改造に要するコストを抑え、大きな負担なくサーキットで勝負できる能力を持たせることを目的に作られたVFR750R(RC30)は、エンジンや車体にワークスレーサーRVFとの共通点を多く見い出せるのが最大の特徴だ。しかしRC30はRVFの模倣ではなく、これを徹底的に研究し、高性能を求めた結果、この姿にたどり着いたのだ。
まとめ:岡本 渉/協力:バイカーズステーション、佐藤康郎、H&L PLANNING
※この記事は2025年7月2日に発売した『レーサーレプリカ伝 4ストローク編』に掲載したものを一部編集して公開しています。

ホンダ「VFR750R(RC30)」(1987年)各部装備・ディテール解説

アウトフォルム

画像1: ホンダ「VFR750R(RC30)」(1987年)各部装備・ディテール解説
画像1: ホンダ「VFR750R(RC30)」(1987年)|レーサーに非常に近い姿での市販化を目指したホンダ2輪史においても格ある名作
画像2: ホンダ「VFR750R(RC30)」(1987年)|レーサーに非常に近い姿での市販化を目指したホンダ2輪史においても格ある名作

カラーリングは、白×青×紺×赤を組み合わせたレーサーをイメージさせる1種のみ。カウリングの材質は一般市販車で使われるABSではなく繊維強化プラスチック(FRP)で、アンダーとサイドの接合部に環付きのクイックリリースボルトを使用。レーサーを模して右前方にブリーザーホースを接続した18L容量の燃料タンクはアルミ製だ。


フレーム

画像2: ホンダ「VFR750R(RC30)」(1987年)各部装備・ディテール解説

アルミツインスパーフレームは、左右レールにRVFと同様な変形目の字断面の引き抜き材を使用。ヘッドパイプ周辺やスイングアームピボットを備える後部セクション、エンジン懸架部は鋳造品。

重心やステアリングヘッドパイプ、クランクシャフトの位置はワークス750ccレーサーのRVFとほぼ同一。RVFはNSR500の車体寸法を4ストロークV4で具現化するのを目指したことから、VFR750RはGP500レーサーに近い寸法の公道向けモデルとなった。

シートレールはアルミの角断面材と丸パイプの組み合わせで、プレート状のサイレンサーステーを直接溶接する合理的な構造。メインフレームとの結合はボルトだから容易に着脱でき、車体改造の自由度を高めている。左右ステップはフットペグとシフト/ブレーキペダルを同軸で固定する。


ヘッドライト

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日本仕様は後にワークスRVFも使ったΦ100mmのヘッドライトを2個並べるが、欧州/北米仕様はΦ130mmに拡大。バックミラーは可倒式で鏡面が大きなものに、ウインカーも大型にされた。スイス仕様は生産初期のみ角型ライトを1個装着した。


メーター

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12500rpmからをレッドゾーンとする回転計(中央)と、小径な水温計を表面に硬質スポンジを取り付けたパネルにマウント。レーサーを思わせる外観としている。180km/hスケールのスピードメーターや小さなケースに4個並べた警告ランプなどは左下に置かれる。


エンジン

画像5: ホンダ「VFR750R(RC30)」(1987年)各部装備・ディテール解説

VFR750Rの748.1cc(Φ70×48.6mm)水冷DOHC4バルブ90度V型4気筒はVFR750F用と同様にカムギヤトレインを採用するが、独自の工夫を盛り込んでシリンダーヘッドを小型化する。

3個あるギヤのうち中央の1個を二重構造とし、この部分でクランクの回転数を減速。その結果、カムに固定されるギヤが小径化でき、シリンダーヘッドが小さくなるという流れだ。上下2分割のラジエーターはエンジンとフロントホイールの間隔を詰めるための工夫で、エンジンオイルの冷却にはカートリッジ式フィルターの基部にクーラントを流す水冷式を市販車で初めて採用。

クラッチには、NR500と同様な高度なメカニズムを用いたバックトルクリミッターが組み込まれる。クランクはVFR750Fの180度ではなくRVFと同じ360度とされ、トルク変動の幅が小さい180度より振動が大きくなるが、排気干渉によるパワーアップが狙える360度を選択。

シリンダーヘッドのキャスティング変更を認めないレース規定に違反せずカムシャフトの支持位置を変更できるよう、カムの軸受け部を別体化してボルト固定とするなど、レースでの使用を前提とした設計を盛り込む。燃料供給はキャブレターの4連装で、公道での扱いやすさを重視して負圧式を選択した。


フロントブレーキ

画像6: ホンダ「VFR750R(RC30)」(1987年)各部装備・ディテール解説

フローティングディスクと対向4ピストンキャリパーはホンダ市販車に初採用で、パッドを換えるだけでレースに使える高性能が与えられた。キャリパー上部にストレートで入るブレーキホースの接続方法も開発担当者のこだわりの部分で、制動力だけでなくコントロール性も追求。

ショーワ製Φ43mm正立フロントフォークは伸縮減衰力調整式、ホンダ製オンロード車で初めてカートリッジ式を採用。アクスルシャフトを受ける部分にクイックリリース機構を与えたのは国産市販車ではこのモデルが最初。ホイールは3.00-17サイズで、当時はラジアルタイヤへの過渡期だったことから、バイアスの120/70を標準装着した。


リアブレーキ

画像7: ホンダ「VFR750R(RC30)」(1987年)各部装備・ディテール解説

リヤブレーキはΦ220mmソリッドディスクと片押し式2ピストンキャリパーの組み合わせで、ディスクはホイールではなくアクスルシャフトと同軸で回転、ホイールを支持するブラケットに固定される。ホースの接続方法はフロントと同じストレート。ホイールは5.50-18、タイヤは170/60のラジアルを履く。

ホンダ「VFR750R(RC30)」(1987年)主なスペック・当時価格

全長×全幅×全高2045×700×1100mm
ホイールベース1410mm
最低地上高130mm
シート高785mm
車両重量201kg
エンジン形式水冷4ストロークDOHC4バルブV型4気筒
総排気量748cc
ボア×ストローク70.0×48.6mm
圧縮比11.0
最高出力77PS/9500rpm
最大トルク7.1kgf・m/7000rpm
燃料供給方式キャブレター(VDH0)
燃料タンク容量18L
変速機形式6速リターン
キャスター角24°50′
トレール量91mm
ブレーキ形式(前・後)ダブルディスク・シングルディスク
タイヤサイズ(前・後)120/70-17 58H(バイアス)・170/60R18 73H(ラジアル)
発売当時価格(1987年)148万円

まとめ:岡本 渉/協力:バイカーズステーション、佐藤康郎、H&L PLANNING
※この記事は2025年7月2日に発売した『レーサーレプリカ伝 4ストローク編』に掲載したものを一部編集して公開しています。

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