1989年、過熱するレプリカブームへのアンチテーゼとして登場したゼファー。「等身大の性能」と懐古的なスタイルがライダーの心を掴み、空前のネイキッドブームを巻き起こす歴史的名車となり、96年には4バルブ化された「ゼファーχ」が登場。2008年まで続くロングセラーとなった。
まとめ:オートバイ編集部/協力:RIDE編集部、東京エディターズ

カワサキ「ゼファーχ」概要

画像: Kawasaki ZEPHYR χ 1996年~2008年 総排気量:399cc エンジン形式:空冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 車両重量:208kg シート高:775mm 発売当時価格:65万5000円 ※写真・諸元は2008年モデルの「ゼファーχ ファイナルエディション」

Kawasaki
ZEPHYR χ
1996年~2008年

総排気量:399cc
エンジン形式:空冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
車両重量:208kg
シート高:775mm

発売当時価格:65万5000円

※写真・諸元は2008年モデルの「ゼファーχ ファイナルエディション」

無理せずに付き合える等身大の楽しさで人気

1980年も終盤になると、空前の「レプリカブーム」にも翳りが見え始めた。その原因は過激になり過ぎた性能と価格。過当競争で急激にパフォーマンスのレベルが上がり、価格も高くなったレプリカたちは、一般のライダーたちから「自分たちが乗れるバイクではない」と敬遠されはじめたのだった。

そんな中、1989年にカワサキが送り出したのがゼファーだった。大ヒットモデルとなったZ400FXの後継モデルである、GPz400F譲りの空冷4気筒ユニットを、往年のZを思わせる優しい曲線を描いたボディに搭載したスタイリングに、ダブルクレードルフレームにツインショックという王道のネイキッドスタイルで登場した。

当時、同じクラスの花形である、レプリカのZXRシリーズが同年登場だったこともあってか、広告宣伝の類は控えめで、コスト削減のためタンクとサイドカバー上のロゴはエンブレムではなくステッカーという低コスト仕上げ。

その上、開発当時は、まだレプリカブームを引きずっている状況。当時のヨンヒャクは自主規制いっぱいの59PSが当たり前の時代だった中で、空冷エンジン好きな技術者有志が集まって造っていたバイクにも関わらず、旧GPz400Fのエンジンで、パワーはわずか46PS。スタイルも懐古基調のものとなっていた。

画像: カワサキ「ゼファーχ」概要

ところが、登場以降、ゼファーの人気はじわじわと高まっていった。高性能だが乗り手への要求度も高いレプリカに疲れてしまったライダーにとって、ゼファーは背伸びせずに付き合える「相棒」と言える存在となっていったのである。このゼファーの登場をきっかけとし、のちに一大ムーブメントとなるネイキッドブームがはじまっていくことになる。

結果、1989年に登場したゼファーは年間に1万台以上販売される大ヒットモデルとなっていった。この人気に応えて750、1100が相次いで登場し、いずれも人気となった。1996年モデルでは車体の基本構成は前モデルを受け継いだまま、エンジンの4バルブ化と足まわりを中心に改良し、名前もゼファーχ(カイ)となって登場。

発売以来20年近く販売され続けたシリーズは2009年モデルで終焉を遂げた。後に名車と呼ばれるバイクの多くは逆風が吹く中から産声を上げたと表現されていたが、このゼファーもその中の1台だった。

カワサキ「ゼファー」(1989年)

画像: 発売当時価格:52万9000円

発売当時価格:52万9000円

ダブルクレードルフレームにツインショック、空冷直4エンジン、集合マフラーといったメカニズムで登場したゼファー。当時のカワサキはTTーF3レプリカのZXR400という花形モデルが出たばかりで、販促活動のメインはZXRで、ゼファーにスポットが当たることは少なかったが、着々と売り上げを伸ばし人気となり、のべ7年間も好セールスを記録するロングセラーモデルとなった。

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