まとめ:岡本 渉/協力:バイカーズステーション、佐藤康郎、H&L PLANNING
※本記事は2025年7月2日に発売された『レーサーレプリカ伝 4ストローク編』の内容を一部編集して掲載しています。
カワサキ「ZXR400(ZX400H)」(1989年)の各部装備・ディテール解説

ホイールは、フロントはZX-4と同様に17インチだがリヤは18→17インチに小径化して3.50/4.50の前後17インチに。タイヤはZX-4の110/70R17・140/60R18に対し、120/60R17・160/60R17に換わる。シート高は765mmから不変で、24度のキャスターも変わらないが、トレールは87→85mmと2mm短縮された。

スポーツプロダクション仕様のZXR400Rは、FRP製シングルシートカウルを備えるのが外観上の相違点。青×白×緑の1色で、このカラーリングは標準仕様のZXR400でも選べた。クロスミッションを持ち、2次減速比を3.000(15/45)→2.750(16/44)に変更。乾燥重量は3kg減の159kgをカタログに記載する。

アルミツインスパーフレームは、縦120mm×横30mmの日の字断面押し出し材を左右レールに使用。スイングアームピボットを備えるプレートやヘッドパイプ周辺などを鋳造品とするなど基本はZX-4と同じだが、シートレールを一体構造からボルト留めの別体式に改めている。アッパーカウル左右から伸びるダクトはシリンダーヘッドに冷気を送るK-CAS(カワサキクールエアシステム)で、ワークスレーサーZXR-4からのフィードバック。加圧して充填効率を高めるラムエアとは異なる。

ヘッドパイプ後方に8L容量のエアクリーナーボックスを置くのはZX-4と同じだが、ケーヒン製ダウンドラフトキャブは、CVKD30からメインボアが大きいCVKD32に換わる。

アルミ製スイングアームも新作で、上部に鋳造製サブフレームを配して剛性を高めた。

回転計を中央、速度計を左側、水温計を右側に置いた新しい3連メーターを採用する。

シリンダー右端にカムチェーンを配する水冷DOHC4バルブ並列4気筒はZX-4が元で、Φ57×39mmのボア×ストロークより398.1ccを得るのは同じだが、ピストン頭部と燃焼室の形状を改めて圧縮比を11.5→12.1:1に高めている。シリンダーを25度前傾させて搭載、1バルブ1ロッカーアームでシリンダーヘッドを小型化するなどは同じだが、吸気側バルブの傘を薄肉化して軽量化し往復重量を軽減。

最高出力:59PS/12000rpmは共通だが、最大トルクは10000rpmの発生回転数を変えずに3.9→4.0kgf・mと微増。4-2-1構造で、1/4番と2/3番をバイパスで結ぶなどエキパイの形状はZX-4を踏襲するが、集合部のデザインを変えた新作に置き換えている。

外筒をアルミ引き抜き材としたサイレンサーを新採用。ステーの形状はレーサー的だ

F:Φ300mm・R:Φ240mmのブレーキディスク径はZX-4に同じだが、キャリパーは前後とも片押しから対向ピストンに変化。リヤキャリパーはフローティングマウントに変わった。

リアショックは、アルミ製ダンパーや別体式ガス室を装備、プリロード無段階、伸び側減衰力が4段階に可変の製品に換装される。

テールカウルエンドに配された角型×2の尾灯が独特な眺めを生み出している。
カワサキ「ZXR400(ZX400H)」(1989年)の主なスペック・当時価格
| 全長×全幅×全高 | 2035×705×1125mm |
| ホイールベース | 1395mm |
| 最低地上高 | 120mm |
| シート高 | 765mm |
| 車両重量 | 188kg |
| エンジン形式 | 水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒 |
| 総排気量 | 398cc |
| ボア×ストローク | 57×39mm |
| 圧縮比 | 12.1 |
| 最高出力 | 59PS/12000rpm |
| 最大トルク | 4.0kgf・m/10000rpm |
| 燃料供給方式 | キャブレター(CVK32) |
| 燃料タンク容量 | 16L |
| 変速機形式 | 6速リターン |
| キャスター角 | 24° |
| トレール量 | 85mm |
| ブレーキ形式(前・後) | Φ300mmダブルディスク・Φ240mmシングルディスク |
| タイヤサイズ(前・後) | 120/60R17・160/60R17 |
| 発売当時価格(1989年) | 73万9000円 |
まとめ:岡本 渉/協力:バイカーズステーション、佐藤康郎、H&L PLANNING



