文:太田安治 写真:南 孝幸、松川 忍 撮影協力:東京ドイツ村
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カワサキ「Z900RS Black Ball Edition」「Z900RS CAFE」インプレ(太田安治)

KAWASAKI
Z900RS CAFE(左)
2026年モデル
価格:154万円
発売:2026年2月14日
KAWASAKI
Z900RS Black Ball Edition(右)
2026年モデル
価格:152万9000円
発売:2026年2月14日
大きな進化の威力を感じさせる乗り味!
インプレ記事に「見れば判る」ルックスについてはスペースを割かないようにしているのだが、Z900RSの『ブラックボールエディション』に関しては書かないわけにはいかない。単に外装パーツを黒で統一しているのではなく、光の当たり方や見る角度でオートバイが発する雰囲気が大きく変わるからだ。ショールームの照明下だけで判断せず、ぜひ太陽の下で車両のまわりを一周し、特にタンクグラフィック部分の色合いと立体感の変化を見てほしい。

それにしても思い切ったものだ。メーターやヘッドライトのリム、ハンドルバーと左右のレバー、果てはドライブチェーンまでブラックアウト。デザイナーの妥協を許さない姿勢が見て取れる。どうせならステンレス製のエキゾーストも酸化皮膜処理で黒く…とも思うが、おそらくデザイン段階では検討されたはず。ステンレスの素材色を活かしたのはコントラストを出すための判断だろう。

対して「カフェ」は小ぶりなカウリングと、低て幅広のハンドル、とシングル風のシートが目を惹く。上体の前傾度が強まることで前輪荷重が増えるから、ハンドリングはスタンダードよりも重厚だ。ベテランライダーなら「スワロー」と呼ばれるハンドルを装着した70年代カフェレーサーの操縦感を思い出すはず。同じく70年代に同社のマッハシリーズが採用していた「レインボーライン」をあしらったタンクグラフィックと合わせ、レトロ感が上品に演出されている。

新型Z900RSシリーズは電子制御スロットルを採用し、一部で指摘されていたスロットル開け始めの唐突な反応が消えた。特に低いギアでの加減速がスムーズになったが、反応を鈍くしたのではなく、回転域に見合ったレスポンスを得ている。最高出力は前モデルより5PSアップしているが、サーキットランでも「言われてみれば…」という程度。それよりもパワーの出方にメリハリが付き、味わいが濃くなったことのほうが印象に残った。

電子制御スロットル・ETVの採用に加え、最新のIMU(慣性計測装置)を搭載したことで各種電子制御系のレベルは飛躍的といっていいほど高められた。特にコーナリング対応のABSと、制御が緻密になったトラクションコントロールはライダーの安心感、安全性に直結するだけに嬉しい進化だ。
加減速もスムーズに行え、クラッチ操作を減らせるクイックシフターは1500回転から作動するようになり、クルーズコントロールも新たに装備されてライダーの疲労低減も果たしている。

Z900RSは大型クラスでベストセラーになっているモデルだけに「レトロスポーツ」という開発コンセプトにブレはない。外装形状や車体の基本構成は踏襲しているが、実際に見ても乗っても大きな進化を遂げていることが判る。
オーリンズのリアサスとブレンボのキャリパーなどを装備する『SE』とは約30万円の価格差があるので、その差額を自分流のカスタマイズに回して楽しむのもアリだと思う。
カワサキ「Z900RS Black Ball Edition」「Z900RS CAFE」ライディングポジション・足つき性
Black Ball Edition
シート高:810mm
ライダーの身長・体重:176cm・63kg


ハンドルバーは前モデルより低く、短くなり、グリップ部分の垂れ角、絞り角を大きくしたことでライダーとの一体感が増して手首の負担も減った。シート高の数値は従来型より10mm増えているが、実際の足つき性は変わっていない。
CAFE
シート高:820mm
ライダーの身長・体重:176cm・63kg


ブラックボールやSEと比べるとハンドル位置が低いが、スーパースポーツのような深い前傾にはならず、長時間ライディングも苦にならない。ビキニカウルとシングル風シートは70年代カフェレーサーの定番スタイルだ。
