鋭い外観と走りのストリートファイター、現行カタナは3世代目にあたる。その元祖は言わずと知れた、スズキのシンボルのひとつであるGSX1100Sカタナ。40年以上前に衝撃デビューを飾った伝説のマシンは、今なお輝きを放ち続けている。
まとめ:オートバイ編集部
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スズキ「KATANA」のルーツは「GSX1100S KATANA」

画像: SUZUKI GSX1100S KATANA(左) 1982年 ※写真は1990年型 SUZUKI KATANA(右) 2026年

SUZUKI
GSX1100S KATANA(左)
1982年 ※写真は1990年型

SUZUKI
KATANA(右)
2026年

新旧ともデザインモチーフは日本刀、見事に日本の魂を表現する

GSX1100S KATANA(1982)

「抜き身の日本刀」という斬新なモチーフを体現し、1981年秋のIFMAショー(ケルンショー)でデビューしたフラッグシップ。現代で言うネイキッドが当たり前の時代に鮮烈なスタイルを引っ提げ、世界に大きな衝撃を与えた。当代の日本車で最高の111PSを発生し、世界最速の230km/h超を記録。デザインも動力性能も一線級で大ヒットとなり、スズキを代表する1台となった。時代を経てもそのデザインは色褪せず、2000年のファイナルエディションまでロングセラーを誇った。


KATANA(2026)

2017年のミラノショーで、イタリアのバイク雑誌「モトチクリスモ」が企画し、イタリア人デザイナーのロドルフォ・フラスコーリ氏がデザインしたコンセプトバイク「カタナ3.0」が登場。スズキ本社が関与したプロジェクトではなかったが、世界中で大反響を呼び、これがスズキを動かした。そして2018年秋のインターモト(ケルンショー)で、カタナ3.0のフォルムを再現した市販車「KATANA」を発表。翌年から発売された。ヘッドライトカウルからタンクに繋がる鋭いエッジラインなど、そのスタイリングは随所に初代へのオマージュを散りばめたものだ。

新旧の走りには隔世の感がある

初代はセパハンと長いタンクで「攻めてる」感満点。エンジンはまったりしているが粘り強く、回せばパワフル。重厚感のあるハンドリングも特徴だ。一方の現行KATANAはGSX-R由来のエンジンを搭載。レスポンスが鋭く、アルミフレームや足まわりもSS並みのものを採用。その走りは実にスポーティだ。

スズキ「GSX1100S KATANA」(1982)「KATANA」(2026)解説

画像: SUZUKI GSX1100S KATANA 1982年

SUZUKI
GSX1100S KATANA
1982年

時代を超越した造形美は40年以上経っても鮮烈

鋭く尖ったアッパーカウルから鋭利なエッジが刻み込まれたタンク、刀の柄(つか)を連想させるシート。前代未聞の“日本刀〟を表現した初代カタナが姿を表したのは1980年9月のIFMAショー(ケルンショー)だった。世界中で「ケルンの衝撃」と呼ばれるほどの反響を巻き起こしたが、プロトタイプとしての展示だったため、観客やジャーナリストの多くは「未来像を示したコンセプト車で市販されるわけがない」と感じていた。

しかし、スズキはほぼ同じ姿で1981年秋からカタナを市販化。熱狂を持って世界中で迎えられた。

GSX1100Sは輸出モデルだったが、国内向けには750、GSX750S3=III型カタナ、250、400など幅広い派生モデルを展開。レーサーレプリカの台頭により1980年代中盤からカタナの人気は下降していくが、唯一無二のスタイルは根強く支持され、2000年まで続く長寿モデルとなった。

だが、カタナの伝説はそれだけでは終わらなかった。カタナを愛する者たちの熱意がスズキを動かし、19年ぶりに新世代「カタナ」が誕生。初代のデザインコンセプトを現代流に再解釈しつつ、日本刀のイメージを継承している。

GSX1100S KATANA(1982)解説

画像: 当時としては珍しいコンビメーターも初代の特徴。速度計とタコメーターは指針の起点が異なり、動きでも魅せる。速度の目盛りは240km/hまで刻む。

当時としては珍しいコンビメーターも初代の特徴。速度計とタコメーターは指針の起点が異なり、動きでも魅せる。速度の目盛りは240km/hまで刻む。

画像: 優美なデザインのスチールタンク。タンクキャップはオフセットされ、キーで取り外しして給油する。巨大なチョークダイヤルも特徴のひとつ。

優美なデザインのスチールタンク。タンクキャップはオフセットされ、キーで取り外しして給油する。巨大なチョークダイヤルも特徴のひとつ。

画像: DOHC4バルブや独自の2過流燃焼室=TSCC(ツインスワール・コンバスチョン・チャンバー)で高性能化した空冷直4。さらに刀では吸排気系やクランクの見直しを図った。

DOHC4バルブや独自の2過流燃焼室=TSCC(ツインスワール・コンバスチョン・チャンバー)で高性能化した空冷直4。さらに刀では吸排気系やクランクの見直しを図った。

「GSX1100S KATANA」のベースは「GSX1100E」

カタナのベースとなったのはGSX1100E。新開発の4バルブ4気筒で105PSを達成し性能は抜群だったが、鈍重な印象のスタイリングが不評だったため、スズキは欧州のデザイナーにスタイリングを委託。鋭いイメージにカタナが誕生した。同時に最高出力は6PS増、空力性能も劇的にアップ。

画像1: スズキ「KATANA」(2026)のルーツは「GSX1100S KATANA」(1982)|唯我独尊、日本刀フォルムは今なお俺たちを引き付ける【最新ネオクラ ルーツ伝】

機能を研ぎすまして市販化。魂は未来に継承された

なぜ日本刀なのか? 初代のオリジナルデザインを担当したのは、BMWから独立したハンス・ムート氏らによる独・ターゲットデザイン社。コンセプトを発想したムート氏は「日本の武士道、侍の精神を象徴である日本刀で表現したかった」と答えている。

この革新的なデザインにゴーサインを出し、試行錯誤しながら市販車まで仕上げたのはもちろんスズキの功績。中でも前述のGS1000やGSX-Rシリーズを手がけた名エンジニア、横内悦夫氏の手腕は大きい。

スケッチのままでは生産技術的にタンク側面の強度確保が難しかったり、メーターの位置が高すぎるといった問題が発生。テストを重ねるうちスクリーンも必要になった。しかもベース車は無骨なフォルムのGSX1100E。しかし、苦労を重ねた結果、日本刀デザインを見事に死守し、当時の最高出力および最高速トップまで記録している。

新旧カタナの共通点はもちろん日本刀モチーフのスタイルだが、既存のモデルをベースに、そこから大変貌させた手法も同じ。また、デザインを欧州のデザイナーに委託したのも同様だ。こうした手法はヤマハでよく知られるが、スズキでは異例。それゆえ新旧とも斬新なスタイルになった側面はあるだろう。ちなみに、初登場がケルンショーなのも新旧共通だ。

現代のカタナはデザインに賛否両論が起こったものの、登場7年目を迎え、最新スポーツらしいイキのいい走りとともにライダーへ受け入れられた印象。初代から45年もの時が経つが、カタナの伝説は走り続ける。

KATANA(2026)解説

画像: SUZUKI KATANA 2026年

SUZUKI
KATANA
2026年

画像: モノクロの全面液晶パネルを採用。初代をイメージした丸型表示のタコメーターが特徴で、刀ロゴもあしらわれる。トラクションコントロールは5段階から選べる。

モノクロの全面液晶パネルを採用。初代をイメージした丸型表示のタコメーターが特徴で、刀ロゴもあしらわれる。トラクションコントロールは5段階から選べる。

画像: ヘッドライトカウルからシートへ連なるラインは初代を意識。燃料タンク部はダミーカバーで、初代より深く、複雑なエッジを描く。

ヘッドライトカウルからシートへ連なるラインは初代を意識。燃料タンク部はダミーカバーで、初代より深く、複雑なエッジを描く。

画像: 2022年型で電子制御スロットルを獲得。ベース車からマッピングを変更し、独自の味付けとした。パワーモードやクイックシフターも装備。

2022年型で電子制御スロットルを獲得。ベース車からマッピングを変更し、独自の味付けとした。パワーモードやクイックシフターも装備。

「KATANA」のベースは「GSX-S1000F」

KATANAのベースは、スーパースポーツのGSX-R1000(K5)由来のエンジンを持ち、ストリート向けに特性を磨いたGSX-S1000Fがベース。さらにKATANAでは日本仕様の750刀を思わせるワイドなアップハンドルを備え、エンジン特性も独自のものとしている。

画像: SUZUKI GSX-S1000F 2015年

SUZUKI
GSX-S1000F
2015年

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