ホンダ「CBR400F」（1983年）回転数に応じてバルブを切り替えるREV機構を新たに採用【空冷4発ヨンヒャク回顧録】

ホンダ「CBR400F」（1983年）の概要

高性能スポーツバイクとして充実の装備を用意

1982年に水冷V型DOHC4バルブ4気筒エンジンを搭載したハイパワーのVF400Fが登場してからも、CBX400Fの人気は落ちることなく維持されていた（1984年には再生産されるほど）。この現象は競争の激しい400ccクラスでは実に不思議なこととして捉えられた。その中で登場したCBR400Fは、そんな人気車の後継モデルとして開発。新設計エンジンを搭載したスポーツバイクとなっていた。

CBR400Fのボア×ストロークと排気量はCBX400Fと同じ数字だったが、なんと冷却方式は空冷のままCBRは58PSを発揮し、旧型比で10PSも最高出力を引き上げた性能を叩き出した。その要となったのが、新たに採用されたREV（レボリューション・モデュレーテッド・バルブ・コントロール）機構というメカニズムだった。

これは低中速域では2バルブ、高回転域では4バルブに切り替わる可変バルブ機構の一種で、エンジン回転上昇時は8500rpm、下降時は8200rpmで、2バルブと4バルブを切り替わるようになっていた新機構だった（のちにVTEC機構へと進化する）。

フレームはコンピュータ解析により軽量・高剛性が追求され、新設計となる角断面材のダブルクレードルタイプに仕様変更。フロントホイールは当時のトレンドを取り入れ、16インチを採用。デザインはNSコムスターホイールとなっていた。

CBX400Fの後継モデルとして登場したCBR400Fだが、そのエンジン・走行性能、スタイリングはより“スポーツモデル”として高められていた。なお当時RSC（現HRC）からはF-3レース用のキットパーツが発売され、専用ピストンやカムシャフトを組み込むことで、最高出力を63PSまで高めることができた。

登場から1年後の1984年5月には、デュアルライトを採用したフレームマウントのハーフカウルとアンダーカウルを装備したCBR400Fエンデュランス（発売当時価格：59万8000円）が登場。同年8月にはフルカウル仕様の特別仕様車（発売当時価格：61万5000円）も登場した。カウルのサイドには当時人気だったレース「F-3」の文字が配置されていた。

1985年、各社が空冷から水冷にチェンジする中、世の予想を裏切る空冷のままモデルチェンジして登場したCBR400Fは、アルミ製のマフラーやスイングアーム、3本スポークのキャストホイールなどを採用。同年8月31日にはシングルシートを採用したCBR400Fフォーミュラ3も発売された。

ホンダ「CBR400F ENDURANCE」（1984年）

当時のレース人気に応えるようにハーフカウル、フルカウルを装備したエンデュランスが登場

1983年に登場したCBR400Fがネイキッドスタイルで、1984年5月にハーフカウルとアンダーカウルを付けたのがエンデュランス（1985年モデルではアンダーカウルなしとなっていた）が発売。

1984年8月にはフルカウルを装備したエンデュランス特別仕様車（通称エンデュランスF3）も発売された。最終モデルとなる1985年モデルではハーフカウル＋シングルシートのフォーミュラ3が登場した。フォーミュラ3はスポーツ性を強く意識したモデルで、一人乗り専用設計という割り切り設定となっていた。