1977年に始まった「月刊オートバイ」恒例企画の「ジャパン・バイク・オブ・ザ・イヤー」。排気量別にその年の人気車を選び続けてきた歴史を振り返りながら、1978~1999年の名車たちをご紹介していこう。まずはナナハンクラス。TT-F1全盛期、鈴鹿8耐の栄光はそのまま市販車への憧れへと直結、メーカーの威信を背負ったホモロゲーションモデルは、サーキットの熱をそのまま公道へと持ち込んだ存在だった。
まとめ:オートバイ編集部
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羨望のナナハン・レプリカ(1985-1989年)解説

当時の潮流
▶国内最高峰のナナハン・レプリカ
▶鈴鹿8耐の栄光に乗る
▶後に1000ccピュアスポーツへと発展

画像: SUZUKI GSX-R750 1985年 当時価格:78万円

SUZUKI
GSX-R750
1985年

当時価格:78万円

レーサーレプリカ元年を告げた油冷ナナハン革命機

油冷直4「SACS」とアルミダブルクレードルフレーム「MR-ALBOX」で驚異的な179kgを実現した、ナナハンスーパースポーツの革命児。 世界耐久で培ったレーサー技術を公道車に落とし込んだ初の本格レーサーレプリカで、「クラス最強・最軽量」を掲げてデビューし、77PSの油冷DOHC4バルブとE-フルフローターモノショック、フルカウル装備で世界中のサーキットとストリートを席巻した。

月刊オートバイ主催「ジャパン・バイク・オブ・ザ・イヤー」の401cc以上クラスで1985年~1988年を4連覇した。

画像1: 羨望のナナハン・レプリカ(1985-1989年)【BOTY・青春バイク・カルチャー伝】

主なスペック
●エンジン形式:油冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒●排気量:749cc
●最高出力:77PS/9500rpm●最大トルク:6.4kgf・m/8000rpm●車両重量:179kg(乾燥)
●燃料タンク容量:19L●変速機形式:6速リターン●タイヤサイズ前・後:110/80-18・140/70-18

TT-F1が生んだレーサーレプリカの頂点

1980年代半ばから後半にかけて、日本のモーターサイクルシーンはかつてない熱狂に包まれていた。その中心にあったのが、鈴鹿8時間耐久ロードレースを頂点とするTT-F1カテゴリーである。

市販車をベースにしながらも極限までチューニングされたマシンが激しく競い合うこの舞台は、メーカーの技術力と威信をかけた戦場であると、同時にファンにとっては〝手の届くレーサー〟への憧れをかき立てる存在だった。

この時代、各メーカーはレースで勝つためのホモロゲーションモデルを相次いで投入する。1985年に登場したスズキGSX-R750は、その象徴的存在だ。

軽量アルミフレームと油冷エンジンという革新を携え、「レースそのもの」と言えるパッケージで市場に衝撃を与えた。続くカワサキZXR750は、1989年モデルで一気に戦闘力を高め、ラムエアを想起させるダクトや専用装備でファクトリーマシンの雰囲気を色濃く反映する。

一方、ホンダVFR750R(RC30)は、まさに別格の存在だった。耐久レースでの勝利を至上命題に開発されたこのモデルは、ギア駆動カムや片持ちスイングアームなど、量産車の枠を超えた装備を惜しみなく投入。価格さえも〝レーサー並み〟でありながら、その完成度の高さは多くのライダーに究極の憧れとして刻まれた。

そしてヤマハFZR750R(OW-01)は、こちらも徹底したレース指向で設計され、チタンコンロッドや専用パーツを盛り込んだ究極のホモロゲーションモデルとして登場する。

これらのマシンがもてはやされた背景には、日本経済の好景気とモータースポーツ人気の高まりがあった。メーカーはレース活動に潤沢な資金を投じ、その成果を市販車にフィードバックすることでブランド価値を高めていく。

ユーザー側もまた、「8耐マシンに最も近いバイクに乗る」という明確な夢を共有していた。単なる移動手段ではなく、レースの興奮と直結するプロダクトとして、レーサーレプリカは特別な意味を持っていたのである。

TT-F1という舞台が生んだこれらの名車は、単なる高性能モデルではない。サーキットの熱気、ナイトランで輝くヘッドライト、そしてチェッカーを受ける瞬間の歓喜―そうした記憶の象徴として、今なお語り継がれている。レーサーレプリカとは、時代そのものの熱量を封じ込めた存在だったと言えるだろう。

カワサキ「ZXR750」(1989年)解説

画像: KAWASAKI ZXR750 1989年

KAWASAKI
ZXR750
1989年

カワサキ初の本格750レーサーレプリカ

ワークスマシンZXR-7直系として登場した、カワサキ初の本格750レーサーレプリカ。アルミツインスパーフレームに水冷DOHC4気筒748ccエンジンを搭載。アルミツインスパー+KIS-ARMスイングアーム、倒立フォーク、フルカウルにK-CAS(冷却用ダクト)を備えたスタイルは、ワールドスーパーバイクやTT-F1への参戦を強く意識した「ホモロゲーションモデル」として高い戦闘力を示した。

画像: レース志向のフルアナログ式で、速度計・タコメーターと警告灯群をコンパクトに集約したメーターユニット。

レース志向のフルアナログ式で、速度計・タコメーターと警告灯群をコンパクトに集約したメーターユニット。

画像: タンクにつながるホースで、エンジンヘッドに走行風を当てて冷やすための「K-CAS(Kawasaki Cool Air System)」を搭載。

タンクにつながるホースで、エンジンヘッドに走行風を当てて冷やすための「K-CAS(Kawasaki Cool Air System)」を搭載。

画像: 軽量クランク採用の高回転型エンジンと当時最先端のアルミE-BOXフレームに倒立フォークを組み合わせ、高速域での安定性と鋭いターンインを両立したスパルタンなスポーツ性能が魅力だった。

軽量クランク採用の高回転型エンジンと当時最先端のアルミE-BOXフレームに倒立フォークを組み合わせ、高速域での安定性と鋭いターンインを両立したスパルタンなスポーツ性能が魅力だった。

主なスペック
●エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒●排気量:748cc
●最高出力:77PS/9000rpm●最大トルク:6.7kgf・m/7500rpm●車両重量:205kg(乾燥)
●燃料タンク容量:18L●変速機形式:6速リターン●タイヤサイズ前・後:120/70ZR17・170/60R17

ホンダ「VFR750R(RC30)」、ヤマハ「FZR750R(OW-01)」解説

画像: HONDA VFR750R[RC30] 1987年 当時価格:148万円

HONDA
VFR750R[RC30]
1987年
当時価格:148万円

画像: YAMAHA FZR750R[OW-01] 1989年 当時価格:200万円

YAMAHA
FZR750R[OW-01]
1989年
当時価格:200万円

バブル最高潮に降臨した「公道に降りたワークスマシン」

RC30とOW-01は、1980年代後半の空前のバイクブーム&耐久レース隆盛、TT-F1〜スーパーバイク黎明期に「市販車でワークスを喰え」を合言葉に生まれたホモロゲーションモデルで、プライベーターでも鈴鹿8耐や世界耐久で戦える“レーサー直系”市販車として登場した象徴的存在だった。

横田和彦のMemories

油冷はウワサ通り軽かった!

ある日「引っ越すので不動のGSX-R750を持って行って欲しい」という連絡が入った。あればGSX1100S刀をカスタムするときの部品取りになるかな、くらいの軽い気持ちで引き取った。カウルはバキバキに割れてあちこちサビだらけ。

しばらく放置していたが、ふとデュアルライトと目があった。「…こいつカワイイな」。すぐに当時関わっていた雑誌の編集長にかけあい自宅レストア記をスタート。油冷エンジンを動かし、足まわりはGSF1200のパーツで17インチ化するなどカスタマイズ。乗ってみると確かに軽い。前傾ポジションも最高で、サーキット走行が超楽しかった!

羨望のナナハン・レプリカ(1985-1989年)写真

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