AMAスーパーバイクやTT-F1で磨き上げたヨシムラの技術を、公道走行可能な一台へと昇華した「TORNADO 1200 BONNEVILLE」。1987年にわずか3台のみ製作されたこのコンプリートマシンは、今なおヨシムラ史を語る上で欠かせない伝説のモデルとして輝きを放っている。

文:迫田秀正 写真:平野輝幸
▶▶▶写真はこちら|ヨシムラ「TORNADO 1200 BONNEVILLE」

ヨシムラ「TORNADO 1200 BONNEVILLE」解説

画像: YOSHIMURA TORNADO 1200 BONNEVILLE

YOSHIMURA
TORNADO 1200 BONNEVILLE

ヨシムラ・トルネード1200ボンネビルは、TTF-1/TTF-3に向けられたトルネード思想を、油冷GSX-R750と最も近い構成で排気量が大きく自由度の高い初期型のGSX-R1100に投影して完成された。

ボンネビルという名は、アメリカ・ユタ州のソルトレイク(塩湖)で行われる最高速記録会、ボンネビル・スピードトライアルにちなんだもの。1973年にヨシムラZ1が参戦して記録した267km/hの記録が以後5年間破られなかったこと。そこからZ1用ボンネビル・カムが作られたこともあって、ヨシムラ=最速のイメージを投影する名前となった。

開発・テスト用車両でもあった1号車はそれらしく何度か仕様やカラーリングを変えた後に販売された。同じくテストに使われた2号車、そして3号車の都合3台がコンプリート車両として作られ、それらはオーナーの手に渡った後も、定期的なメンテナンスを受けて、その能力を維持していた。

ここに紹介するのは2号機の、生産後約10年の姿で、各部の手入れも行き届き、時代に応じたアップデートや経年対策もされ、きっちり性能を発揮する点に注目しておきたい。

なお、トルネードF1と同様にボンネビル・キットパーツも市販され、それらを組んだ車両(こちらを“ボンネビル2”と呼ぶことも)も多く見られた。

今ならば車両や手法にもっと多くの選択肢も……と考える向きもあるだろう。しかし、当時の最高峰レースの最前線でヨシムラがチューニングし、過渡特性や熱対策などの起こりうる、あるいは実戦で起こってきた問題を解決し、それを車体側にも施してきたトルネード・ボンネビル。

その手法やパーツ群は、今の油冷チューニングにもそのまま使えるほどだ。何より、30数年も前に既にハイバランスの認可車両となっていた点にも、敬意を表したい。コンプリート車の先駆けとしても燦然と輝く1台なのだ。

ヨシムラ「TORNADO 1200 BONNEVILLE」各部解説

画像1: ヨシムラ「TORNADO 1200 BONNEVILLE」各部解説
画像2: ヨシムラ「TORNADO 1200 BONNEVILLE」各部解説

画像3: ヨシムラ「TORNADO 1200 BONNEVILLE」各部解説

メーターはGSX-R1100ノーマル。左右マスターシリンダーはこの2号機を改めて撮影した1997年時点でブレンボ・ラジアルとなっていた。セパレートのハンドルバーはステンレス製。ウイングタイプのアッパー/アンダーブラケットはボンネビル専用品。

画像4: ヨシムラ「TORNADO 1200 BONNEVILLE」各部解説
画像5: ヨシムラ「TORNADO 1200 BONNEVILLE」各部解説

フレームはGSX-R1100前期型のノーマルで、左前方にシリアルプレートが打ち込まれる。

画像6: ヨシムラ「TORNADO 1200 BONNEVILLE」各部解説

この2号機ではシリアルナンバー「0002」(下写真)が打刻される。カウルやシートカウルなど外装はトルネードシリーズ共通のデザイン。

シリアルプレートには「ヨシムラ」のロゴとBonnevilleの名を大きく、その下に「YOSHIMURA TORNADO 1200 Bonneville」の車名、さらに4桁のシリアルナンバー(製造番号)が打刻される。ボンネビル製作にはアメリカのヨシムラR&Dも関わっていた。車両価格は当時で500万円超だった。


画像7: ヨシムラ「TORNADO 1200 BONNEVILLE」各部解説

エンジンはΦ76×58mmの1052ccをベースにΦ78×58mmの1108ccへ拡大、キャリロコンロッド、ヨシムラST-2ハイカムを組み、ポーティング等、こちらにもヨシムラノウハウをフル投入している。

画像8: ヨシムラ「TORNADO 1200 BONNEVILLE」各部解説

上入れ/上出しのM&Sラウンドオイルクーラー(1号車はコアを前後に重ねたツインコア)などヨシムラのチューニングノウハウをフル投入。

画像9: ヨシムラ「TORNADO 1200 BONNEVILLE」各部解説

キャブレターは撮影時点でヨシムラTMR-MJNΦ40mm(ボディ側にベアリングを配置、ヨシムラMJNを組む)。当初はマグボディのTMΦ40mmのスロットルバルブにベアリングを8個配置するなどしていた。


画像10: ヨシムラ「TORNADO 1200 BONNEVILLE」各部解説

フロントフォークはヨシムラショーワΦ41mmで、肉厚等がノーマルと異なり剛性は50%アップした。アクスルシャフトはΦ17mm。ブレーキキャリパーはヨシムラニッシン4ピストン、ディスクはノーマルΦ310mm(キットは同径鋳鉄)。

画像11: ヨシムラ「TORNADO 1200 BONNEVILLE」各部解説

スイングアームもノーマル。リヤショックは当初はマグボディのヨシムラショーワ製、ここではクアンタムに換装している。ホイールはマルケジーニで3.50-17/5.50-17サイズ。マフラーはサブサイレンサー付きデュプレクスサイクロンを装着する。

おすすめ関連記事

This article is a sponsored article by
''.