カワサキ「GPz400」（1983年）旗艦1100と共通のスタリングで登場した400【空冷4発ヨンヒャク回顧録】

カワサキ「GPz400」（1983年）概要

空冷Zの最終世代を飾るスポーツモデル

1979年に登場したZ400FXが、その高い走行性能とスタイリッシュなデザインで爆発的にヒットを記録したカワサキだったが、1981年に先進的なデザインとさらに高い性能で登場したホンダCBX400Fが発売と同時に大ヒットし、カワサキは「次の一手」を繰り出さざるを得ない状況にあった。

そうして誕生した後継モデルが1982年登場のZ400GPだった。Z1000Rを思わせる角形デザインを採用し、パワーも5PSアップの48PSとなったが、ライバル車の進化は速く、またもや次なるモデルが求められることとなった。

そして1983年3月に400ccクラスでカワサキ初のフレームマウントのフェアリングを備えたモデルとして登場したのがこのGPz400だった。

GPz400の最大の特徴であるビッグバイクを思わせるフェアリングは、フロントからタンク、サイドカバー、テールカウルまで一体感のある仕上がりに。400ccクラスとしては迫力のあるボディワークは、ビッグバイクと並んでも引けを取らない存在感あふれるものとなっていた。

海外モデルとして発売されていたGPz1100や国内フラッグシップのGPz750と共通デザインのフェアリングは防風効果も高評価を得ていた。

エンジンはZ400GPをベースにシリンダーヘッドを新設計し台形ヘッドのピストン、ショートストローク化することで3PS高い51PSという最高出力を発揮。車体はZ400GP同様、ユニトラック式の1本ショックを採用し、外装の装備は増加したが、車重は同じ数値をキープしていた。

同年11月には燃焼効率の向上のためにヘッドとキャブレターの段差を解消しキャブレターのセッティング、エアクリーナーを変更することで最高出力を更に3PS上積みした54PSを発揮するGPz400Fが登場。

その後、他メーカーのライバルモデルたちが高性能化を進めていく中、GPz400は大きくスペックを変えることなく販売され続けた。同年代のライバルモデルと比較した時に高性能とは言えなくなった時期も不思議とGPz400Fは一定の人気を維持し、1989年の最終型まで発売することとなった。

そして、その心臓部が、後の大ヒット作、空前のネイキッドブームの立役者となるゼファー400に継承されることとなったのは、あまりに有名なエピソードである。