空冷のXJ400、水冷のXJ400Zに続くヤマハ第3の400cc並列4気筒であるFZ400Rは、F-3レーサー「FZR400」のストリートバージョンとして開発されたピュアなロードレーサーレプリカだった。FZは加熱する性能競争の中で善戦し、のちにFZR400シリーズへと発展していく。
まとめ:岡本 渉/協力:バイカーズステーション、佐藤康郎、H&L PLANNING
※本記事は2025年7月2日に発売された『レーサーレプリカ伝 4ストローク編』の内容を一部編集して掲載しています。

ヤマハ「FZ400R(46X)」(1984年)の各部装備・ディテール解説

画像: デビュー当時車体色はこのシルキーホワイト1色だけだった。国産でも外国車でも車体色は2~3種用意されるのが普通だが、ワークスレーサーFZR400(上掲の写真/1983年東京モーターショー出展車)のレプリカイメージを強調するために、FZR400と同じカラーのみとしたのではないかと思われる。 ともあれ、シルキーホワイトが陽光に輝いて美しく、それと組み合わされた濃紺の色合いと赤のストロボラインも映える。ヤマハらしいセンスのいいカラーグラフィックである。また。ブラック仕上げのエンジンおよび4into1エキゾーストシステムと外装パーツのコントラストも好バランス。ハーフカウルをまとったスタイリングは今見てもレーシーで格好がいい。

デビュー当時車体色はこのシルキーホワイト1色だけだった。国産でも外国車でも車体色は2~3種用意されるのが普通だが、ワークスレーサーFZR400(上掲の写真/1983年東京モーターショー出展車)のレプリカイメージを強調するために、FZR400と同じカラーのみとしたのではないかと思われる。

ともあれ、シルキーホワイトが陽光に輝いて美しく、それと組み合わされた濃紺の色合いと赤のストロボラインも映える。ヤマハらしいセンスのいいカラーグラフィックである。また。ブラック仕上げのエンジンおよび4into1エキゾーストシステムと外装パーツのコントラストも好バランス。ハーフカウルをまとったスタイリングは今見てもレーシーで格好がいい。

画像: 精悍なイメージと洗練された美を感じさせるデザインである。車体はコンパクトで、ホイールベースは1385mmと、XJ400Zより35mmも短く当時の250ccクラス並みで、これはレーサー譲りの操縦性を実現するのに役だったとヤマハの説明にあった。なお、撮影のために今回はメンテナンススタンドを使用したが、販売当時にはオプションでレーシングスタンドが用意されていた。

精悍なイメージと洗練された美を感じさせるデザインである。車体はコンパクトで、ホイールベースは1385mmと、XJ400Zより35mmも短く当時の250ccクラス並みで、これはレーサー譲りの操縦性を実現するのに役だったとヤマハの説明にあった。なお、撮影のために今回はメンテナンススタンドを使用したが、販売当時にはオプションでレーシングスタンドが用意されていた。

画像: フレームマウントのハーフカウルに備わるヘッドライトは、耐久レーサーイメージの丸目2灯式。今となってはやや時代を感じさせるが、当時はとてもレーシーなものだった。ヘッドライトの光量は12V 35/35W×2。カウリングとフロントフェンダーの間の奥に、ラジエーターがかすかに見える。

フレームマウントのハーフカウルに備わるヘッドライトは、耐久レーサーイメージの丸目2灯式。今となってはやや時代を感じさせるが、当時はとてもレーシーなものだった。ヘッドライトの光量は12V 35/35W×2。カウリングとフロントフェンダーの間の奥に、ラジエーターがかすかに見える。

画像: カウルを装備しているためフロントビューにはほどよいボリューム感があるが、リアビューはとてもスリムである。特にテールカウルエンドはキュッと絞られた形状で、リアまわりは軽快感にあふれる。長方形のブレーキ/テールライトも内部2灯式で、光量は12V 27/8W×2。ウインカーは通常タイプだ。

カウルを装備しているためフロントビューにはほどよいボリューム感があるが、リアビューはとてもスリムである。特にテールカウルエンドはキュッと絞られた形状で、リアまわりは軽快感にあふれる。長方形のブレーキ/テールライトも内部2灯式で、光量は12V 27/8W×2。ウインカーは通常タイプだ。

画像: アルミのクリップオンハンドルはアッパーブラケット上にマウントされており、上体の前傾具合は外観から想像されるほど大きくはない。ハンドル幅は650mmで2型で675mmに拡大しグリップ位置をやや高めた。Φ36mmフロントフォークのトップに見える黒くて小さい部品は、セミエア(空気加圧式)フォークのエア注入用バルブ(エア圧は0.4kg/cm2)だ。

アルミのクリップオンハンドルはアッパーブラケット上にマウントされており、上体の前傾具合は外観から想像されるほど大きくはない。ハンドル幅は650mmで2型で675mmに拡大しグリップ位置をやや高めた。Φ36mmフロントフォークのトップに見える黒くて小さい部品は、セミエア(空気加圧式)フォークのエア注入用バルブ(エア圧は0.4kg/cm2)だ。

画像: 左から、180km/hスケールのスピードメーター、14000rpmまで目盛られ、12500rpmからレッドゾーンとされるタコメーター、ボルトメーターと兼用される水温計が並ぶ、耐久ロードレーサー的なデザインの3連メーター。パイロットランプ類は水温計の上に四角に配置されている。

左から、180km/hスケールのスピードメーター、14000rpmまで目盛られ、12500rpmからレッドゾーンとされるタコメーター、ボルトメーターと兼用される水温計が並ぶ、耐久ロードレーサー的なデザインの3連メーター。パイロットランプ類は水温計の上に四角に配置されている。

画像: 容量18.0Lの燃料タンクは、上面がフラットで後部が大胆に絞られた独特の形状をしている。また、シート前部がタンク後部の形に合わせて張り付くように伸びており、これも思い切ったデザインである。

容量18.0Lの燃料タンクは、上面がフラットで後部が大胆に絞られた独特の形状をしている。また、シート前部がタンク後部の形に合わせて張り付くように伸びており、これも思い切ったデザインである。

画像: シルバーで塗られたスチール製角パイプのダブルクレードルフレームに搭載される水冷4ストローク並列4気筒のDOHC4バルブエンジンは、基本的にはF-3レーサーFZR400とほぼ共通。ボア×ストロークΦ54.0×43.6mmで、排気量は399.4cc。XJ400Zをベースに、高圧縮化、吸排気バルブの大径化(INΦ21/EXΦ18mmに)、排気カムの変更などが行われ、最高出力59PS/12000rpm、最大トルク3.7kgf・m/10000rpmというクラストップの性能を得る(最高出力は当時の自主規制値の上限値)。

シルバーで塗られたスチール製角パイプのダブルクレードルフレームに搭載される水冷4ストローク並列4気筒のDOHC4バルブエンジンは、基本的にはF-3レーサーFZR400とほぼ共通。ボア×ストロークΦ54.0×43.6mmで、排気量は399.4cc。XJ400Zをベースに、高圧縮化、吸排気バルブの大径化(INΦ21/EXΦ18mmに)、排気カムの変更などが行われ、最高出力59PS/12000rpm、最大トルク3.7kgf・m/10000rpmというクラストップの性能を得る(最高出力は当時の自主規制値の上限値)。

画像: 性能もさることながら、このエンジンはヤマハお得意の背面ジェネレーター採用などによって幅が狭く作られている点も特徴である。なお、フレームのメインパイプはスチール製だけに40×20mmと細いがワイドに作られて軽量ながら剛性を確保。この形状はヤマハファクトリー2ストロークGPマシン、YZR500がツインチューブ化する直前に使った1981~1982年型アルミフレームにも通じている。また、整備性向上やレーサーとして使用する場合のモディファイのしやすさを考慮して、左右のダウンチューブとスチール丸パイプ製シートレールはボルトオンとなっている。

性能もさることながら、このエンジンはヤマハお得意の背面ジェネレーター採用などによって幅が狭く作られている点も特徴である。なお、フレームのメインパイプはスチール製だけに40×20mmと細いがワイドに作られて軽量ながら剛性を確保。この形状はヤマハファクトリー2ストロークGPマシン、YZR500がツインチューブ化する直前に使った1981~1982年型アルミフレームにも通じている。また、整備性向上やレーサーとして使用する場合のモディファイのしやすさを考慮して、左右のダウンチューブとスチール丸パイプ製シートレールはボルトオンとなっている。

画像: 先端にバンクセンサーが付けられた左右ステップはチェンジペダル/ブレーキペダルがステップバーと同軸式で、これはレーサーのようなシフト感を得るため。小ぶりな作りだ。

先端にバンクセンサーが付けられた左右ステップはチェンジペダル/ブレーキペダルがステップバーと同軸式で、これはレーサーのようなシフト感を得るため。小ぶりな作りだ。

画像: 初期型はスチール製だったが、2型でアルミ化される。バックステップ気味にマウントされているが極端ではなく、シート、ハンドルとのバランスはいい。チェンジペダルはリンクを介して操作する。

初期型はスチール製だったが、2型でアルミ化される。バックステップ気味にマウントされているが極端ではなく、シート、ハンドルとのバランスはいい。チェンジペダルはリンクを介して操作する。

画像: スプリングの特性に合わせて圧側の減衰特性を変化させるエア/コイル併用式「バリアブルダンパー」を持つフロントフォークはΦ36mm。フロントブレーキは対向ピストンキャリパーとΦ267mmのソリッドディスク(フローティングディスクはもう少し後の時代)をダブルで装備する。ホイールは2.50-16インチで、タイヤは100/90-16。取材車はダンロップ・アローマックスGT301を履くが、当時の純正は同K125とヨコハマF202を使った。

スプリングの特性に合わせて圧側の減衰特性を変化させるエア/コイル併用式「バリアブルダンパー」を持つフロントフォークはΦ36mm。フロントブレーキは対向ピストンキャリパーとΦ267mmのソリッドディスク(フローティングディスクはもう少し後の時代)をダブルで装備する。ホイールは2.50-16インチで、タイヤは100/90-16。取材車はダンロップ・アローマックスGT301を履くが、当時の純正は同K125とヨコハマF202を使った。

画像: リアブレーキは対向2ピストンキャリパーにΦ245mmのソリッドディスクを組み合わせる。リアホイールはフロントの16インチ径に対して18インチ径で、サイズは2.75-18。タイヤサイズは120/80-18。取材車の装着タイヤはダンロップ・アローマックスGT101だが、純正はダンロップのK225とヨコハマR202。ニューリンク式リアサスのスイングアームはアルミ角パイプ製だ

リアブレーキは対向2ピストンキャリパーにΦ245mmのソリッドディスクを組み合わせる。リアホイールはフロントの16インチ径に対して18インチ径で、サイズは2.75-18。タイヤサイズは120/80-18。取材車の装着タイヤはダンロップ・アローマックスGT101だが、純正はダンロップのK225とヨコハマR202。ニューリンク式リアサスのスイングアームはアルミ角パイプ製だ

画像: シートはセパレートタイプで、ライダーズシートはスリムで内部スポンジも薄め。タンデムシートも形ばかりという感じで小さいが、これはシングルシート風のデザインを追求したためだ。なお、タンデムシートはキーによる脱着式で、下には小物入れスペースが設けられている。

シートはセパレートタイプで、ライダーズシートはスリムで内部スポンジも薄め。タンデムシートも形ばかりという感じで小さいが、これはシングルシート風のデザインを追求したためだ。なお、タンデムシートはキーによる脱着式で、下には小物入れスペースが設けられている。

ヤマハ「FZ400R(46X)」(1984年)の主なスペック・当時価格

全長×全幅×全高2025×690×1145mm
ホイールベース1385mm
最低地上高145mm
シート高785mm
車両重量188kg(乾燥重量165kg)
エンジン形式水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量399cc
ボア×ストローク54.0×43.6mm
圧縮比11.5
最高出力59PS/12000rpm
最大トルク3.7kg-m/10000rpm
燃料供給方式キャブレター
燃料タンク容量18L
変速機形式6速リターン
キャスター角26°00′
トレール量101mm
ブレーキ形式 前・後ダブルディスク・シングルディスク
タイヤサイズ(前・後)100/90-16・120/80-18
発売当時価格(1984年)59万8000円

まとめ:岡本 渉/協力:バイカーズステーション、佐藤康郎、H&L PLANNING

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