写真:南 孝幸、赤松 孝/まとめ:オートバイ編集部
ホンダ「CB1000F」開発者インタビュー

インタビューに応じてくださった本田技研工業株式会社の皆様(左より)坂口智樹氏(営業領域責任者)、
安島宗典氏(デザインPL)、原本貴之氏(開発責任者)、村上弘明氏(開発責任者代行)、玉段翔平氏(セールスPL)
CBらしさ、エフらしさにあふれた「新しい伝説」の誕生
「最初から“現代のエフ”を造ると決めていたわけではなく、次世代フラッグシップCBを造ろうということで、当初はさまざまな案がありました。最終的にこのスタイルに決まったのは、やはり“エフ”がアイコニックで、CBらしいイメージが強かったからです」
そう語るのは開発責任者の原本さん。CBの歴史に燦然と輝くCB750Fを再構築するにあたり、プレッシャーはなかったのだろうか。村上さんに聞いた。
「CB750Fをオマージュして新しいものを造るのは正直プレッシャーではありましたが、新しい“伝説”を造れる、という喜びも大きく、開発中はむしろ楽しかったですね」
コンセプトは「ベストバランス・ロードスター」。ベースはストリートファイターのホーネットだが、CB1000Fでは扱いやすさを最重要視したという。

「初めて乗る方にも扱いやすく、多くの方に楽しんで欲しい。かと言って、フラッグシップCBですから、牙を抜かれてはいけない。歴代のCBたちの出力特性データを参考にしながら、中低速でのトルクを確保し、思いのままにスロットルを開けられて、気持ちよく走れるフィーリングを目指しました」(村上さん)
これに組み合わされるフレームはリアまわりを新作、サスペンションも専用セッティングとするなど、こだわりも詰まっている。原本さんに聞いた。
「スタンダード・ド真ん中のCBですから、スポーティに走りたい方だけでなく、これでツーリングに行く方も多いと思います。スポーティなリアまわりとしつつ、しっかり積載性と強度も確保しましたし、快適に感じる振動の感じ方にもこだわり抜いています」
CB750FのDNAを感じさせるスタイリングも見事なもの。安島さんに聞いた。
「デザインにあたっては、先輩からCB750Fを借りてじっくり研究しました。一番大事にしたのは、タンクからテールにかけてつながっていく、エフらしいクリーンなサーフェスの確保です。一方で、堂々とした迫力も大事にしましたし、エフらしい顔つきを追求して、ヘッドライトの位置は数えきれないほどの微調整を繰り返しました」

そんなCBの価格はライバルよりも大胆なものに設定され、カウル付きのSEもラインアップ。ホンダの強い意気込みを感じる。坂口さんと玉段さんに聞いた。
「SEはより所有感を高めたモデルで、新しいCBの裾野を広げてくれるモデルです。スタンダードと合わせて、守備範囲を広げたイメージです」(坂口さん)
「丸目ネイキッドだけではない、特徴のある外観ということで、SEは最初から加えたいと考えていました。若い方にも乗って欲しいので、手が届かないと意味がない、ということで、価格も抑えました」(玉段さん)
新世代フラッグシップ・CB1000Fには、CBが好きで、バイクが好きな開発陣のこだわりと情熱が詰め込まれている。
「カッコいいだけでなく、軽さもCB1000Fの大きな魅力です。バイクを起こした瞬間から驚いていただけると思います。楽しみにしていてください!」(原本さん)
