鈴鹿8時間耐久の第1回、そして第3回の鈴鹿8時間耐久で堂々と勝ってその力を示したヨシムラ。しかし、それ以後は、常に上位を走り続けたものの勝利の女神は彼らに試練を与え続けた。だが、女神はついに微笑んだ。

文:佐藤康郎
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ヨシムラ「GSX-R1000」(2007)解説

画像: YOSHIMURA GSX-R1000 2007年

YOSHIMURA
GSX-R1000
2007年

JSB規定下ながらヨシムラとスズキの情熱が宿った#34車

2007年7月29日に行われたコカコーラゼロ鈴鹿8時間耐久ロードレースに、加藤陽平監督の下、加賀山就臣と秋吉耕佑が乗って、1周5.821kmの鈴鹿サーキットを216周し、2位にほぼ1周の差をつけて完勝したヨシムラ・スズキGSX-R1000を、じっくりと見ていただく。

マシンのベースとされたのは2007年型のK7である。開発は車両のリリースと前後してスタート、4月1日の全日本選手権第1戦(もてぎ)のJSB1000クラスで早くも勝っているので、仕上がりは順調に見えたかもしれない。

しかし、K7で新しくなったリヤサスペンションのセッティングにヨシムラは悩んでいた。

ポテンシャルの高まった新エンジンが生む190PS以上のパワーを、その時点での車体が受け止められなかったのだ。第1戦の勝利は、レース前夜に加藤監督が、あえて出力の落ちるエグゾーストシステムへの交換を決意したことによって、エンジンと車体のバランスが好転した結果、からくも得たものだったのである。

無論、その後この問題は解決され、さらに8耐へ向けての開発が進められた。最大の課題は燃費だった。24Lの燃料タンクで1周5.821kmの鈴鹿を28周(8時間のレース中7回ピットイン)するためには、6.8km/L以上が必要とされる。

しかも、レース中に2分09秒台をマークできるパワーを保ち、14000rpmのレブリミットも下げることなしにである。

結局、ヨシムラはこれらをすべてクリアし、27年ぶりに8耐のチェッカーフラッグを最初に受けたのだった。

ヨシムラ「GSX-R1000」(2007)各部詳細解説

画像1: ヨシムラ「GSX-R1000」(2007)各部詳細解説

本車両の実測データは乾燥重量(ガソリンなし・オイルなし)で前輪重量95.0kg、後輪重量78.5kg、総重量173.5kg。キャスター角度/軸距=23.0°/144cm


画像1: ヨシムラ「GSX-R1000」(2007)|27年振りに鈴鹿8時間耐久を制したヨシムラ・スズキGSX-R1000耐久仕様【ヨシムラ伝】
画像2: ヨシムラ「GSX-R1000」(2007)|27年振りに鈴鹿8時間耐久を制したヨシムラ・スズキGSX-R1000耐久仕様【ヨシムラ伝】

撮影したマシンは、レース直後にショーワの前後ショックユニットを作動確認試験のために外し、同じワークスパーツながら別のものを装着した以外、掃除すらせずに編集部に持ち込まれた。よく見ると、スクリーンが割れ、ステーが曲がっているためにカウルが左右対称でないのがわかろう。これは秋吉選手がシケインの立ち上がりでハイサイドした名残だ。

画像2: ヨシムラ「GSX-R1000」(2007)各部詳細解説

上下の写真のほうがダメージ部分がよく見える。カウルはクレバーウルフ製のヨシムラキット(耐久用もある)だが、カットラインは市販品と異なる。ヘッドライトはPIAA。鈴鹿の西コースは暗いので、本当に明るいものでないと使えないとのことである。

画像3: ヨシムラ「GSX-R1000」(2007)各部詳細解説

画像4: ヨシムラ「GSX-R1000」(2007)各部詳細解説

メーターはイタリアのAim製。データロガー(予選までは装着するがレースでは外す)にも対応する多機能メーターだが、レース時に#34が使ったのは、回転計/13600rpmで点灯するシフトインジケーター/ラップタイマー/ギヤポジション(#12は水温と油温も表示)。これらはライダーの好みによる。


画像5: ヨシムラ「GSX-R1000」(2007)各部詳細解説

トップブリッジはマグネシウム製でオフセットの寸法を変えられる。アンダーブラケットはアルミである。フォークピッチは、スプリントの207mmに対し、タイヤのクイックリリース機構のため220mmと広い。


画像6: ヨシムラ「GSX-R1000」(2007)各部詳細解説

ハンドルバーはヨシムラ製。スイッチには、マップ(燃調、点火時期変更用)、ピット(ピットレーンでの最高速保持)、スタート(セルスイッチ)などの文字が張られる。黄色いパッシングスイッチ(上写真)にモードと書かれるのは、レースキットのコンピュータが持つ、エンジン特性を3種から選ぶために用いるため。これは出力の増減より、タイヤの消耗に応じたレスポンス変化を得るためだ。

画像7: ヨシムラ「GSX-R1000」(2007)各部詳細解説

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