「V2」と名付けられたドゥカティの新世代エンジンは軽さとコンパクトさが魅力。パニガーレV2に搭載後、様々なカテゴリーの機種に搭載され、幅広いラインアップに展開されている。今回は前作から18kgもの軽量化を実現したストリートファイターV2に試乗した。
写真:南 孝幸/文:小川 勤
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ドゥカティ「ストリートファイター V2 S」インプレ(小川 勤)

画像: DUCATI STREETFIGHTER V2 S 2026年モデル 総排気量:890cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブV型2気筒 シート高:838mm 車両重量:176.6kg(燃料除く) 発売日:2025年9月 税込価格:222万9000円~236万円

DUCATI
STREETFIGHTER V2 S
2026年モデル

総排気量:890cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブV型2気筒
シート高:838mm
車両重量:176.6kg(燃料除く)

発売日:2025年9月
税込価格:222万9000円~236万円

従来の「ストリートファイター」の常識を覆す馴染みやすさ

イタリアのドゥカティ本社で行われた「V2」エンジンの発表会に訪れたのは約1年前。「V2」ユニットは前作のスーパークワドロより9kg軽く、さらにヘッドまわりを中心にコンパクト化。「大切にしたのはパワーよりも軽さと扱いやすさ」。これが「V2」のコンセプトで、ドゥカティがここまで扱いやすさを重視したことは過去に例がなく、まさにドゥカティの歴史を変えるエンジンの登場だったのである。

これまでにこの「V2」ユニットを搭載したパニガーレやムルティストラーダに試乗してきたが、どのカテゴリーにおいても、軽さは最高の武器だということを実感。そしてそれは今回試乗したストリートファイターV2でも変わらなかった。

ストリートファイターV2は軽さ以外にも変化があった。跨るとハンドルはそれなりにワイドであるものの、これまでにあった肘を張る感じは軽減され、前傾も穏やか。前輪荷重が大幅に軽減されているのだ。

画像1: ドゥカティ「ストリートファイター V2 S」インプレ(小川 勤)

走り出すとすぐに前作より車重が18kg軽くなったことも実感できる。「V2」ユニットを搭載する車体は全てを一新し、フレームはエンジン上部に鎮座するアルミダイキャスト製で、その重量は約4kgと超軽量。またフレームがエンジンの外側を囲っていないことがスリムさに直結。国産車にはないそのアプローチが、890ccの排気量を感じさせないコンパクトさをもたらす。

市街地を走り出すと、かつてこれほど低速域がフレンドリーな水冷ドゥカティ・ネイキッドがあっただろうかと思う。レース、スポーツ、ロード、ウェットのライディングモードから「ロード」を選ぶと、低速域から順従で気を使う部分がほぼない。

ドゥカティ特有のパルス感や伸びの良さは主に高回転で味わうものだったが「V2」はその常識を一転。低回転域からトルクが豊かに湧き上がり、それが中回転域では速さを生み、高回転域では気持ちよさに変わっていくのである。レース、スポーツとモードを上げていくとそのメリハリはさらに如実になる。

実は「V2」エンジンには伝統のバルブ開閉機構であるデスモドローミックが採用されていないため、昔のような高回転域での伸びはない。ただ、軽さや扱いやすさのメリットの方が大きいことは誰もが体感できる。

画像2: ドゥカティ「ストリートファイター V2 S」インプレ(小川 勤)

ライディングポジションもオーソドックスになり、ストリートファイターという車名からは想像できないほどフレンドリー。そのキャラクターは峠に入っても変わらなかった。大小様々なコーナーを走ったが、全てのコーナーを浅いバンク角で簡単に駆け抜けていく。そのため立ち上がりが楽で「V2」ユニットの鼓動感や躍動感を味わいやすいのだ。

軽さが生み出す効果は次々と訪れた。ストリートファイターV2は、ライダーの重心移動に信じられないほど素早くレスポンスし、リーンはもちろん切り返しも軽快。さらにブレーキングでよく止まり、旋回中のライン修正も難しさを感じないのだ。

新時代のドゥカティ・ネイキッドは、かつてのドゥカティを知っている人を驚かせ、新たなるファンを快くイタリアンワールドに導いてくれるはずだ。

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