まとめ:岡本 渉/協力:バイカーズステーション、佐藤康郎、H&L PLANNING
※本記事は2025年7月2日に発売された『レーサーレプリカ伝 4ストローク編』の内容を一部編集して掲載しています
ホンダ「CBR400F(NC17)」(1984年)の各部装備・ディテール解説
メーターまわり

クリップオンのハンドルは幅広い走りに対応するため後のレプリカスポーツのように低くはないが、レーシーな雰囲気だ。左側のスイッチボックスが白っぽいのは樹脂の経年変化による。

3連メーターはシンプルかつスポーティなデザイン。中央の回転計は13000rpmまで目盛られ12750rpmからレッドゾーン、左の速度計は180km/hスケールで、オド/トリップメーターを内蔵。ともにゼロを真下とするのも、レーサーをイメージしてのことか。右は燃料計で、メーターパネル下部には左から左ウインカー、速度、オイル、ハイビーム、ニュートラル、右ウインカーの各警告灯がある。
燃料タンク

フレームはスチール製だが、当時最新のコンピュータ解析による角断面パイプのダブルクレードルで高剛性を確保。そのメインパイプのラインに合わせた燃料タンク形状はレーシーで、タンク左側面に装備される燃料コックのノブもレーサーイメージのデザインだ。容量は400ccクラスとしては十分な18.0L。
エンジン

空冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブはCBX400Fと基本構成は同じで、ボア×ストロークΦ55.0×42.0mm。だが斬新なバルブ機構のREVや吸入系のレゾナンスチャンバー(燃料タンクの下にあり、エアクリーナーと連結される)、吸気系の4-2-1-2のエキゾーストシステムなどによって、大きく性能向上。
最高出力はCBXを10PSも上回る58PS/12300rpm、最大トルクは3.6kgf・m/11000rpmで、発売当時、出力は水冷4気筒をもしのいだ。

REVは、高回転域では気筒あたり2本ずつある吸排気バルブをすべて使う4バルブ作動として絶対量を稼ぎ、低中回転域では1本ずつを休止させて2バルブ作動として流速を上げるという考え方だ。センサでエンジン回転数を検知し、2分割のロッカーアームに内蔵する油圧ピストンの移動によってロッカーアームが分離/結合して、4バルブ⇔2バルブを自動的に切り替える。
ステップまわり

極端なバックステップではないが、十分なバンク角が確保されている。チェンジペダルやブレーキペダルは、軽量化のため作りが華奢に見える。左右ステップは当然バー可倒式で、バー上部にはラバーが装着される。

フロント&リアブレーキ、ホイール

TRAC(ブレーキトルク応答型アンチダイブ機構)を装備したフロントフォークはセミエアを併用し、インナーチューブ径はΦ35mm。前後ホイールはNSコムスターで、フロントのサイズは2.50-16インチ。ブレーキはΦ256mmの穴開きディスクとピンスライドの片押し2ピストンキャリパーをダブルで装備。取材車はフロントタイヤにブリヂストンBT-45を装着しているが、純正にはBSのG511など3種類があった。

リアホイールサイズは2.50-18インチで、ブレーキはフロントと同じ組み合わせを1組装備。同じくリアタイヤはBT-45Rの120/90-18を履くがSTDは110/90-18とひとまわり細い。マフラーは4-2-1-2の左右出しで全体にシンメトリーな印象を作り出す。
シート

ダブルシートは車体色に応じたレザーカラーが採用され、ブラックの車体色にはレッド(この車両では変更した)、赤の車体色には黒、ホワイトの車体色にはブルーが組み合わされる。
ホンダ「CBR400F(NC17)」(1984年)の主なスペック・当時価格
| 全長×全幅×全高 | 2035×710×1075mm |
| ホイールベース | 1390mm |
| 最低地上高 | 140mm |
| シート高 | 780mm |
| 車両重量 | 176kg (乾燥) |
| エンジン形式 | 空冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒 |
| 総排気量 | 399.1cc |
| ボア×ストローク | 55.0×42.0mm |
| 圧縮比 | 9.6 |
| 最高出力 | 58PS/12300rpm |
| 最大トルク | 3.6kgf・m/11000rpm |
| 燃料供給方式 | キャブレター(VE53) |
| 燃料タンク容量 | 18L |
| 変速機形式 | 6速リターン |
| キャスター角 | 27° |
| トレール量 | 98mm |
| ブレーキ形式 前・後 | Φ256mmダブルディスク・Φ256mmディスク |
| タイヤサイズ(前・後) | 90/90-16・110/90-18 |
| 発売当時価格(1983年) | 53万9000円 |
まとめ:岡本 渉/協力:バイカーズステーション、佐藤康郎、H&L PLANNING




