだと思います。ブラックボールカラーは、ユーザー調査でブラックの評価が高かったこともあって採用しています。ただ黒くするのではなく、メタリックブラックのグラフィックを採用することで、光が当たるとグラフィックが浮かびあがる“ステルス性”のあるカラーとしました」(猪野さん)

ライディングポジションもやや前傾したものへと見直され、自然な操作感を追求、扱いやすさを一層高めた新型Z900RSは、日本のライダーを大事にした、着実な〝深化〟を果たしている。

「Z900RSは、日本をメインに8年も販売しているモデルですし、Z1をオマージュした、我々にとっても大事なモデルです。シートも足つき性の良さを確保しつつ、コンフォート性能を高めていますし、ライディングポジションも車体との一体感を高めたものとなっています。ぜひ楽しんで下さい」(松本さん)

画像3: カワサキ「Z900RS」開発者インタビュー|時代に合わせて〝深化〟するZらしさの集大成【Z900RS進伝】

初代Z1に由来するファイヤーボールカラーはカワサキにとっても大切なカラーリング。時代を超え、世代を超え、数多くのファンを虜にしてきた、不変の魅力を備えている。

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